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2010年08月03日(火)
自民党の裏を知り尽くした男の退職
自民党の裏側を知り尽くす男が、7月31日付で退職した。
この10年間、党事務のトップをつとめてきた元宿仁。64歳。もともとの肩書きは事務局長だったが、定年延長で事務総長となった。
党職員でありながら、その退職が新聞記事になるのが、なにより政界における存在感を物語っている。
筆者がこの名を知ったのは、いわゆる「日歯連ヤミ献金事件」にからみ、政治資金規正法違反容疑で逮捕された平成研究会(旧橋本派)の金庫番、瀧川俊行の、法廷での証言によってである。
この事件の概略をあらためて頭に入れておこう。参院選直前の2001年7月2日午後7時、場所は赤坂の料亭「口悦」。
その宴席を設けた日歯連の臼田貞夫会長は、平成研に所属する組織内候補、中原爽参院議員の再選をはかるため、1億円の小切手をしのばせて、全面協力をあおぐべく平成研の重鎮たちを招いていた。
臼田が1億円の小切手を手渡したのが、派閥会長の橋本龍太郎だった。橋本は野中広務に小切手を見せた。少し遅れて到着した青木幹雄に、橋本が1億円の献金を受け取ったことを告げると、青木は「それはどうも、ありがとうございました」と礼を言った。
その翌日、小切手を渡された瀧川はすぐに銀行で現金に換えた。このカネを裏金として処理することが派閥の幹部会で合意されたが、その後、あることで不安をおぼえた瀧川は自民党本部に出向いた。
相談をもちかけた相手は、長年にわたり政治資金を扱ってきた元宿である。
そのときの二人の密談内容は、同じ政治資金規正法違反容疑でスケープゴートにされた元内閣官房長官、村岡兼造の公判で、証言台に立った瀧川が検察側の尋問にこたえて明らかにしている。
密談のやりとりを、松田賢弥著「逆臣青木幹雄」から引用する。
瀧川「平成13年に日歯連から1億円の献金を受けております。これは領収書のいらないものだと思っていたが、(日歯連から)発行の要請があって、(平成研)の幹部会に諮ったところ、発行を見合わせるようにということになり、もし(日歯連)に断られたら知恵はないですか。国政協の領収書でも切ることはできないですか」
元宿「そのカネ(1億円)はどういうふうに処理したんだ」
瀧川「平成研の口座に積み、その後、現金化して、平成研の経費として使っていた」
元宿「それでは、もう領収書は出ませんね」
ここまでは、日歯連からの1億円を自民党の政治資金団体「国民政治協会」を通じた迂回献金として国政協名での領収書発行ができないかという相談ごとである。
国民政治協会は、各種団体が、特定の自民党政治家への献金をカムフラージュする「迂回献金」のトンネル団体として使われてきた実態がある。国政協の領収書発行はムリと言われて、瀧川は別の方策を打診した。
瀧川「平成14年、15年に分散して数字を小さくして、平成研の領収書を切れないか。平成13年の参院選前に派閥に1億円の献金では、世間やマスコミから批判される。それを薄めるために14年とか15年に分けて受けたような形で領収書を出すことが可能か」
元宿「じゃあ、相談してみるよ」
日歯連事件に関しては以上のような内容だが、このほか瀧川は次のような証言をしている。なぜ、1億円を裏金として処理したかがうかがえる。
「選挙には数億円のカネがかかる。平成研の場合、パーティー券の現金収入は毎年1億から2億円だが、これをプールし、選挙の裏ガネとして使っていた。日歯連からの1億円に加え、こんな大きな裏ガネが表に出たら非難が起こる。これだけは出してはいけないと思った」
党本部から平成研に渡される、いわゆるモチ代、氷代について、政治資金収支報告書へ記載すべきかどうかをめぐる瀧川と元宿のやりとりも、公判で瀧川が暴露した。
瀧川「平成研事務局長に就いたとき、2000年の衆院選挙には選挙資金と氷代で7億円、参議院の氷代に1億円弱出たとの説明を受けた・・・2001年は夏(氷代)に党本部から6000万円、冬(モチ代)に6000万円だった」
このカネについて、瀧川が「(政治資金収支報告書に)記載しなくていいのか」と聞いたら、元宿は「政治活動費だから、派閥としては記載しなくてもいい」と答えたという。
ちなみに、政治資金団体「国民政治協会」の平成20年分の収入は約38億5000万円、政治団体「平成研」の収入は5億5000万円だった。さすがに今はモチ代、氷代もきっちり記載しているらしく、この年の平成研の収支報告書には自民党本部から1億200万円の寄付を受けたという記載がある。
しかし、瀧川に対する元宿の発言がほんとうだとすれば、少なくとも2001年ごろまでは、運用ルールが曖昧な政治資金規正法の恣意的解釈がまかり通り、派閥の収支報告書がでたらめだったことをうかがわせる。
そうした過去の実態を知る元宿氏こそ、「政治とカネ」の証人喚問に呼ぶのに最もふさわしい人物といえるかもしれない。
新 恭 (ツイッターアカウント:aratakyo)
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