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菅談話について(日比野庵 本館)
http://www.asyura2.com/10/senkyo92/msg/296.html
投稿者 判官びいき 日時 2010 年 8 月 12 日 10:46:16: wiJQFJOyM8OJo
 

http://kotobukibune.at.webry.info/201008/article_12.html
政府は10日午前、日韓併合100年に併せた首相談話を閣議決定して発表した。全く不要な談話だと思うし、撤回できるものなら撤回すべきだとは思うけれど、一応内容を振り返ってみる。菅談話のポイントは以下の4つと思われる。

A)日韓併合条約が締結され、植民地支配が始まった。当時の韓国の人々は、その意に反して国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられた。
B)植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明する。
C)在サハリン韓国人支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援といった人道的な協力を今後とも誠実に実施する。また、朝鮮総督府を経由してもたらされ、日本政府が保管している朝鮮王朝儀軌等の図書について、韓国にお渡しする。
D)日韓両国は、民主主義や自由、市場経済といった価値を共有する最も重要で緊密な隣国同士。将来の東アジア共同体の構築をも念頭に置いたこの地域の平和と安定、および世界の平和と繁栄のために協力するパートナーの関係。両国間の未来をひらくために不断の努力を惜しまない決意を表明する。

談話自身は、過去の所謂「植民地支配」に対して、御詫びする。人道的協力は継続するし、要求のあった朝鮮王朝儀軌等の図書(写本)は渡します。といった内容。村山談話に比べて、言及している範囲が非常に狭い。首相の「談話」というよりは、寧ろ「村山談話の補足」にしか過ぎない印象を受けた。

ただ、強いて言えば、Aの部分が気になった。Aについては、「韓国の人々は、その意に反して国と文化を奪われ…」の部分が、日本政府として、日韓併合条約自体が「武力による脅迫によって断行されたものであるという認識」を持っていると解釈されることになる。

この部分の認識については、いわゆる歴史認識に属するものであって、個人でどのような認識を持つ分については、自由だけれど、国家として、どのような認識を持つかは、その国の国益を大きく左右するから、慎重に判断する必要がある。大抵は、どの国も、自国の国益を優先することを前提にした歴史認識を掲げるのが普通だから、他国同士で歴史認識が一致するほうが珍しい。

尤も、村山首相は1995年10月13日衆議院予算委員会で「韓国併合条約」について「双方の立場が平等であったというふうには考えておりません」と答弁し、当時の野坂官房長官も同日の記者会見で「日韓併合条約は…極めて強制的なものだった」と認めていたから、この辺りの認識は当時からあって、今回の菅談話もこれを踏襲したものだとは言える。それでも、これまで、大きな問題にならなかったのは、日韓基本条約があったから。

日韓基本条約は、大韓帝国との間で結んだ条約の全てをもはや無効であることを確認して、韓国が朝鮮にある唯一の合法政府であることを認めた上で、国交を正常化したもの。だから、仮に、日韓併合条約が「武力による脅迫によって断行されたもの」であったとしても、日韓基本条約でそれを無効にしている以上、そのことによって、補償なりなんなりの話になることはない。

逆に言えば、日韓基本条約さえ破棄しなければ、これ以上の国家補償は必要ない。菅談話後の記者会見で、この点について、記者からそのものズバリの質問があり、それに対して、空き菅@けものへん殿は「法律的な形のものはもうすでに完全に解決済みという立場だ」と答えた。日韓基本条約を踏襲して、解決済みとの立場を崩さなかった。

これは、8月4日の参院予算委員会で、仙谷官房長官に対して、日韓基本条約の有効性についてどう考えているかと厳しく問いただして、それが有効であることを引き出した自民党の西田議員の功績なのかもしれないけれど、日韓基本条約を無効だと言わなかったのは、不幸中の幸い。だから、菅談話というのは、まぁ、平たく言うと「昔のことは御詫びする」以上の事は言ってない。

逆に、韓国国民からみれば、この菅談話は、不十分に映っているのだろうと思う。もしかしたら、国家賠償を期待していたのに、またか、とでも思っているかもしれない。菅談話に対して、韓国の市民団体は「植民地支配の被害者の補償問題に対する言及もない」「日本が本当に反省しているのか疑わしい」などと、失望の色を隠さないし、韓国大統領府も一定の評価を示したものの、韓国内の世論を考慮して、手放しで褒めるという訳にもいかないようだ。

いずれにしても、日本と韓国の間の国家観の補償問題は解決された、という基本線が維持された以上、これ以上の補償をやりたければ、裏でこそこそやるしかない。産経新聞によれば、今回の菅談話は、仙谷官房長官が民主党内の反発を押さえ込んで、執念で閣議決定にこぎつけたらしいのだけれど、8月4日の記者会見で、仙谷官房長官は「日韓基本条約は1つのけじめだが、市民レベル、庶民レベル、民族レベルで色々なものが残る。未来志向の障害となるものを取り除く努力をすべきだ」と明言している。

だから、なんだかんだと援助とか支援と言う名の補償を画策する可能性は依然ある。
この辺りはしっかりと国民が見ておく必要があると思う。
 

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