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日本で昨年、2つの「革命」が勃発した。ひとつは、歴史的な政権交代による「平成の無血革命」であり、もうひとつが名古屋市で始まった「庶民革命」だ。前者の指導者は民主党の鳩山由紀夫総理で、政治主導や地域主権、新しい公共を目ざすべきものとして掲げた。
後者は河村たかし市長が提唱したもので、市民税減税や地域委員会創設などを旗印とした。国政と地方自治の違いはあるものの、ともにマニフェスト選挙で有権者の圧倒的支持を得てリーダーとなった。
2つの「革命」は同時に進行していったが、わずか1年足らずの間で大きな違いが生まれている。鳩山総理は自らの稚拙な政権運営が要因となって退陣し、表舞台から姿を消した。その後継総理も参院選で大敗を喫し、衆参の「ねじれ現象」に直面。歴史的な政権交代の輝きを完全に喪失した。一方、名古屋市の河村市長は就任当初から議会側の反対に見舞われながら、市民税減税と地域委員会創設の2大公約を実現させた。
その後、河村市長が議会改革(定数と報酬の半減)を主張したことに議会側は猛反発し、反転攻勢に出た。河村公約に賛成する市議はわずかに1人。残りの74人が河村公約への異を大合唱し、減税の1年限りと地域委員会の拡大停止という大幅修正を強行した。河村市長は「これでは公約を達成したことにならない」と納得せず、原案の提出を繰り返したが、議会側は一歩も譲らず、否決を重ねた。市長と議会が真っ向から対立する「完全ねじれ現象」が続いている。
日本の地方自治は二元代表制で、首長と議会がそれぞれ住民に直接選ばれる仕組みとなっている。議院内閣制の国政とは異なり、首長と議員の関係に本来、与党・野党はない。議会は自治体の最終意思決定の場(議決機関)であり、執行機関をチェックする機能を持つ、いわば地方自治の根幹をなす存在である。
しかし、その重要性に相応しい働きをしている地方議会は残念ながら、皆無に近い。議会がチェックすべき執行機関側と癒着し、オール与党(日本共産党や無党派議員などを除く)化しているのが、ほとんどだ。
国(霞が関)があらゆることに口を挟み、カネを握る中央集権体制が続く日本において、首長や職員、そして議員は住民ではなくて、国(霞が関)の方を向いて仕事をするのが、習い性となっているからだ。地方自治とは名ばかりであった。首長・職員・議員の三位一体による住民不在の行政運営が残念ながら、日本の地方自治の一般的な姿となっている。
こうした歪んだ関係が保たれている限り、首長と議会の間に亀裂が走ることはない。そしてまた、住民不在の歪んだ関係にあえてメスを入れようという奇特な首長は、そうはいない。ややこしくなるのが、明白であるからだ。
二元代表制をとる日本の地方自治制度に法律上の不備が指摘される。例えば、議会解散である。首長は議会に不信任された場合にしか、議会を解散する権限が与えられていない。つまり、重要議案が議会に否決された場合でも、首長は議会を解散して民意を問うことができない。自ら辞任し、やり直し首長選挙で民意を問う方法もあるが、議会の構成員は何ら変わらない。また、議会招集権を首長だけが持ち、議会側に招集権がない点も疑問とされる(この不備を補うために通年議会にする自治体が生まれている)。
「市長選挙で市民にお約束した2大公約です。それが実現できなかったら、市民の負託に応えたことにならない。黙って引き下がる訳にはいきません」力を込めて語るのは、名古屋市の河村たかし市長。公約実現に邁進する河村市長は、誰も思いもしないような大胆な策に打って出た。議会解散の直接請求(リコール)である。
約175万人にのぼる名古屋市の全有権者のうち、約36万5千人から賛同の署名が集まれば、議会解散を請求できる。桁外れの数値で、実現可能とはとても思えない。チャレンジすること自体が酔興だと、一笑に付されかねない。膨大なエネルギーと時間、そして、何よりも人の輪を必要とする。
昨年4月の市長選挙で河村氏に投票した市民らが「ネットワーク河村市長」という団体を結成し、議会リコール運動への参加者を募る活動を進めている。署名集めを行う受任者や署名者をハガキなどで募集するもので、印刷されたハガキは約106万枚。
このうち約86万枚がすでに名古屋市民に配布され、約5万3千人から返信が寄せられている。50円切手を自ら貼って返信したものなので、面白半分ではない。正式なリコールの署名集めは8月末からスタートする予定という。おそらく、今年の名古屋は歴史的な残暑に包まれることになるだろう。
河村市長は署名集め後を見据えた準備も進めている。リコール成立後のやり直し市議選への候補擁立である。すでに「減税日本」という地域政党を立ち上げており、ここから公認や推薦の市議候補を擁立するという。候補予定者の選定が現在、進められている。
彼らが当選した場合、地域政党「減税日本」から政策的に拘束されることは3点のみ。「市民税10%減税の復活」と「地域委員会の復活」そして、現在年1600万円の議員報酬を800万円に半減することへの賛同である。他については会派拘束せず、議員個々の判断にゆだねるという。
河村市長は市民に公約したことを実現させることが、選ばれた市長の責務だと力説する。そして、言葉だけではなく、また、ぶれることもなく、公約実現に向けた努力を愚直に重ねている。そうした信念や胆力、行動力を持った政治家は、今の日本ではきわめて珍しい存在といえる。歴史的な政権交代のあの熱気が一気に醒めてしまったのは、国政レベルにそうした政治家がほとんどいなかったからだ。
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