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インターネット人口が9000万人を超えたといわれる中、7月11日に投開票された参院選で、解禁に期待が集まっていた“ネット選挙”は見送られた。だが、選挙にインターネットを活用しようとする動きは広がっている。“ネット選挙”はどこまで可能性を秘めているのか。今回の参院選を通じて探った。(大矢博之)
ツイッターで模擬選挙
「自民48、民主33、みんな22議席」−。
参院選翌日の7月12日、インターネットのミニブログ「ツイッター」で実施された模擬選挙結果が発表された。民主党の没落とみんなの党躍進の兆候が、より顕著に表れていた。
模擬選挙は、IT業界の有志らが、若年層の政治意識を高めるキャンペーン「Good Net Voting」として実施した。投票期間は実際の公示翌日の6月25日〜7月11日。1119人が投票し、年代別では30代が最多。続いて20代、40代の順だった。
「ツイッターは敷居が低く、口コミで広がる。ネット上で政治を考える場をつくりたかった」
キャンペーンで事務局長を務めた佐別当(さべっとう)隆志さん(33)はこう語るが、意外だったのは「思った以上に参加者が少なかった」ことだという。
「投票サイトにたどり着いたのは6000〜7000人。しかし、そこから投票するまでにためらいがあった」と佐別当さんは指摘。「ツイッターですら投票できない人がいる。政治に関心ある人が少ない。ネット選挙が解禁されて投票率が上がるかというと、そうでもない」と佐別当さんは分析する。
“メール世代”に投票呼びかけ
インターネットを活用する若年層の投票を後押ししようと、携帯電話のメールに着目した団体もいた。
「おはようございます。きょう7月11日は、参議院選挙の投票日です。××さんは『投票に行く』と約束しました」
投票日の朝、学生団体「ivote」は、メールプロジェクトに参加した538人に、こんなメールを一斉送信した。
ivote代表の東大法学部4年、原田謙介さん(24)は「一度投票に行こうと思っても、投票日が遠いと忘れちゃう。投票に行く気持ちを、忘れない形で残しておきたかった」と狙いを語る。
参加者からも、「都道府県や市町村の選挙でもメールしてほしい」(40代男性)▽「インターネットの投票や選挙活動が普通になるといい。次回も参加します」(20代女性)−などと好評だった。
だが、原田さんは「一番心に響くのは、直接会って話すこと」と振り返る。
原田さんは「ネット上では政治に関心を持って盛り上がっている人も、日常生活の会話で話題にしない」と指摘。また、ネット選挙について「ツイッターを解禁しないと効果はない。候補者のブログやホームページを見るのは、政治に関心がある人。ツイッターならば、関心がある人からない人に、口コミで広がっていく」と強調する。
政治家ブログの採算は…
「ブログの開設をサポートします」−。
大手ブログサイト「アメーバブログ」を運営するサイバーエージェント(東京都渋谷区)は3月、すべての国会議員事務所にFAXを送り、ブログの開設を呼びかけた。4月には参院議員会館でブログ開設の説明会を2日間実施。計58人の国会議員の関係者らが参加した。
「議員の年齢層に関係なく、そろそろブログを始めないといけないという雰囲気だった」(同社広報担当者)
説明を聞いた参加者らは「そんなに簡単なのか」と驚いた様子。また、コメント欄の“炎上”を心配する声が多かったが、コメントを監視して削除するサービスが好評だったという。
同社のブログを使う政治家は今年初めは十数人だったが、現在は国会議員や地方議員約150人にまで増加。今回の参院選候補者も約40人が利用した。
しかし、今回の参院選では結局、“ネット選挙”の解禁が見送られたため、選挙期間中に候補者が、ブログやツイッター、ホームページを更新したり、メールを送信したりといった選挙活動はできなかった。
ブログ更新がストップしたことについて、担当者は「投票ギリギリまで内容を更新できればベストだった」と残念そうに話す。
果たして、政治家ブログはビジネスになるのか。聞くと、同社の担当者から意外な答えが返ってきた。「政治家ブログは無料で、広告も入れていない。収益を考えていない社会貢献に近い事業」というのだ。
担当者は「ネットで情報収集する人は増え続けている。商品を購入する際にネットで調べるように、投票前に政治家を調べるようになる」と説明。「ネット選挙が進んだときに、アメーバブログを選んでほしい。政治家ブログの参加者は、年内に300人にしたい」と意気込む。
1万人のネット集会
候補者はインターネットをどう利用したのか。“ツイッター議員”として知られ、今回の参院選で改選組だった民主党の藤末健三参院議員(比例代表)は、公職選挙法で禁じられた「文書図画」にあたらないとして、「音声」ツイッターを更新した。
ネット上の活動を頑張っているところを見せたかったという藤末議員だが、「音声だけではダメだった。録音を聞かないと内容が分からないのは厳しい。動画や文字が入らないとダメですね」と苦笑する。
ネット選挙解禁を狙い、藤末議員は動画とツイッターを組み合わせた「ネット大集会」を計画していた。演説を生中継した動画を流し、視聴者からツイッターで寄せられたコメントに返事をする計画だった。
藤末議員は公示直前、ネット上で対談を4回実施した。4回の生中継の視聴者は延べ約3万人。対談を保存した動画も計約1万回再生された。ある対談では、スタート直後は約100人だった視聴者が、1時間半後には6000人近くまで急増した。ツイッターの口コミ効果だった。
「こんなに人が集まるとは思わなかった。1万人の大会議場を使うのは大変だが、ネットではパソコンとカメラ、マイク、10万円以下で1万人を集められる」
それだけに、ネット選挙解禁が見送られたことに対しては、「悔しかった。選挙期間中にやることができれば、もっと盛り上がった」と嘆く。
安価で効果が高そうなインターネットだが、藤末議員は「ネットは双方向だから、政治家の中身が見えてしまう。一方的に話すだけでは終わらないし、質問に答えないといけない。政治家の資質や知識がないと、見抜かれる」と指摘する。誰にでもネットが使いこなせるわけでもないようだ。
ネットに過剰な期待?
選挙戦略を考える選挙プランナーの松田馨さん(30)は「お金がなく、新しいことがしたい候補者に、ネット選挙に過剰な期待がある」と苦笑する。
松田さんは今回の参院選で、数人の与野党新人候補にネット戦略のアドバイスをした。「ネット選挙だけで勝敗を決定づけるところまではいかない。候補者の誤解を解くところから始まる」と松田さんは語る。
松田さんによると、候補者のホームページのアクセスを解析すると、リピーターが大半で新規の閲覧者は少数。「支援者や敵陣営といった、関係者ばかりが見ている」と指摘する。
「ネットと実際の投票には距離がある」と話す松田さん。ネットの活用法として、「イメージ戦略上、しっかり情報発信しているという『飾り』の価値はある。力を入れないと、有権者の投票先から消去法で消されてしまう」と語る。
実際の選挙戦では「戸別訪問や後援者作り、街頭演説、新聞の折り込みビラなど、地べたをはった活動の力が大きい」といい、「ネットはまだ一要素にすぎない」のだという。
一方で、松田さんは「選挙では1票でも増やすため、やれることはすべてやらないといけない。既存の活動に加え、ネットでの活動も必要になるので、コストは増える」とみる。
HPが良かった政党は…
候補者はインターネットをどう使えばいいのか。選挙用のホームページを作るにあたり、注意すべき点として松田さんが真っ先にあげたのは「イメージの良い写真を使う」ことだ。
「基本だが、ポスターの写真と違ったりするなど、意外ときちんとできていない。また、容量が多くて重たいページはダメ」という。さらに、候補者の名前を検索した際に、漢字だけではなく、ひらがなでも検索結果に候補者のページが表示される工夫も大切なのだそうだ。
では、今回の参院選で、更新ができなくなった公示日前日まででホームページの出来が良い候補者の多かった政党はどこか。
「見やすく、情報がまとまっている。主張も分かりやすく、動画も充実している。候補者のサイトに統一感があった」と一番評価が高かったのが、公明党だ。
松田さんは「ホームページを作った人に、党や候補者への“愛”がある。愛のない業者が作ると細かい配慮がなく、出来が変わってくる」と指摘する。
次に良いとされたのが、党内にネットを推進するチームを設置するなど力を入れている自民党。「政党としてお金をかけていて、その効果が出ている。ただ、愛は感じない」のだそうだ。
酷評されたのは民主党。「やっつけで作っているホームページが多く、いまいちで色遣いも中途半端。お金をかけている感じもしないし、愛も感じない」とばっさり。
みんなの党は「良くもなく悪くもない。民主党よりは上」という。「候補者によってホームページのレベルが違い、よせ集めの印象。また、党の新しいイメージと合わせたのか、ツイッターを使った候補者が多かった」そうだ。
「ホームページやメール、ツイッターは武器の1つ。選挙戦略に基づき連動させていく必要がある。ネットをうまく活用するには従来の選挙と同様、『組織力』が大事になるのでは」と松田さんは語った。
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/100815/elc1008150701000-n1.htm
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