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【声 明】
千葉景子法相による死刑執行に抗議する
日本国民救援会
会長 鈴木亜英
千葉景子法相は28日、東京拘置所で2人の死刑を執行したと発表した。民主党政権下ではじめての死刑執行が行われた。
千葉法務大臣は、就任前まで「死刑廃止を推進する議員連盟」と「アムネスティ議員連盟」にも所属して死刑廃止を訴え、今年2月の法務委員会では「将来、死刑が本当になくていいという状況になれば大変好ましい。この問題については方向性を示したい」と答弁していた。執行は、死刑廃止に向けて、冷静な国民的議論を起こすことを望んでいた国民の期待を裏切るものであり強く抗議する。
千葉法務大臣は、死刑執行後の会見で「死刑について根本からの議論が必要と感じた」と述べるとともに、「死刑の在り方を検討する勉強会を立ち上げる」ことを明らかにした。これは死刑執行をしなければ死刑の是非を論じることができないというに等しい。死刑執行にむけて議論が必要というならば死刑執行停止を行い、死刑廃止にむけて国民的議論をリードすることが求められていたはずである。法務省官僚の「説得」に屈したものとの報道の指摘からは、怒りとともに深い幻滅を禁じ得ない。
国民救援会は、死刑制度の存廃に関する国民的議論を尽くさないままに、現在の司法が治安強化の立場から厳罰主義に傾斜して死刑判決が増加しているという異常な現状のもとで、国際人権章典の精神や死刑廃止の国際的な流れから起こっている内外の厳しい批判に逆行する、この死刑執行に厳しく抗議する。
国民救援会は、戦前、拷問など残虐な刑罰廃止を掲げて運動し、戦後は、不当な死刑判決を宣告された犠牲者を助けだした実績をつくってきた反面、無実を叫びながら死刑を執行された苦い経験をもっている。 人間の行う裁判制度に絶対的に誤りがないということはいえず、誤判による死刑はその悲惨さとともに、回復不可能な刑罰であり、加えて、国民救援会は、誤判だけでなく、松川事件などのように権力によって意図的に死刑を言い渡された恐怖も身をもって体験してきた。
死刑存置論の根拠として犯罪抑止力と被害者の感情などが挙げられているが、犯罪抑止力の効果については立証されておらず、また、応報感情・思想は歴史的にも変化しており、近代の刑罰制度においては応報刑から教育刑、生命・身体刑から自由刑へと大きく変わってき
ているのである。
世界的には、国際人権章典で死刑廃止の方向が打ち出されて、現在、世界の半数近い国で死刑が実質的に廃止されている。日本国内においても、裁判員裁判で国民が死刑判決に関与することから、死刑制度について論議が広がり始めているところである。2007年5月18日に示された国連の拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告においては、日本の死刑制度の問題点を指摘したうえで、死刑の執行を速やかに停止するべきことなどが勧告された。さらに、同年12月18日には、国連総会本会議において、すべての死刑存置国に対して死刑執行の停止を求める決議が圧倒的多数で採択された。
国際自由権規約委員会においても、日本政府に対して二度にわたる「死刑廃止に向けた努力」の勧告(1993年、1998年)に続いて、2008年10月31日には、死刑廃止について「世論調査の結果如何にかかわらず、…公衆に対して、必要があれば、廃止が望ましいことを伝えるべきである」ことを求め、また死刑事件には必要的再審査手続きを設けるとともに、再審請求や恩赦の出願がなされている場合には執行停止の措置をとるべきことが勧告されている。
国民救援会は、千葉法相による死刑執行に抗議するとともに、当面、死刑の執行を停止し、死刑廃止条約を批准して、死刑を廃止することをあらためて要求するものである。
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