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3日の衆院予算委で公明党の斎藤議員が、6月22日に閣議決定した「国家公務員の退職管理基本方針」について質問した。これは先に本欄で、「セピア色にあせた公務員改革」と題して述べた、幹部公務員のための専門スタッフ職を新設、独立行政法人への官僚の現職出向の拡大、民間企業への幹部公務員の現職出向などを認めた内容のもので、鳩山内閣の天下り規制に逆行する方針を定めたものである。
民主党は衆院選のマニフェストで、天下りの受け皿となっている独立行政法人や公益法人を原則廃止し、「肩たたきを禁止して定年まで働ける環境を整備する」と公約。一方、総人件費の2割カットを掲げていた。当然、天下りできずに滞留する高級(=高給)公務員の処遇が問題になる。鳩山内閣では、内閣府の国家公務員制度改革推進本部事務局審議官の古賀茂明氏により、思い切った改革案が準備されていた。
この公務員改革案は、次官の廃止、幹部公務員(審議官以上の指定職)の無差別公募による政治任用と免職・降格。局長55歳、審議官53歳の役職定年制導入。公務員給与を50歳から段階的に減らし、60歳で3割、65歳で5割カットまで賃下げ。天下りの根絶・天下り斡旋に刑事罰、独立行政法人は天下りの人数だけ理事の定員減など、徹底したリストラが盛り込まれていたそうだ。
処が、菅内閣になり仙谷官房長官の主導で、先ずは昨年12月に古賀審議官を、彼の古巣である経済産業省の官房付きに人事異動。そして6月の「退職管理基本方針」の閣議決定に至った。この基本方針の一つに、「公務で培った知識・経験を他分野で活用する」として、独立法人・公益法人そして民間企業などへ出向させることができるとしおり、これが実質的には「天下り」だと指摘されている。
もともと「天下り」を定義するのは難しい。その語源は中央官庁を定年前に退職し、特殊法人、公益法人、民間企業に再就職する。「お上」である役所から「下々」に再就職するので、「天下り」と言われた。そこでの処遇は役人時代を上回る。しかもその人事権は古巣である役所が掌握し、役所の指示で再就職先を転々とする。その都度高額の退職金を手にする。高級官吏の特権とされていた。
一方、「天下り」役人を受け入れる方は、その人件費以上の見返りを役所から得る。つまり「天下り」の最大の弊害は、役所から「天下り」先に、無駄な事業や市価より高額な事業が発注される。代表的なのが、随意契約により発注、公共工事における官製談合などである。事業仕分けでは、現役官僚の出向を廃止する判定が相次いだが、「天下り」を認めることは、それを根底から覆すものだと言える。
今回政府の見解では、現役で「出向」するのは「天下り」ではないとした。つまり、公益法人や民間企業に再就職しても、定年到達時に退職金を支払うのは「天下り」ではなく「出向」だと定義した。出向先から再就職しなければ、その通りだが、次々と公益法人を転々とすることを防ぐことは出来ない。現役だろうが退職後であろうが、受け入れ側が期待するのは同じである。それを防ぐことは出来ないだろう。
原口総務相は、公務員制度改革を行うからと言って、公務員の「生首」を切ることは出来ないと言う。だが、国家財政が破綻状態にある今、公務員だけが終身雇用はもう通らないだろう。上述の古賀氏はそのような認識から、「役所に無駄な仕事をやめさせ、余った公務員はクビを切るべきだ」と進言していた。この進言を排除した公務員改革では、国家公務員の人件費を2割削減する道筋は見えてこない。
昨年8月、民主党が公務員の「天下り」廃止を謳ったから、1票を投じた者は多い。その期待が裏切られたから参院選では、国家公務員10万人削減を柱とする、公務員改革制度を1丁目1番地としたみんなの党に大きく票が流れた。予算委での斎藤議員との質疑応答の矢面には原口総務相が立ったが、古賀提案を切り捨てたのは仙谷官房長官であった。週刊誌を読む限り、この改悪は仙谷氏が主導したようである。菅政権になり、国民が民主党に期待した改革の後退が目立つ。その根源は、官僚に取り込まれた菅・仙谷ラインにあると見て間違いないだろう。
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