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カルテ写し16人分保管=研究施設に、元無線長も―第五福竜丸被ばく
2010年7月20日3時1分
米国が1954年に太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験で被ばくした「第五福竜丸」の元乗組員23人中16人のカルテの写しが、放射線医学総合研究所(千葉市)に保管されていることが19日、分かった。被ばくの半年後に亡くなり、昨年7月にカルテが確認された元無線長久保山愛吉さん=当時(40)=の写しもあった。元乗組員の診療記録の存在が大量に判明したのは初めて。
放医研は「貴重な資料で永久に保管する。今は元乗組員の定期検診で過去の病状との比較に使っているが、要請があればほかの被ばく診療にも役立てたい」としている。
第五福竜丸は54年3月1日、操業中に水爆実験に遭遇。強い放射能を帯びたサンゴ片の「死の灰」が降り、乗組員23人全員が被ばくした。
約2週間後に帰港した乗組員は、7人が東大付属病院、久保山さんら16人が国立東京第一病院(現・国立国際医療研究センター、東京都新宿区)に入院。久保山さんは9月23日、乗組員の中で最も早く死亡。現在9人が生存している。
放医研は、放射能研究の専門施設として57年に設立され、両病院を退院した元乗組員の診療を引き継いだ。当初から担当していた医師が退職したため、90年代半ばにカルテを捜した結果、東京第一病院に入院した16人分を国際医療研究センターで確認、原本のコピーを入手した。東大病院の7人分は今も不明という。
放医研によると、写しはB5判で1人1〜2冊。退院までの体温の推移や白血球数の増減、肝機能の状態を表す黄疸(おうだん)指数、輸血時期などの検査データが詳細に記されている。データの質・量は原本と同じという。
久保山さんの死因をめぐっては、米国側が輸血起因の肝炎、日本側が被ばくによる放射能症と主張し対立。写しの表紙の診断名は全員が「放射能症」となっている。
[時事通信社]
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