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“増税やむなし”の不思議
山形浩生(評論家兼業サラリーマン)
下僕根性が染みついた日本人
日本人はアメリカ人に比べて全然寄付をしない、というニュースがしばらく前に流れていた。とくに個人。内閣府経済社会総合研究所のレポートによれば、個人の寄付総額は、日本はアメリカの100分の1。2005年のスマトラ沖地震でも、アメリカの民間寄付は6億ドル弱なのに、日本からの民間寄付は5000万ドル。それも日本は、7割が法人寄付だとみていい。
さてこれについて巨大ネット掲示板「2ちゃんねる」では、日本はいま不況だから払う余裕がないとか、文化・宗教的な違いだとか、じつは寄付するアメリカ人は腹黒くて云々とか、例によって腐った弁明がさんざん連ねられていた。またこの手の議論となると専門家と称する人が出てきて、日本では寄付に対する税制優遇が薄いからいけない、といった責任転嫁をしてみたりする。
バカな話だ。日本人の民間個人による寄付が少ないのは、ひとえに日本人がケチで公共性というものを考えたことがなく、政府についてあれこれ愚痴をいいつつも、じつはお上のやることに間違いはないという下僕根性が染みついているせいだ。政府に税金をむしり取られて勝手に使われるのと、自分で寄付先を選んで、自分がいいと思っている使途に供してもらうのとでは、前者のほうがいいと思っているのだ。
だってそうだろう。とくに最近になって、多くの「識者」なる人びとが、日本の財政が破綻するから消費税を上げろ、などと説く。財務省がいうのはわかるが、消費税が上がったらお金をむしられる人まで、驚いたことにそれを待望している。
すごい。財政破綻を防ぐという公共的な善のためには、自分のお金をもっと政府にあげたい、とその人びとは主張しているわけだ。なんという公徳心。じゃあ、いますぐそうしてよ。そのぶんをいますぐ政府に寄付すれば? だって、財政破綻が1円でも遠のくのはよいことなんでしょう? それなら隗より始めよ。なぜ消費税を政府が上げるのを待つ必要なんかあるの?
あるいは、子ども手当や高校無償化の重要性を説く人びとも多い。子ども手当を出すと、子供のために人びとが金を使って消費が喚起されるとか、あるいは、高校無償化で高校に行けないかわいそうな子供が減るから、当然みんな喜んで追加の負担に耐えるべきなんだと彼らはいう。それに賛成する人もいるだろう。
そんなお人好しが、ここにいる
でも本当にそう思う人は、自分が子供のためにお金を使うところに寄付したらどうだろう。あるいは高校生の奨学金組織にお金を出すか、あるいは近所の高校生の学費を出してあげたらどうだろうか。あなたがお金を出せば、そういう悲しい高校生全員は救えなくても、一人でも減る。それはよいことのはずでしょう。あなたは、みんながお金を出してそうすべきだと主張する。つまり、自分もそれを負担する用意があると主張しているに等しい。だったら、その覚悟をみせてよ。国がそれをやるまで何十年も待たないで。
政府経由でそれをやるのはよくて、自分が直接お金を出すのはダメという理屈は変だ。ましてこれを主張する人が、一方では政府の無駄遣いとかを批判していたりするんだし。
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