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http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100812k0000m070112000c.html
これで国民の理解が得られるだろうか。人事院は国家公務員の10年度の給与を内閣と国会に勧告した。ボーナスの支給月数を47年ぶりに4カ月分を割る水準に減額、月給は年齢に応じて扱いに差を設けたうえで平均0.19%引き下げた。
民主党は国家公務員の総人件費2割削減を衆院選、参院選双方のマニフェストで掲げたが、今回の減額では目標に遠く及ばない。他の施策も含めた人件費改革の全体像を政府・与党は早急に示さねばならない。
人事院にしてみれば、現行制度の枠内でできる限り工夫はしたということかもしれない。ベテラン公務員の給与が民間の同年代の社員を上回っていることを踏まえ、勧告は55歳を超す職員の給与の下げ幅を大きくした。遅きに失した取り組みとの指摘もあろうが、公務員の厚遇批判を意識した表れだろう。
とはいえ、財政が深刻化し、民間の給与が厳しい中、勧告がどこまで国民の納得を得られるかは疑問だ。国家公務員総人件費の2割削減のためには約1.1兆円のカットが必要だが、財務省試算によると、今回の勧告に伴う削減効果は790億円にとどまる。「55歳超」の減額幅増加にしても、審議官級以上の指定職は対象外だ。なお一層の減額が可能か、政府は勧告の完全実施にこだわらず慎重に検討すべきだろう。
同時に、国の地方出先機関や定員の見直しなど、「人件費2割削減」を空手形に終わらせないための全体像を政府は早急に示す必要がある。さもないと、給与改定に必要な関連法案が「ねじれ国会」下で野党の理解を得る保証はあるまい。
給与構造を大胆に改めるためには、人勧制度の見直しは避けられない。国家公務員の労働基本権制約の代替措置として存在する人勧制度だが、給与体系が硬直化する一因となっている面は否定できない。改革急進派のみんなの党は公務員に原則として労働基本権を与え、代わりに身分保障をはずし民間並みのリストラを実施するよう主張しているほどだ。人勧制度の抜本見直しに踏み込むためにも、政府は労働基本権問題の決着を急がねばならない。
一方で人事院は公務員定年の65歳までの段階的延長に向けた意見を年内にまとめる考えも示した。定年延長の方向性は理解できるが、人件費圧縮の阻害要因とならないよう、制度設計に細心の注意を払う必要があることは言うまでもない。
菅直人首相が財政の危機的状況を国民に訴える中、公務員の処遇は別扱いというのでは税制改革などに国民の共感は得られまい。政府自らが経費削減に率先垂範する意味を決して軽んじてはならない
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