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田中康夫連載「にっぽん改国」
官房長官殿「政治は妥協のアートである」だと!?
「内閣の要である仙谷由人官房長官(64)に聞いた」ら、「思わず漏らした菅内閣生き残りの秘策」を、昨日発売の「週刊朝日」が「独占インタビュー」しています。
題して、「政治は妥協のアートである」。
いやはや。表紙にも「激白」と赤字で刷り込まれています。
「政府としては、責任を持って法案を企画し、提案し、それを通して頂きたい、と説得する。しかし、それが修正されたからといって嘆き悲しむ事はなくて、それを公正に執行させて貰うポジションでいいんじゃないかと考えています」。
二百歩譲って、御節、ご尤(もっと)も。が、その上で申し上げれば、国民が政府に対して抱いている根本的疑問とは、「法案に留まらず、責任を持って物事を企画し、提案し、説得する哲学と覚悟を抱いているのだろうか?」って話でしょ。
なのに「煙たい存在」を自任する御仁は、「抽象性の高い議論で留めるのか、自民党が掲げた税率10%を軸に議論する、と言うのかは難しい所で、選挙中の菅さんの発言は、まあ、リスクを取った発言でしたよね」と“床屋政談”レヴェルの論評を4頁に亘って披瀝(ひれき)しているのです。
この間、繰り返し申し上げるが如く、インヴォイスなき日本の「消費税」は欠陥税制なのです。更には、「九六四」(くろよん)なる符丁で知られる、給与所得者は9割捕捉されるのに対し、自営業者は6割、農業者に至っては4割に過ぎない不公平課税も改まっていません。
給与所得者にも確定申告を導入し、納税者番号、付加価値税、法人税の外形標準化といった、フェア・オープン・シンプル=公正・透明・簡素な税制へと抜本改正すると企画・提案・説得せずして、国民の理解は得られる訳もありません。
「官房機密費の使途を始め、官邸の情報公開が問題となっています。菅さんに苦言を呈する役割は果たせていますか」と質問されるや、「官邸をオープンにすればする程、総理大臣や官房長官に取材が集中するという事だったら、これは仕事にならない」と色を作(な)し、「こっちも物凄く忙しいじゃないですか。総理は総理で忙しい」と抗弁する始末です。
う〜む。「権謀術数の時代は既に終わった」と広言する御仁こそは実は、権謀術数に長けた政事家なのかも知れません。お気を付け遊ばせ、菅直人総理殿。
カテゴリー:日刊ゲンダイ にっぽん改国
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