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「週刊ポスト」8.20/27日号
平成22年8月9日(月)発売
小学館 (通知)
「年金のため」「埋蔵金はない」「外国より低い」はすべて嘘です!
[庶民の怒り大特集]
鳴りやまぬ「消費増税大合唱」徹底論破マニュアル
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讀賣新聞の世論調査によれば、「消費税引き上げが必要だ」と考える国民が「64%」に達しているという。
こり、本当なのか? あなたの周囲に「消費税増税は当然」といっている人が何人いるだろうか。調査を信じるなら、多くの国民は「増税は嫌だ」と思いながらも、「消費税を上げないと大変なことになる」という周到で狡猾な《増税キャンペーン》に騙されているのではないか。冷静で本質的な議論の基礎作りのためにも、消費増税必要論を批判的に検証する。
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「特会は削れない」は大嘘だ
■嘘その1
消費税を上げれば景気が良くなる──
「増税しても使い方を間違わなければ景気はよくなる」(管直人・首相)
簡潔に結論をいえば、「景気が良くならないことは歴史が証明している」のだ。
橋本内閣が消費税を3%から5%に引き上げたところ(97年)、GDP成長率は0・7ポイント下がり、消費税収入は4兆円増えたものの、所得税と法人税収は逆に6兆5000億円落ち込み、差し引きで税収は2兆5000億円も減っている。外国の例を見ても、歴史は増税が景気を悪化させるばかりか税収も減らすことを証明している。
消費税を5%から一気に10%に引き上げた場合、474兆円の名目GDP(09年度)は、5年後に430兆円に落ち込むという試算もある。
日本金融財政研究所の菊池英博氏が語る。
「長期デフレ下の日本では、消費税増税は経済をさらなるマイナス成長に向かわせる要因となります。税収減を補うためにさらなる消費税増税という悪循環が待っているのです」
■嘘その2
社会保障充実のために5%の消費税増税が必要──
「消費税の使い道は最低保障年金に充てる」(玄葉光一郎・民主党政調会長)民主党の年金改革案では「最低保障年金7万円」を謳っている。その財源は約17兆円。消費税1%分の税収は約2・4兆円だから、本当に年金のためというなら7%分の上乗せが必要だ。
また、菅首相は「新しい税率で高齢者福祉などの社会保障が賄える」と述べているが、高齢者医療や介護保険などの社会保障全体を賄うためには8〜9%の増税が必要となる。「5%引き上げで社会保障を賄える」という論理は破綻している。
また、年金を消費税で賄えば、毎月の保険料はゼロになるはずだが、そんなことは一言もいわない。
「使途を明確にせず増税すれば、役所や既得権を持つ業界が財源に群がる。
年金や社会保障に充てられる保証はどこにもない」(鈴木亘・学習院大学教授)
■嘘その3
特別会計(特会)はこれ以上削れないから、増税はやむを得ない──
「埋蔵金活用の余地は徐々に狭まっている」(日経新聞)、「剰余金(埋蔵金)の処理は法律で定められており、すぐ使えるお金ではない≠ニしている」(朝日新聞)
10月から始まる「特会仕分け」を控え、霞が関は大メディアを巻き込んで「特別会計の埋蔵金はもう掘り出せない」とアピールすることに躍起になっている。
しかし、急激な為替変動に対応する為替介入資金である「外国為替資金特会」はざっと100兆円分の外貨(米ドル)を保有する。財務省はその資金を米国債で運用し、毎年3兆〜4兆円の利益をあげる。そうした利益をため込んだ「積立金」はなんと08年末で約20兆円。過去5年間、一度も為替介入していないにもかかわらず、である。
巨大地震に備えた「地震再保険特会」は、1・2兆円もの額を積み上げている。しかし、過去45年間で使用されたのは阪神淡路大震災時の62億円のみ。それなのに内閣府は先日、「大地震が起これば地方自治体の財政が危うくなる」と指摘し、さらに別の積立金=埋蔵金を作ろうといい出した。
内閣参事官時代に「埋蔵金ハンター」の異名を取った高橋洋一・嘉悦大学教授の指摘は実に明快だ。
「菅首相は『法律改正が必要になるから使えない』というが、法改正が必要なら変えればいい」
「子供の借金」は20万円
■嘘その4
── 日本の政府債務のGDP比は世界一高い──
「債務残高がGDPの約2倍に達し、主要国の中で最碁の日本の財政状態への不信感が高まりかねない」(朝日新聞)
財務省は09年末で国の借金が872兆円で、「GDP(474兆円)の約2倍」と危機を煽っている。納税者からしてみれば 「自らの失政を棚に上げるな!」といいたいところであるが、それはさておき、政府には社会保障基金や特会の投融資による約513兆円の金融資産がある。これらを差し引いた「純債務」は約350兆円だ。
依然として「債務超過」であることは事実だが、これはあくまで財務省の立場で見た場合。
個人金融純資産(約1080兆円)と企業の内部留保(184兆円)、対外総資産(266兆円)の合計額、すなわち「日本人と日本企業の純資産の合計額」は1530兆円にのぼる(10年3月。純資産は資産から債務を差し引いた額)。年収500万円で1500万円の預金を持っている人が900万円のローンを組んだところで、「破産危機」などといわれるわけがない。「財務省の財政に不安はあっても、日本全体では極めて健全」──といえるのである。
■嘘その5
日本がギリシャになる──「日本はギリシャを教訓とすべき」(財政制度等審議会会長を務める吉川洋・東大大学院教授)
日本の財政に課題があることは事実だが、立派な学者が大まじめにギリシャと日本を同列に扱うに至っては呆れるほかない。
「ユーロに参加して自国独自通貨を持たないギリシャと異なり、日本は為替政策が取れます。万が一、財政危機に陥った場合には市場で株や債券が売られて円安になる。そうなれば、輸出産業が利益を上げて景気が持ち直すという調整機能がある」(相澤幸悦・埼玉大学経済学部教授)
OECD調査によれば、ギリシャは4人に1人が公務員で、その給与は民間の1・5倍という、とてつもない「公務員天国」である。日本をギリシャにしないためには、増税より公務員のリストラを急ぐべきだろう。
■嘘その6
次の世代に借金を残してはならない──
「孫に借金を残すようなやり方は詐欺と同じだ」(野田佳彦・財務相)財務省は800兆円以上の債務残高について、しばしば「国民1人当たり678万円」をいう説明をする。
しかし、前述したように純債務は約350兆円だから、「国民1人当たりの借金」は291万円である。
日本国債の92%を保有しでいるのは日本人。日本人は債務者≠ナあると同時に債権者でもある。その原資は中高年世代の貯蓄だから、この借金は孫や子に負わせるものではない。
つまり、本当の借金は海外で購入された7%分だけということになる。国民1人当たりの借金は、291万円の7%で約20万円しかないのだ。「子どもたちに借金を残していいんですか」と恫喝する財務省こそ詐欺師≠ナはないか。
日本の消費税は十分高い
■嘘その7
日本の消費税は低すぎる──「諸外国の消費税率は20%が多く、5%の日本は異常」(佐々木謙二・横浜商工会議所会頭)
結論を先に述べれば、「日本の消費税はすでに5%をはるかに上回っている」のである。なぜなら、揮発油税、酒税、たばこ税、自動車重量税などの「隠れ消費税」があるからだ。
財政省資料『消費課税の概要』(国税分、10年度予算ペース)によれば、消費税収入が約9・6兆円、そして揮発油税などの個別物品税の合計は6・9兆円である。これらを合わせた16・5兆円が「消費課税」であり、国税収入に占める割合は41・9%である。「消費税」と「消費課税」という2つの言葉を使い分けるあたりがいかにも官僚らしい。
国税収入に占める比率を見てみると、国際的にも日本の消費課税は決して低くはないことがわかる(表@)。
消費税率が同じカナダよりはるかに消費課税の占める割合は高く税率20%のイタリアとほぼ同じなのだ。
日本人はすでに十分に消費税負担をしているのだ。
表@AB
http://img.asyura2.com/us/bigdata/up1/source/1492.jpg
■嘘その8
消費税は平等な課税だから増税に適している──「消費瑞が公平であり、安定した税収の確保につながる」(政府税制調査会の見解)
消費税は低所得者の生活を厳しくずるというl「逆進性」は数多く指摘されているので割愛する。ここで指摘したいのは消費税には「お目こぼしと取りっぱぐれ」があることだ。
例えば、輪出産業では、輸出分の消費税がかからず、0%として処理し、その還付を受けている「輸出戻し税」という優遇措置がある。
上位10社だけで約1兆円もの還付を受けている。
また、消費税のかからない取引も多く、特定の業者が得をしているケースも多い。例えば、土地取引には掛からず、不動産業者には有利な税制だ。利子や有価証券取引にも消費税は掛からないため、銀行、証券などの金融機関がその恩恵に与(あずか)る(表A)。また、年間売上高が1000万円以下の事業者は消費税の納入義務がない。
一般庶民は5%まるまる税負担を強いられる一方、特定の分野は負担を軽減されている。取りっぱぐれ≠放置して、平等な税だというのは詭弁としかいいようがない。
■嘘その9
国際競争力をつけるために法人税減税が必要───「(法人税減税で)企業の内部留保が増え、雇用が拡大する」(米倉弘昌・日本経団連会長)、
「法人税を下げなくては国際競争には勝てない」(前原誠司・国交相)
消費税増税論議が始まると、決まって出てくるのが法人税減税を求める財界の声であるが、「消費税増税と法人税減税がバーターとなる根拠」は何もない。
そもそも「本当の日本の法人税」は高くないのである。財務省の資料によると、日本の法人税の実効税率は約40%。フランス33%、イギリス28%など諸外国と比べて高いように見える。しかし、この数字は、企業の儲けから控除できる損金を反映しない表面税率≠ノすぎない。表Bにまとめたように、前述の「輸出戻し税」のほか、消費税1・5%分に相当する年間3・7兆円の減税措置である「ナフサ免税」など、数多くの大企業優遇税制がある。
「租税特別措置(※)による減税を加味した本当の実効税率を試算すると、経常利益上位100社の平均で約30%、商社などは実に8〜9%程度です。この『隠れ減税』を考慮すれば、日本の法人税は決して高いとはいえない」(前関東学院大学教授で税理士の湖東京至氏)
経団連も日本の法人税率が高くないことを知っている。税制度の専門誌で、経団連事務局の税制担当者がこう証言している。
(いろんな政策税制あるいは減価償却から考えたら、実はそんなに高くない。欧米の普通の国に比べて高いという実証データはありません)
「大企業を優遇する法人税減税が推し進められる一方、消費増税のシワ寄せは、その大企業を支える中小企業が被ります。消費増税分を価格転嫁することを、元請けの大企業が認めずに事実上の値下げを求めるために大幅に利益が削られるからです」(湖東氏)
*
民主党大敗で終わった参院選後、「消費税10%」はトーンダウンしつつあるように見えるが、財務官僚や政府は決して諦めたわけではなく、嵐の過ぎるのを待っているにすぎない。今後もあの手この手で増税キャンペーンを繰り広げてくるのは火を見るよりも明らかだ。彼らの一見もっともらしい説明を、決して鵜呑みにしてはならない。
※租税特別措置/国が経済政策を推し進める目的で、特定の納税者の税負担を増減する制度。
新製品開発にかかる研究費を一定額控除できるなど、大企業を優遇するものが多い。表B参照。 p-47
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