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http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100728/plc1007282123015-n1.htm
菅政権が韓国やロシアに対して弱腰と言わざるを得ない外交姿勢をみせている。仙谷由人官房長官は28日の記者会見で、今月末に予定されていた平成22年版防衛白書の閣議了承の9月以降への先送りを発表したが、政府が領土問題に熱意がない−との、対外的に誤ったメッセージを送りかねない。複数の政府関係者は、韓国への配慮を唱える仙谷氏が「菅直人首相の意向」を持ち出して、先送りに抵抗する北沢俊美防衛相を押し切ったことを明らかにした。目先の摩擦を恐れる外交姿勢は首相や仙谷氏らの「超リベラル」の本質が露呈したといえそうだ。
仙谷氏は28日の会見で、防衛白書の了承先送りについて「東アジアの平和と安定は日韓連携の強化に尽きる。その観点からあらゆる政策課題を判断する」と述べ、8月の日韓併合100年を前に、竹島を「わが国固有の領土」と記述する白書への韓国側の反発への配慮を事実上認めた。
菅首相は28日夕、首相官邸で記者団に、「G8(主要国首脳会議)でも大きな課題だった韓国の哨戒艦事件を書き込むべきだと私が(了承先送りを)判断した」と語った。
これに対し、複数の政府関係者は同日、仙谷氏が先週から先送りを求めたが北沢氏が応じなかったことから、「仙谷氏が首相の判断を仰いだ」と説明した。
仙谷氏は会見で竹島問題について「わが国の立場は一貫しており何ら変更はない。解決への方策を不断に検討していく」と述べた。
しかし、与党の一員である国民新党の森田高政調会長は「どこの国に忠誠を誓っているのか、どこの国の国益を重視するのか−と思う国民が出てくる」と指摘する。民主党内にも「仮に韓国に配慮して延期したのなら、とんでもない話だ。誰がどんなプロセスで決めたのか、党政策調査会で議論した方がいい」(笠浩史国対筆頭副委員長)との声がある。
対露外交でも低姿勢が目立つ。ロシアが(1)今月上旬に北方領土の択捉島で軍事演習を実施(2)日本が第二次大戦の降伏文書に調印した9月2日を事実上の対日戦勝記念日「大戦終結の日」に制定−しても、菅政権では、外務省が通り一遍の抗議をしただけだ。
さらに岡田克也外相は27日、「一般論」と断った上で「日本は8月15日に(大戦が)終わったと考えているが9月2日も一つの区切りだ。法的にはそこで戦争状態が終結したとも言え、一つの考えとしてあるだろう」と語った。
この外相発言に対しては、外務省内にも、昭和20年8月15日以降に北方領土を不法に攻撃し、軍事占領した旧ソ連の侵略行為を正当化するおそれがあるとの懸念が出ている。
対外融和姿勢が妥当性を持つのは相手国の政府や世論が理解し、歩み寄ってくるケースだけだ。竹島問題で韓国に、北方領土や対日参戦問題でロシアに融和を期待しても、日本が一方的に譲歩するだけのむなしい結果に終わりかねないとの懸念が与野党双方で広がっている。
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