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怒りの告発キャンペーン第11弾
権力中枢にいた「すべてを知る男」がメディア男」がメディアと官邸の腐った関係を暴露する
鈴木宗男(元官房副長官)が官房機密費マスコミ汚染問題で重大証言
「うん、確かにあった政治評論家を呼んで20万とか30万とか」
上杉隆(ジャーナリスト)と本誌取材班
野中広務氏が官房長官時代に、官房副長官を務めていた鈴木宗男衆院議員。政治とカネの表とウラを知り尽くす彼が、ついに機密費によるマスコミ対策について語った。
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久々に、野中広務氏が官房機密費についてロを開いた。7月28日、関西テレビ『スーパーニュースアンカー』の生放送に出演し、元共同通信記者で現在、独立総合研究所代表の青山繁晴氏と評論家の宮崎哲弥氏の質問に答えたのだ。「機密費を評論家に配った」「田原総一朗氏だけは受け取りを拒んだ」──4月の証言以降、機密費問題について沈黙を続けてきただけに、発言に注目が集まった。
しかしその内容はといえば、「個人の名誉を傷つけてはいけませんから」という理由で個人名は挙げず、なんら説明責任を果たすことはなかった。
その代わりに飛び出したのが、私個人への「名誉毀損」の発言だ。「私はね、上杉さんっていうのはね、無責任だと思うんです。あの人、私にね、いっぺんもですね、インタビューなんかしたことないですよ。(中略)顔をみたこともない。
(中略)だけど、都内の電車のつり革(広告)にはですよ、『野中広務激白』とか、私の名前が出ているんですよ。迷惑至極でしてね」──なぜか野中氏は矛先を私に向けた。
これは明らかな事実誤認だ。まず、野中氏には『週刊ポスト』を通じて取材依頼をしているし、私自身も直接携帯電話をかけ、あるいは関係者を媒介させるなどして、野中氏に取材に応じるよう呼びかけてきた。それに応じなかったのは野中氏ではないか。しかも、私はこの番組にビデオ出演しているが、それは当日の生出演やスタジオ見学、あるいはサブルームでの待機といった私の要望を関テレ側から拒否されたからだ。 また、中吊り広告の件は、『週刊ポスト』5月28日号の「野中広務氏が暴露した『官房機密費』配布実名リスト公開」というコピーを指すのだろうが、激白という言葉はないし、そもそもこれは編集部がつけたもので、私とは一切関係がないさらに野中氏の指摘する記事は私が書いたものではない。中吊りを読むと混同するが、野中証言を中心に扱った同号の別記事と、私が書いた機密費配布リストの記事は関係がない。つまり野中氏は、書いてもいない記事、無関係の記事で私を攻撃している。
「顔を見たこともない」という発言にいたっては、愕然とする。鳩山邦夫氏の秘書時代から何度も同席しているし、そもそも09年1月21日放送のTBS系『久米宏のテレビってヤツは!?』で共演しているではないか。映像で確認してみれば一目瞭然だ。
事実を歪めて公共の電波で個人を中傷するのは、それこそ野中氏の嫌う人権侵害に他ならない。野中氏は発言を速やかに訂正し謝罪すべきだ。
政治部長に10万の車代
さて、誤情報を出してまで私を批判した野中氏の真意は定かではないが、本題から外れる話はこれぐらいにして、官房機密費マスコミ汚染問題に戻ろう。今回は、野中氏が官房長官時代(小渕恵三政権)に官房副長官を務めた鈴木宗男氏が、インタビュー取材に応じた。
鈴木氏は、7月21日、22日に放送されたTBS系『NEWS23](クロス)』に登場し、官房機密費に関して踏み込んだ発言をした。「歴代の総理経験者に夏冬1000万円ずつ」「98年の沖縄県知事選で3億円使った」──ところが、肝心のマスコミ対策については、なぜか触れずじまいだった。理由は鈴木氏いわく、「(TBSから)聞かれなかった」からだという。ならば私は当然、マスコミ対策に絞って話を聞いた。
上杉 副長官時代の記憶で、マスコミ側に機密費が渡っていたことがありましたか。
鈴木 私が聞いているのは、例えば、総理と政治部長さん方の懇談だとかなんかが定期的にあるでしょう。そういうときは、お車代、お土産をつける。
上杉 野中さんとは別の官房長官経験者に聞いたら、当時、懇談のあとのお土産代というのは、その店のお土産プラス、封筒のお車代を入れていた。10万とか30万とか、そのぐらいの額でしたか。
鈴木 そうですね。10(万円)だとか、聞いたことはあります。これも、申し送りというか、一つの慣例になっていたと思います。
上杉 政治評論家の場合は個別でしたか。
鈴木 評論家の人でも、何日が空いてますよなんて官房長官にいってくる場合は、要するに、向こうからのサインと受け止める。
上杉 サインというのは?
鈴木 こちら側としては読むわけですよ、向こうが何か希望してるなっていうことを。それはもう、あうんの呼吸ですね、いってみれば。
上杉 これも野中さんではない別の官房長官の経験者がいっていたのは、50万とか、あるいは、100万とか…。
鈴木 それは、人によってですよね。それなりのランクがありますからね。あと、OBの評論家には、例えば後援会の演説会の講師を頼むだとか、ありますね。
上杉 勉強会みたいな形で官邸などに呼んで。
鈴木 よく官邸で、そういった専門家を何人か呼んで、世論の動き、情勢を教えてもらったりすることがあります。
上杉 謝礼は?
鈴木 お車代として謝礼を出すのは慣例ですね。20万とか、30万だとか、そのぐらいではなかったかど聞いております。
上杉 外遊に行ったときに、記者たちに現金が機内で配られたという慣習についてはどうですか?
鈴木 聞いたことがあります。
上杉 それは、具体的には、機内で配るのが一番一般的だったんでしょうか。
鈴木 それもあるし、あと、事務的に(記者団の)幹事さんに渡すとかね。
上杉 それで幹事が各記者に分配する。その額っていうのはどのくらいですかね。
鈴木 金額は聞いていませんが、これも慣例だと思います。
上杉 そういう申し送りは、当時、ノートで。
鈴木 引き継ぎは、私が聞いているところでは、ノートを書き写しして、また、次の政権にもノートに書き写しで引き継ぐということです。
ただし、私は見てません。これは、官房長官秘書官が行なっていると聞いています。
上杉 前任者はシュレッダーにかけたりするといいますね。その現金配付先を記した引き継ぎノートについて、野中さんは沖縄での講演で「評論家に盆暮れ500万ずつ」といっていました。額についてはちょっと疑問ですけど。
鈴木 私はちょっとわからんですね。それはよっぽど特殊な人でないと、ないでしょうね。
上杉 あと野中さんは、新築祝いで小渕首相(当時)に3000万円を要求してきた政治家出身の評論家がいたと。
鈴木 うん。そういう話はありましたね、当時。けど、首相は出さなかったと聞いております。
取材メモはグルグル回る
鈴木 ただ、野中先生もちょっと勘違いしてる部分があると聞いてます。
上杉 それは、配った金額にしても。
鈴木 配った金額とか、あるいは、機密費がいくらあったかっていう話なんかでも。
上杉 そうなんですか。勘違いっていうのはどのあたりなんですか。鈴木(野中氏は)月に機密費を5000万から7000万使ったとかっていうふうにいっている。実は、一事務方にお金を金庫に入れて補充させる、これが月に2回なんですよ。だから、7000万が2回だと、月に1億4000万なんですよ、実際には。同じく、国会対策委員長に月に500万といっていかが、これも実は1000万と聞いています。
上杉 ええ、ほんとは1000万だと、別の証言者からも聞きましたが。
鈴木 はい、はい。あと、首相には1000万持って行ってないですね。
上杉 そうなんですか。
鈴木 総理が外遊をしますね。小渕総理のときは大体月1回ですよ。外遊のときに、お土産代とか、あくまで必要経費として1000万持ってったんですね、これは。ちなみに野中先生は私が出演した『NEWS23]』の放送後、電話をかけてきましたよ。私のインタビュー中に野中先生の写真が後ろに写されたらしく、「自分が指示しているような印象を持たれた」と。
上杉 『ポスト』では、現場の取材メモをメディア幹部たちが官邸に「上納」してたという話も書いたんです。
鈴木 メモっていうのはもうグルグル回りますから。
だれでも入ってくるんですよ、それなりの地位にいれば。番記者を通じて全部入ってきますよ。お金も何も要りません。1回、全部、キャップ、デスクにあがるわけですから。
上杉 で、キャップ、デスクの方から官邸側に渡る。だから、どこの社がどういう取材をしてるかっていうのは官邸側は大体‥…。
鈴木 把握してますよね、それは。マスコミは反権力を謳いながら、みんな権力に乗っているんですよ。
野中氏は『アンカー』で「現職の記者に渡したことはありません」と発言したが、鈴木氏の証言を聞くにつけ、90年代末当時においても、記者クラブ幹部への機密費接待が続いていたことは疑い得ない。ぜひとも野中氏の反論を聞きたいものだ。p-40
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