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2010年7月29日 (木)
消費税・普天間責任者辞任が民主再生の出発点
昨年の総選挙から11ヵ月、参院選から3週間が経過した。
政権交代を実現した高揚感はどこかに消え失せてしまい、民主党は党内での権力闘争に明け暮れるようになった。
鳩山政権が総辞職に追い込まれた最大の原因は、鳩山政権が普天間基地移設問題の着地を誤ったためである。
後継の菅直人政権が参院選で大敗し、再び政治を混沌に陥れたのは、菅直人首相が、民主党が主権者国民と交わした約束、政権公約を独断で破棄して消費税大増税を参院選政権公約に掲げたからである。
本来、本年夏の参院選で与党が勝利し、安定した政権基盤を確立することが求められた。政権運営の失敗がなければ、新しい日本の政治体制が確立されていたところだった。ところが、上記の政権運営大失策が重なり、再び極めて不安定な政治状況が生み出されてしまった。
こうした状況を生み出した責任者には、当然、責任がある。ところが、普天間問題と消費税問題での政権運営失敗に責任ある当事者から、明確な責任処理が示されない。
示されないどころか、政権運営に失敗した当事者である戦犯が、自らの権力を保持するために、責任問題放置に動いている。これでは、日本政治の未来に明るい光が差し込むはずがない。
普天間問題では鳩山首相が、普天間基地移設先を「最低でも県外」、「できれば海外」との方針を明示した。自民党時代に政府が辺野古地域への移設で日米合意を締結してしまっていたから、県外あるいは海外への移設は、もとより困難を伴う方針だった。
しかし、鳩山首相は本年5月末を期限と定め、普天間基地移設問題の着地を図ることを公約として掲げてきた。
鳩山政権内部でこの問題を担当したのは、岡田克也外相、北沢俊美防衛相、前原誠司沖縄担当相であり、全体の取りまとめは平野博文官房長官が担当した。
しかし、鳩山政権は最終的に、移設先を辺野古付近とする日米合意を沖縄県民の了解も得ずに結んでしまった。大山鳴動して元の木阿弥の結果を招いたのである。
零点どころかマイナス100点の結果を生み出したのである。社民党の辻元清美議員が社民党を離脱する意向を表明し、福島瑞穂社民党代表が批判を浴びているが、鳩山政権の普天間問題処理を受けて、福島党首が社民党の連立離脱を決定したことは筋が通っている。
普天間問題では、辺野古での工事具体案決定期限が本年8月末とされているが、沖縄県民の基地拒絶の意思は固く、8月末の具体案決定は絶望的な状況にある。
こうした、米国にとって望ましくない状況を打開するために、米国が背後から工作活動を展開して、社民党に揺さぶりをかけているのだと思われる。
北朝鮮の脅威を煽り、米韓が対北朝鮮軍事演習などを展開しているのも、日本国民の米軍基地拒絶行動を牽制するためのものであると考えられる。
鳩山前首相は普天間問題の処理失敗の矢面に立たされて、首相辞任にまで追い込まれたが、連帯して責任を負うべき三名の戦犯が、のうのうと大臣の椅子に居座っている。
岡田克也氏、前原誠司氏、北沢俊美氏の三名は普天間問題処理失敗の責任を明らかにする責めを負っている。
消費税問題では菅直人首相と玄葉光一郎政調会長の責任が突出している。勝敗ラインを54議席として44議席しか獲得できなかったのだ。また、参議院選挙に勝利して初めて主権者国民の信任を得ることになることを、菅首相自身が明言していたのだ。参院選に大敗して主権者国民の信任を得られなかったのだから、そのまま首相の地位に居座る正統性は失われている。
岡田克也氏は、まだ首相に「就任したばかりだから」菅首相を続投させるべきだと主張しているが、民主主義の根本原則を踏みにじる発言だ。
民主主義の根本原則は、意思決定の主役を国民とするものである。主権者国民が国政選挙で菅政権に不信任を突き付けた以上、菅政権が存立する正統性は失われているのだ。
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これらの人々は、「政治とカネ」の問題も参院選敗北の一因であると主張する。たしかに、鳩山首相の問題は、裁判でも決着がつき、鳩山首相も監督責任を認めているから、それなりの影響と責任があったと判断せざるを得ない。
しかし、小沢一郎前幹事長の問題はまったく異質のものである。「小沢氏が悪い」としているのは、検察当局とメディアだけなのだ。とりわけメディアは、小沢氏に対する執拗で激しい攻撃を続けてきた。この偏向した報道によって、詳細を知らない一般国民の判断が歪められてきた。
検察が問題としてきた諸点を詳細に調べる限り、「小沢一郎氏が悪い」との結論は、現段階では引き出せない。
詳細については、本ブログでも繰り返し説明してきたところであるので、繰り返さないが、政治資金収支報告書への不動産取得に関する「時期の2ヵ月強のずれ」と「記載しなくてよいとされてきた資金繰りの記載がないことについての解釈の相違」だけが問題にされている。
また、昨年3月3日の大久保隆規氏の逮捕については、第2回公判で被告無罪の決定的証言がすでに示されている。
検察審査会の議決がクローズアップされているが、検察審査会の審査は審査補助員の弁護士に強く誘導されると考えられ、小沢氏のケースでは、恣意的に審査補助員の弁護士が選定されてきた疑いが濃厚に存在する。
小沢氏の問題については、民主党が党をあげて、検察捜査の適正性を徹底的に求めるべき事案であり、検察権力の不正行使に屈せず、検察権力の適正化に向けて力を注ぐべきものである。
2006年4月の民主党解党の危機に小沢一郎代表が誕生し、民主党を飛躍的に発展させ、ついに政権交代を実現するところにまで至らしめた。この過程で、小沢氏グループに属する国会議員数は130名を突破し、小沢氏の影響力が飛躍的に高まった。
自由党と合併した元民主党議員のなかに、小沢氏の影響力増大を快く思わない人々が存在するのは事実である。小沢氏に対して嫉妬の炎を燃やす醜悪な偽黄門議員などもその一人である。
菅直人氏、岡田克也氏、仙谷由人氏、前原誠司氏、野田佳彦氏、玄葉光一郎氏、枝野幸男氏、そして渡部恒三氏の言動からあふれ出てくるのは、この類の私情ばかりである。
主権者国民は「国民の生活が第一」とする小沢一郎氏の政策方針に賛同して民主党を支持、支援してきたのだ。それを、これらの人々は自分自身の利益を優先し、私情と私利私欲によって、民主党から小沢氏グループを排除して、民主党の私物化に突き進んでいる。
この低次元の発想から民主党が再生することはあり得ない。
民主党が再生するには、まずは、参院選大敗の責任を負う人々が、潔く責任を明確化すること。消費税問題と普天間問題の失敗が参院選大敗の主因である。責任者の一斉辞任が求められる。
そのうえで、9月代表選で挙党一致体制を構築できる新しい党首を選出するべきだ。同時に、主権者は国民であるとの民主主義の原点に立ち帰り、「国民の生活が第一」の方針を再確認しなければならない。
政権交代によって、
@対米隷属からの脱却
A官僚天下りの根絶
B企業団体献金の全面禁止
実現が求められてきた。この三大施策も確実に実現しなければならない。
また、警察・検察制度の近代化を実現するためには、取り調べ過程の全面可視化が不可欠である。この点も忘れてはならない。
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