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http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20100805/240496/
2010年8月5日
●代表選で負けたら、菅政権は崩壊へ
民主党の代表選挙は9月1日告示、14日投票の日程で行われる。
当初は9月5日投票とされていたが、先送りとなったのは、どうやら劣勢にある菅直人首相側の事情のようだ。なんとか態勢挽回の時間的余裕がほしいということか。
このところ、このコラムは、菅首相と小沢一郎前幹事長の「対立」構図ばかり書いているようで気が引けるのだが、今回の民主党代表選は一政党の党首選びの域を超え、日本政治の今後を占う大きな意味合いがある。そういうことでご勘弁いただきたい。
臨時国会の衆参両院での予算委員会を見ていると、菅首相の表情がえらくきつい印象を受ける。
仙谷由人官房長官ももっと磊落な人であったはずなのだが、このごろはゆとりがなくなったのか、その発言ぶりがとげとげしくなって、「イラ菅」ならぬ「イラ仙」なる新語も登場した。
それもこれも、代表選での菅首相再選がおぼつかない状況になってしまったためだ。
仮に代表選で負けたら、菅政権崩壊だ。勝利に確信が持てないような情勢となったら、代表選の前に退陣表明ということになる。それが政治の常識だ。
参院選で44議席の「大敗」を喫した時点で、これまでの永田町の感覚からいえば、首相退陣となってもおかしくはなかった。
橋本龍太郎氏が首相退陣に追い込まれたときの参院選での結果はまったく同じ44議席であった。
菅首相が続投を決めても、幹事長や選対委員長ら主要幹部のだれかが引責辞任していたら、それなりのガス抜き効果が生まれて、党内にこれほどの不協和音が表面化することは避けられたかもしれない。
政治の世界の出処進退というのは、難しいものだ。
●伸子夫人の緊急出版に統治能力の欠如が
菅首相の続投に対して、世論が比較的寛容なのは、首相がころころと変わるのはよろしくないという、いわば消極的支持による。
大方の感覚は「あなたが総理になって、いったい日本の何が変わるの」という伸子夫人の著書の題名通りなのではないか。
それにしても、幻冬舎という出版社のセンスには驚嘆するばかりである。これほどのハイスピードで首相夫人の著書を刊行するというのは驚く以外にない。
だが、「ファーストレディー」の行動としてはいかにも軽率だ。これによって菅首相の存在感が一段と軽いものになったという印象は免れない。
編集スタッフが夫人にインタビューしてまとめあげたものだ。
仕事柄、当方も一読してみたが、夫婦の感動的な情愛が伝わってくるわけでも、政治の裏側の秘話が出ているわけでもなく、内容としては驚くものはない。
むしろ、無機質な家族関係といった雰囲気が菅家の体質のように思えて、そのほうが気になった。
首相夫人がこういう著書を緊急出版することの是非を、菅首相周辺で詰めた形跡もない。そこに、やはり統治能力(ガバナビリティー)の欠如が浮かぶ。
代表選告示まで1カ月足らずだが、民主党には夏休みはなさそうだ。
●小沢氏にとって、選択肢はいくつもある
「反菅」「非菅」サイドの動きが激しさを増しており、菅首相側はいかにも非力に見える。全体の構図は、「反・非菅勢力」のほうに勢いがある。
菅首相がこの苦しい局面をひっくり返すには、どういう手があるか。
代表選後の内閣改造、党役員人事での厚遇を「エサ」に、反菅勢力のリーダー格を一本釣りするといった策は予想できる。かつて、自民党が得意としてきた手法である。
劣勢をはね返す最高の妙手は、参院での過半数確保のため、公明党、あるいは、みんなの党との連立に踏み切って、衆参ねじれ構造を解消することだろう。
これができたら、いっぺんに形勢は逆転する。
だが、公明党もみんなの党も連立話には乗らないと言明しており、来春の統一地方選を考えれば民主党と距離を置いたほうが得策と判断しているようだ。
菅首相の周辺に、こういう荒業を水面下でやってのける政治的力量を持った猛者がほとんど見られないのも、多数派工作の現実味を殺いでいる。
そこで、なんといっても小沢氏の動きが最大の焦点となる。
いまや完全な「小沢政局」と言っていい。
小沢氏にとって、選択肢はいくつもある。自身が代表選に出馬することも十分にあり得るし、「かいらい」といっては申し訳ないが「代理」を立ててもいい。かつてから「担ぐ総理は軽いのがいい」というのが小沢氏の弁として伝わっている。
●早くも「新自由党」という党名まで喧伝
小沢氏の政治行動を制約する要因として言われてきた検察審査会の動向も注目の的だ。
もう一度「起訴相当」を議決すれば、強制起訴されることになる。だが、審査会の補助員をつとめていた弁護士が辞任したことなどによって、どうやら、2回目の議決は代表選の後になるらしい。これも小沢氏には有利な状況だ。
小沢氏とすれば、「オレが政局を決める」という最高実力者の立場を維持し続ける必要がある。それによって、検察・国税当局の動きを封じ込めることが可能になると踏んでいるようだ。
小沢氏としては、代表選に勝っても負けても、次の手がある。「大連立」である。
衆参で400人を超える民主党議員のうち、小沢系はざっと150人といわれる。これに、小沢氏に急接近している鳩山由紀夫前首相系50人、さらに小沢氏との関係が良好な輿石東参院議員会長が参院側をがっちりと押さえているから、国会議員数では「小鳩輿」勢力が半分以上を占めることになる。
代表選では、この国会議員のほか、地方議員、党員・サポーターも投票権を持っており、国会議員以外でも小沢系が圧倒しているとされる。ここが親小沢勢力の強みだ。
代表選で小沢氏もしくは小沢氏系の政治家が勝ったとしても、衆参ねじれが継続している以上、だれがやっても国会運営はきわめて厳しいものとなる。
そこで出てくるのが大連立だ。気の早い向きは、すでに小沢氏の離党、新党結成を視野に入れており、「新自由党」という党名まで喧伝されている。
仮に小沢氏が200人規模の新党をつくり、自民党などとの大連立に成功すれば、衆参ねじれに翻弄されることもなくなる。その一大勢力が消費税や年金、普天間、成長戦略など日本が直面する大問題を決着させていけばいい。
このコラムでもすでに書いてきた通り、そういうダイナミックな局面を経ないと、日本再生はほど遠い。
●「広島宣言」「日韓談話」が党内亀裂を深める
福田政権当時の大連立構想には世論の反発も強かったが、その後、大連立に対する見方もだいぶ熟成してきたのではないか。ドイツも大連立によって消費税引き上げを可能にしたのである。
大連立構想が本格化すれば、自民党も乗ってくると見る。かつて、社会党委員長を首相に担いだ自民党のことだ。政権復帰願望は傍で見るよりもはるかに強烈に存在しているのである。
菅首相の求心力をさらに下げるであろうと思われる事態もいくつか予想されている。ひとつは8月6日の広島での平和記念式である。
秋葉忠利広島市長は「平和宣言」で、アメリカの核の傘からの離脱と非核3原則の法制化などを求める。核の傘離脱を訴えるのは1997年以来で、秋葉市長は事前の記者会見で「核に依存して安保を考えるのは絵空事」などと述べている。
これは政府の安保政策の基軸と真っ向から対立するもので、広島市長にこういう宣言を許してしまうのは菅政権の腰がすわっていないことの証左ともなる。
もうひとつは日韓併合100年で打ち出される予定の「菅談話」だ。韓国に対する反省とお詫びを盛り込む方針で、これには民主党内にも異論が根強い。
韓国との関係では、1965年の日韓基本条約で国交正常化を果たし、日本は当時の韓国の国家予算3.5億ドルの倍以上に当たる8億ドルの資金供与・融資を行っている。これが漢江の奇跡といわれる韓国の経済発展の基礎となったのは周知の事実だ。
民主党内では、菅首相と距離を置く海江田万里、山岡賢次、樽床伸二、中野寛成各氏らがあいついで会合を開いたり、新グループを発足させたりしている。
広島宣言や日韓談話などが党内の亀裂をさらに深める要因となることも予想される。
菅首相が党内求心力を高めるのは容易ではない。
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