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2010-08-05 00:00
柄谷行人の新著『世界史の構造』を読みながら…。
僕は、今、故里・鹿児島を目指して、南の方角に向かって移動中だが、傍らには柄谷行人の新著『世界史の構造』がある。僕は必ず、旅行の時は、普段、敬遠して、あまり読む機会がないような分厚い書物を一冊、携行し、退屈まぎれに、隅から隅まで読むことにしているが、今年の夏の旅行のお供に選んだのは、柄谷行人の、『トランスクリティーク』以来の新著『世界史の構造』だった。というわけで、今、『世界史の構造』を読んでいるところだが、久々に読書をしたという満足感に包まれている。菅直人が鬱病らしいとか、小沢一郎がマイケル・グリーンと「手打ち」したとかいうような、政界裏話や時局論、情勢論の類もおもしろくないわけではないが、というより僕は大好きなのだが、それでもやはり、哲学的な原理論や本質論の方が、それがリアリスティックである限り、僕は好きだ。少なくとも、柄谷の原理論的な著書は、最近のくだらない時局論や情勢論よりも遥かに現実的でおもしろい。さて、柄谷の『世界史の構造』は、共産主義イデオロギー消滅後の現在、新しい理想社会の思想的再構築は可能か、という問いに答えようとするものだ。未来の理想社会の再構築などというと、何を馬鹿なことをいっているのだ、と笑い飛ばされるのがオチだが、しかし、そこが柄谷の柄谷たる所以か。
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