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15年ぶりの円高・ドル安を受け、12日の東京株式市場は一時最安値となったが、経済政策の最高責任者である菅直人首相は長野県軽井沢町で夏休みを続行した。首相官邸も開店休業状態で、首相が掲げる「強い経済」の金看板がかすむ経済無策を露呈している。
「動きが急すぎる」
菅首相は12日午前、仙谷由人官房長官に電話をかけ、急速に円高が進むことへの懸念を伝えるとともに、金融市場で特異な動きがあった場合には報告するよう求めた。今年1月の財務相就任で「政治家として経済財政運営の重要性に目覚めた」(財務省幹部)だけあって、菅首相も市場の動きは気になるようだ。
ただ、官邸で対策会議を開くなどの具体的な指示は出さなかった。首相が記者団の取材に応じることも、官房長官が記者会見を開くこともせず、官邸として市場にメッセージを発することはなかった。
政府高官は12日、「政府として為替市場の動きを注視していく」としながらも、米国がドル安を容認し、協調介入が期待できないことを念頭に「急激に為替が動くのはよくないが、手の施しようがない。各国が協調するのなら効果もあるが、日本だけで手を打っても間接的な効果しかない」と述べた。
首相は今年1月、財務相就任後初の記者会見で「経済界では1ドル=90円台半ばが適切との見方が多い。もう少し円安に進めばいい」と述べ、当時の鳩山由紀夫首相からお灸を据えられた。その後は「羮(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹く」ように為替に関する発言を控えた。
首相は「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」を繰り返し強調するが、輸出企業が急激な円高で収益を悪化させる中、政権として現状を打破する「強いメッセージ」を打ち出せていない。
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