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【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相】より
2010/07/25(日) 22:00:26
日刊ゲンダイ 2010/07/20 掲載
[経済・金融] この国はやがて民・自の翼賛体制になり、中小零細企業が潰される
参議院選挙が終わって、菅直人政権は消費税増税発言の火消しに躍起だ。同調して増税機運を盛り上げかけていたマスコミ各社も政権のサポートにおさおさ怠りない。ご苦労なことである。
もっとも、有権者の意思は不透明だ。菅発言が本当に嫌われたのなら自民党も共倒れでなければおかしいし、はっきり反対していた共産、社民、国民新の各党が伸び悩んだ結果をどう説明する?
消費税増税は決して全否定されていない。この国の社会は時間の問題で、民主、自民の翼賛体制とマスコミが一体化した増税キャンペーンに覆い尽くされることになるのではないか。私たちは、とりわけ中小零細の自営業者とその家族、従業員は、今から徹底抗戦の準備をしておく必要がある。
一般的な理解によれば、消費税率が引き上げられれば、その分だけ物価も上昇するはずだ。にもかかわらず増税論に寛容な日本国民は、では己のフトコロよりも財政の将来を優先してやまない“愛国者”揃いなのだろうか。
ノーである。消費税率が5%や10%引き上げられたところで、自分の生活にはさほど影響しないと計算しているからだ。
弱肉強食の競争社会で、スーパーなどの大手小売業が、増税分をそうそう価格に転嫁してくるわけがない、と。実際、値上げすれば消費者に見捨てられるのだから、この見立て自体は正しい。
ただ、有権者の多くは、その舞台裏を見ていないか、あえて見ぬふりをしている。大手が値上げを我慢し、消費者の利益を喧伝する中、問屋や下請けメーカーはすさまじい値引きを強いられるに違いない。大手のようには負担を他に押し付ける術もなく、もはや消費税の納税に切らされる自腹に限界が来る周辺の小売業は、軒並み廃業に追い込まれていく。
有権者の圧倒的多数派は企業などに勤める被雇用者だ。零細の自営業がどうなろうと、オレには関係ねえと考えているのではないか。だとしたらどうかしている。
総務省の労働力調査によれば、全国の自営業主と家族従業員の男女の合計で796万人(2009年平均)。そこにも従業員たちがいる。彼らは消費税増税で潰されれば、労働市場にあふれるしかない。失業率が軽く2ケタを超えるのは必定だ。
ここ1カ月ほど、消費税のことばかり書いてきた。論点はまだまだ尽きない。見かけのシンプルさとは裏腹に、消費税とは底の知れない悪魔のような税制である現実を、どうか、どうか知ってほしい。
▽さいとう・たかお 1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際額MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「機会不平等」「『非国民』のすすめ」「安心のファシズム」など著書多数。
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経営者でなくてもビジネスマンなら分かるはず。商売で5%、10%の利益を上げるのは大変なことを―。ネットショップやアフィリエイトならもっと大変です…(笑)
消費税増税の止む無しのマスコミの論調には注目しておきましょう。
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