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【松本浩史の政界走り書き】
衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」をもたらした参院選の結果を受け、菅政権は、政策ごとに野党と連携する部分(パーシャル)連合を構築することで、どうにかして安定した政権運営ができないかと、模索しているようだ。しかし、野党に反発が強い法案であれば、大幅な修正を余儀なくされるし、そのための協議に費やす時間は膨大だ。物別れともなれば、また振り出しに戻り、政権の屋台骨は揺らぎに揺らぐ。
部分連合といえば、かつて、大平正芳元首相が提唱したことで知られる。与野党伯仲国会で厳しい国会対応を迫られた福田康夫元首相の実父、赳夫首相の下で、自民党幹事長を務めていたころだ。大平氏の部分連合に対する考え方はこうだった。
「国会の運営においても、私は部分連合という形で、自民党が一つの案件を提示し、野党に賛成か反対かを問い、ある政党は反対ということもあるし、またある政党はそこをちょっと直してくれたら賛成に踏み切ってもいいという。そのような反応を確かめる。そのように、一つ一つの問題についてパーシャルに、一つ一つ連合を組んで、案件を仕上げていくより他に、現実的なやり方はないように考えている」(「複合力の時代」)
部分連合のありようを言い当てていて、けだし名言である。大平氏は同著で、与党に過半数の議席がなく、政権が国民生活に必要な政策を遂行できずにいるより、「その政権が非常にスムーズに機能していけば、その方が望ましい」としている。首相ポストをめぐる政局が激しくなり、政権が不安定化しては、そうであるべき政治の姿とはほど遠くなり、国民も不幸に見舞われるというわけだ。
過日、大平氏を「政治の師」と慕う自民党幹部の事務所を訪ね、部分連合の要諦を聞いてみた。この幹部は、自民党が平成11年に旧自由、公明両党と連立したことが結果的に自民党の退潮をもたらしたとみて、今でも「あの連立は間違いだった。部分連合に踏み切るべきだった」と考えている。
「『丁寧さ』と『粘り強さ』。これに尽きるのではないか。そのために政治家は猛勉強しなければならない。そうでなければ他党との交渉はできない。民主党が政治主導を掲げるなら、今こそその真価が問われるのではないか」
民主党にエールを送るかのような皮肉交じりの回答だった。そこで立て続けに別の質問をしてみた。今の菅政権にそうした手腕のある政治家はいますか、と。30秒ほど間があっただろうか。ようやく口にした政治家は、仙谷由人官房長官、野田佳彦財務相、玄葉光一郎政調会長(公務員制度改革担当相)の3氏だった。
3氏がどこまで“期待”に応えられるのかは、これからの政治行動をみていけば、おのずと明らかになるだろう。
だが、菅政権発足後に起こった幾つかの混乱ぶりを思い起こすと、自民党幹部が指摘したように、果たして「丁寧さ」と「粘り強さ」を体現して、政権や国会の舞台回しができるのか、はなはだ疑問なのである。
菅直人首相自ら自責の念にかられたように消費税率の引き上げ問題や、昨年の政権交代に当たり、政治主導のシンボルと位置づけられていた国家戦略室の機能縮小など、やることなすことすべてが「唐突」で、その方針を打ち出せる環境整備を十分にしていない。与党に反発と混乱を増幅させているだけのように国民には映っている。
部分連合には、大平氏の理想とは裏腹に、政界再編の引き金になる可能性もはらんでいる。民主党が政策ごとにあらゆる政党と交渉をすればするほど、実績が重なっていく政党と、とても一緒にやれない政党とが浮き彫りになっていくだろう。
実際、小沢一郎前幹事長は旧新進党党首だったころ、部分連合で成果をあげた後、同党保守派を引き連れて自民党と合流する「保保連合構想」を模索していたとされている。今後、小沢氏が政局を仕掛けたとき、自民党の一部勢力と手を組むシナリオがないとは言い切れない。
9月の民主党代表選で首相が代表に再選されてもされなくても、秋の臨時国会でも、このままいけば「ねじれ国会」の構図は変わらない。ましてや政局含みとなれば、混乱の度は深まるばかりである。民主党のイバラの道はまだまだ続く。
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