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9・14民主党代表選の最大の関心は、剛腕・小沢一郎前幹事長(68)が、菅直人首相(63)を引きずり降ろすかどうかに集約されている。表舞台から姿を消した小沢氏の肉声はほとんど聞こえてこないが、周辺議員は反菅色の濃い勉強会を立ち上げる一方、小沢氏が自民党など野党議員らと接触しているとの噂も飛び交う。そこから浮かび上がる“三段構えの小沢(丸秘)戦略”とは−。
【(1)サポーター固め】
小沢氏は12日付のメールマガジンで、「民主党は原点に戻り、『国民の生活が第一』の政策をひとつひとつ実行する」と強調した。参院選大敗以来初の情報発信といってよく、しかも党運営にかかわることだけに波紋を呼んでいる。
代表選をめぐっては、小沢氏と鳩山由紀夫前首相(63)を支えるグループが“菅包囲網”を形成しつつある。
小沢、鳩山両グループの中核メンバーが今月6日に開いた「09政権マニフェストの原点に返り『国民生活を守る』集い」には、議員150人、議員代理の秘書42人が出席。菅首相がマニフェストを改変していることに批判が相次いだ。小沢チルドレンと呼ばれる衆院1回生も同日、約100人が集まって結束を確認した。
鳩山グループが19日に長野県軽井沢町で開く研修会には、小沢氏や輿石東参院議員会長(74)が招待されており、小沢系議員約20人が出席予定。代表選告示日(9月1日)直前の25日には「小沢一郎政治塾」で小沢氏が講演することになっており、発言が注目されている。
すでに“小鳩系”候補者としては、海江田万里衆院財務金融委員長(61)が小沢氏側近に出馬意欲を伝えているほか、田中真紀子元外相(66)、原口一博総務相(51)、松本剛明衆院議運委員長(51)や、前原誠司国交相(48)というウルトラCも囁かれている。
【(2)独自候補を乱立】
民主党の国会議員は413人。鳩山グループ約50人と小沢グループ約150人を合わせれば計200人。菅首相支持に回っている菅グループ約30人、前原グループ30人、野田佳彦財務相(53)グループ約30人の合計90人を軽く上回り、単純な足し算では小沢系が上回る。しかも、日韓併合100年に際した談話で、政権内に溝も生じている。
このため、小沢氏が野党との連立など「ねじれ国会」を乗り切る算段を付けてしまえば、一挙に大勢が決する可能性もあるのだ。
実際、小沢氏は今月6日、都内で行われた「囲碁・将棋チャンネル」のパーティーにひっそりと出席。そこには海江田氏のほか、3年前の大連立騒動の主人公だった福田康夫元首相(74)や与謝野馨元財務相(71)らも顔を出した。
真偽のほどは確認できないが、永田町では「小沢氏の邸宅に、自民党幹部のセンチュリーが入っていった」「自民党の古賀誠元幹事長(70)と密会したらしい」などとの様々な噂も駆け巡っている。
【(3)離党も視野に政界再編】
こうした中、小沢氏は「夏休みに入る前、近い議員に『サポーターを固めろ』と指示を出した。まずはサポーター票で流れを作る作戦」(民主党若手)という。
さらに、小沢氏周辺の1人は、菅首相の対抗候補者擁立についてもこんな戦略を打ち明ける。
「旧民社党グループが独自候補を模索しているが、小沢系も複数出して候補者を乱立させ、代表選中の討論などで菅首相のダメっぷりを浮き彫りにする。1回目の投票で菅首相を過半数割れに追い込めば、菅首相は負けたも同然だ。決戦投票では小沢氏が号令をかけて、2位3位連合で勝負を決める」
ただ、小沢系候補として名前が挙がる議員が“火力不足”のため、条件闘争を仕掛けているという見方もある。
小沢氏も、今月初めに若手議員と酒席をともにした際に、代表選出馬について水を向けられ「環境が整わないとなぁ」とつぶやいたという。
それだけに、民主党中堅議員は「早めに数をチラつかせることで、菅首相に『あんた勝てないよ』『俺を使わないと国会が回らないよ』と思わせる。その結果、首相が折れて代表選後の内閣改造で、反小沢を先導している仙谷由人官房長官(64)や枝野幸男幹事長(46)を交代させる確約を取りたい。そうすれば、戦わずして小沢氏の勝ちだ」と解説する。
さらに、代表選の駆け引きで敗れた場合は民主党離党も視野に入れ、政界再編を狙っているとの見方もある。
民主党有力筋の1人は「最近の小沢氏は、かつての自自公連立時の各党の動きをつぶさに検証し直しているようだ」と話し、「連立の算段を付けて民主党を飛び出せば、民主党からは100人規模が同行し、自民党も割れる。そうした政界再編も視野に入れているはず」と続ける。
小沢氏は、どこまで先を見ているのだろうか。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100816/plt1008161709004-n2.htm
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