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公務員制度改革と言えば、何を連想されるだろうか。まずは「天下り禁止」だろう。最近は、みんなの党の渡辺代表の言うアジェンダとか、人それぞれのことを連想するはずだ。民主党がマニフェストに謳っているのだが、それを具体的にイメージできる人が何人いるだろう。筆者には、公務員改革の看板を撮った写真が、セピア色にあせて書庫に収められている。最近はそのようなイメージなのである。
公務員には雇用保険が掛けられていないことを知っているだろうか。役所は倒産しないし、終身雇用だから失業は有り得ない。だから雇用保険は必要ないと云うことだ。それは、明治憲法下では、官僚は天皇の僕(しもべ)であったことに遡る。今でも、多くの官僚は国民の僕と云うより、「お上」意識の方が強い。公務員制度改革とは、この二つを変えることが基本だと筆者はかねてから思っている。
もし上の二つを公務員改革の柱にすると言ったら、霞ヶ関を夜歩けなくなるだろう。意識は環境が支配する。従って環境=制度を変えない限り意識を変えるのは難しい。だが、先ずはハローワークに、職を失った民間サラリーマンと公務員が一緒に並ぶこともある。こういう改革ならやれるし、それをやらないと公務員の給与2割カットは出来ない。役人の中にも、そう云う考えをする異端児がいた。
鳩山内閣が発足した時、経済産業省から内閣府の国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に出向した古賀茂明氏がその人である。天下り規制に辣腕を振るい、その急進的な姿勢から「霞が関革命の旗手」と呼ばれた。その彼が、今は、経産省の「官房付き」と云う待機ポストで、経産省本館12階に軟禁されているそうだ。つまり、民主党の公務員改革への取り組みが後退したと云うことの象徴である。
古賀氏の公務員改革案には、次官廃止の他に、幹部公務員(審議官以上の指定職)の無差別公募による政治任用と免職・降格。局長55歳、審議官53歳など、役職定年制導入。公務員給与を50歳から段階的に減らし、60歳で3割、65歳で5割カットまで賃下げ。天下りの根絶・天下り斡旋に刑事罰、独立行政法人は天下りの人数だけ理事の定員減など、徹底したリストラが盛り込まれていたそうだ。
民間の赤字企業なら当然のことだろう。筆者もサラリーマン時代に、2度給与をカットされた経験を持つ。また、リストラ(古い事業を止め、新事業を興す)で、工場立地が変わったため転勤が出来ず、泣く泣く退職した部下もいた。断腸の思いをして、希望退職者を募集したこともあった。別の会社だが、学生時代の友人は肩たたきを専門職となり、予定の人員削減数の最後の一人を自分にして、その会社を去った。
国家財政が破綻状態にある今は、公務員だけが終身雇用・年功序列はもう通らない。民間企業では、固定費である人件費比率の低下は永遠のテーマである。公務員改革は民間企業の企業再生と同じく、人件費削減に血を流す時代に入った。古賀氏はそのような認識から、仙谷大臣がブレーンたちと規制改革の議論をした時、「役所に無駄な仕事をやめさせ、余った公務員はクビを切るべきだ」と進言したそうだ。
だが、仙谷大臣は「それはダメだ」と、その提言を拒否した。そして仙谷氏は、新聞を賑やかせた次官廃止案に、霞ヶ関が猛反対し、提案者の古賀氏を政権中枢から排斥する攻撃の前に、真っ先に白旗を揚げた。昨年12月、仙谷氏は国家公務員制度改革推進本部事務局の人事異動を行い、古賀氏を更迭。事務次官廃止論を一転させ、「事務副大臣」ポストを言い出した。これは官僚の国会答弁への道を拓くことになる。
それだけではない。古賀氏が改革を提案した「省庁解体」が無視された上に、菅内閣が発足すると、幹部公務員のための専門スタッフ職を新設、独立行政法人への官僚の現職出向の拡大、民間企業への幹部公務員の現職出向など、これまで進められてきた天下り規制に逆行する方針が、国民の知らぬ間に閣議決定された。民主党のマニフェストから想像できる内容か?
それでいて、10万人の公務員削減などを掲げているみんなの党に、公務員改革の方向性が一致しているなど言って秋波を送っている。玄葉政調会長は新自由主義であるから、みんなの党にシンパシーを感じるのだろう。国民が民主党を支持したのは、反小泉・反自由主義であった。菅内閣を信頼できないのは、公務員改革の看板がセピア色だからではない。急激にセピア色に変化させた可笑しな光があるからなのだ。
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