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このところ、やたらと目に付くのが菅首相や仙谷官房長官が「アカだ」という論評や批判だ。社会民主連合出身の菅、社会党代議士だった仙谷。彼らの外国人参政権や歴史問題、日の丸君が代への発言などを取り上げ、一部雑誌や自民党が“憂えて”いるのだが、その心配には及ばない。
菅や仙谷が「アカ」だとしたら、本当の左翼が怒る。右だ左だという以前に、中身空っぽが菅と仙谷なのである。
土井たか子・元社民党党首のブレーン的存在だった九大名誉教授の斎藤文男氏はこう言う。
「菅首相は市民派の活動家というが、首相になってから何をやりたいのかがさっぱり分からない。言うことはクルクル変わるし、自分たちがやりたいことをやるための政治機構改革の柱である国家戦略局すら引っ込めてしまった。彼を見ていると、たまたま首相になってしまって、今はその地位にしがみつくことしか頭にないように見えます」
思想信条なき権力亡者ということだ。
元参院議員の平野貞夫氏は菅のことを「似非市民運動型無思想性人格免疫不全症候群」と名づける。平野氏は政権交代に備えて、アドバイザー的な役割を担ってきたが、菅にはガックリしたらしい。
「菅首相は理念や基本政策の話はほとんど受け入れなかった。それより、いかにして民主党内の現実的イニシアチブを握るか。こちらに関心が強かった」
そして、平野氏は「一般論だけど」と断ってこう続けるのだ。
「右でも左でも本物と亜流がいる。本物は思想信条に命を懸けるが、亜流は名誉欲が先行する」
菅には耳が痛いだろう。
仙谷も国会答弁を聞く限りひどいものだ。弁護士出身だから、シロでもクロと言いくるめる。それを国会でやるのである。アカではなくて、コンニャクだ。
骨抜きになった国家戦略局について、仙谷は「まったくブレていない」「ブレているように見えるのは、国家戦略局に対するイメージがそれぞれ違うからだろう」とか言った。継続審議になっている国家戦略局の設置法案には国家戦略局が「予算編成の基本方針の企画立案をやる」と書いてある。
自民党議員が「本当にやらせるのか、やらせないのか」と迫ると「中期的ビジョンで首相に提言する」などという詭弁(きべん)を弄し、アイマイ答弁に終始するのだ。
国家戦略局は民主党マニフェストの一丁目一番地だったのに仙谷にかかると、似て非なるものに変わってしまう。この男も融通無碍(むげ)の現実論者で、右も左もないのである。
こんな2人が政権にいると、権力維持のために何をやらかすか分からない。右の論客が驚くようなムチャをやる可能性だってあるから怖い。
(日刊ゲンダイ2010年8月6日掲載)
http://netallica.yahoo.co.jp/news/135135
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