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バラク・オバマの凋落
http://www.asyura2.com/10/senkyo92/msg/529.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 8 月 16 日 11:16:57: xbuVR8gI6Txyk
 

http://jp.wsj.com/US/Politics/node_91063

 つい最近まで、バラク・オバマ氏の魅力に取り付かれた人々にとって、彼はジョン・F・ケネディ大統領の洗練を身にまとい、フランクリン・ルーズベルト大統領の歴史的任務を携えて国家救済に乗り出していた。ところが今、民主党ストラテジストのロバート・シュルム氏がオバマ氏を例えるのは、不幸な末路を迎えたリンドン・ジョンソン大統領だ。シュルム氏は先月、雑誌「ウィーク」でこう書いた。「ジョンソン大統領は、米国民との精神的なつながりを保つことなく、(彼を2期目の)大統領選不出馬に追い込んだ戦争拡大を選択した

オバマ大統領は今、途切れた国民との絆についても、アフガニスタンでの戦争についても、党に積極的に売り込まず、あきらめることもしていない。今は、大統領にとって困惑の時だ。彼の政治的凋落は、数年前の台頭時と同じくらいあっという間だった。2006年、そしてもちろん08年、彼は政界の寵児だった。しかし今、彼は中間選挙の激戦区で遊説することもなく、民主党候補のために遠くから選挙活動し、政治資金パーティーを開いている。オバマ氏を求める熱狂的な大集会は明らかに過去のものだ。

 8620億ドル(約70兆円)の鳴り物入りのオバマ景気対策は失敗に終わった。「進歩主義者」は「倍賭け」でも良いと思っている。もし、彼らの思い通りになるのなら、さらに大規模な景気対策を打ち出しただろう。しかしながら、米国民は、公的債務、増税、延々と続く財政赤字による経済政策に公然と反旗を翻した。オバマ氏を大統領職に押し上げた「パニック状態」はもう終わった。確かに大きな懸念はあるが、オバマ戦略はすでに国民の同意を失った。

 オバマ氏は、急激な政治的凋落は自分の責任ではない、と主張できるかもしれない。政治色のない彼に、支持者は自分の夢と希望を投影した。彼の勝利は、綿密な政策がもたらしたものではない。彼はそれまでの人生で何も成し得ていなかったのだから。彼の政治的業績はわずかで、奇妙なことだが、それが彼を有利にした。もし、彼があらためて世界を変えるつもりなら、自分が政府のしくみというものについてほとんど無知だということを悟るべきだった。

 彼は、米国の状態について、力強く、純粋な自信を持って宣言した。彼にとって、過去の先例で参考になるものはほとんどなかった。自由経済に対する米国の信念はすでに崩壊しており、この国を規制だらけの経済に移行させるべき、と彼が考えたのは無理もない。われわれは「経済の緊急事態」に見舞われ、新たな「ニューディール」政策が必要だと思われていたのだ。

 オバマ氏が考えていた歴史的改革に躊躇はなかった。彼を支えたのは(フランス革命の)「ジャコバン派」の論理だ。古い慣行は見直さなければならないとの使命に基づく「権威」だった。まさに「緊急勅令」による政治だった。仮に、医療保険制度の抜本改革が国民に不人気だったら、政府が後押しすればよい。国民はそのうち理解する。

 約1200万人の不法移民に市民権への道を開く移民改革法案をめぐり、この国は落ち着かないかもしれない。しかし、政府は、自らの判断が勝っているとまだ信じている。アリゾナの移民法を、国境の安全性の責任を放棄する連邦政府への不満の表れであると国民は理解しているのに、政府は同州と争う構えだ。

 大量の申請者に市民権を開放することと、オバマ政権が好む政治主導の再配分経済の間に矛盾があるのは、火を見るより明らかだ。選択肢は限られている。「富の配分」と「高い技術を必要としない大量の移民に正式に門戸を開く」ことは同時にできないはずだ。

 オバマ政権と幹部らにとって、問題の多い国家を引き継いだという認識は正しかった。ただ、国家を立て直し、徴税し、望ましい姿に変えるのも彼らだ。そう、1980年、もうひとつの歴史的選挙の後に指導者となり、内患外憂の時代を突き進んだ人物がいた――ロナルド・レーガン氏だ。彼の政策はオバマ氏のそれとは違った。彼の米国に対する信念は深かった。彼が模索したのは、米国の政治、経済の活力、そして国家そのものに対する自信の回復だった。

 レーガン氏には、ナルシズムも大げさな運命的な使命感もなかった。米国を誇りに思い、国家の英雄行為と回復能力を精神的支えとした。彼のそばには、国家の財産に手を付け、市場の力に取って代わろうとする政治集団もいなかった。

 確かに、レーガン氏は2期目の途中、行き詰まった。イラン・コントラ事件が彼の大統領生命を奪うところだった。しかし、彼は復活を遂げ、国民の支持を回復、大統領任期をまっとうした。有権者との絆は深く、本物となった。彼の任期はあと2年を残すところだったが、彼の政治的復活があまりにも奇跡的だったため、彼とシュルツ国務長官は冷戦における米国の勝利を不動のものにした。

 オバマ大統領が新たな延命の口実を見つけられるかどうかは不透明だ。彼は時間稼ぎをするだろうが、今後、国家の課題を明らかにしないだろう。彼は、国家の希望にはなるまい。「改革的な」大統領になるというオバマ氏の野望は水泡に帰した。

 オバマ氏の経歴、歩んできた道のりもある。彼の人気回復に、性格が明らかに障害となっている。オバマ氏の孤立について、ここで詳しく語る必要はない。大統領選に出馬したオバマ氏を見て「ビリビリする感じを覚えた」評論家にさえ、今や彼の孤立は明らかだ。大統領就任後のごたごたから脱し、ヒラリー夫人の急進的な医療改革の試みとは一線を画し、再び政治の中心に戻ったビル・クリントン氏のような柔軟性も、オバマ氏にはない。

 これはカリスマ性の問題なのだ。いざという時にどこからともなく漂い、魔法が解けたら消えてしまうカリスマ性だ。米国には、反撃も党派心も捨てると誓った大統領の「犠牲」が多くある。08年の魔法は二度とない。なくて上々だ。この国は次第に落ち着きを取り戻している。ほんの一瞬でも、過半数の政治家が、真価の証明されていない「救い主」の約束を信じたことに――実践的かつ現実的な国家にはそぐわないが――言いようのない戸惑いが広がっているだけだ。

(アジャミ氏は、ジョンズ・ホプキンス大学の高等国際問題研究大学院の教授であり、フーバー研究所のシニアフェロー)
 

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コメント
 
01. 2010年8月16日 11:55:43: SzlakMzETg
たしかにレーガンの後始末に苦慮しているとはいえるな。

02. 2010年8月16日 16:26:51: 1270vrjx5A
オバマが不人気だろうが何だろうが、そんなことは大した問題ではない。
オバマが大統領になったのは、彼の個人的魅力のためではない。レーガン以来、約30年に及ぶ「新保守主義のアメリカ」からの転換を、多くのアメリカ人が望んだからである。その意思は、2006年の中間選挙で明確に表明されていた。
この論者は、レーガンを持ち上げているようだが、全くの見当外れである。レーガンこそが、現在のアメリカの巨大な双子の赤字を築き上げる原因を作った人物である。

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