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月刊日本編集部ブログ
平成22年4月22日発行(転載了承済)
民主党議員よ、甘えるな
窮鼠猫を噛む官僚とマスコミ
現在の民主党の混乱の原因は、民主党議員のほとんどが、昨年八月三十日の政権交代の意味をわかっていないことだ。
日本の議会政治ができてから今年で百二十年が経つ。この間、政権交代はしばしばあったが、いずれも有権者の選択による政権交代ではなかった。政党の話し合い、政党の談合による交替に過ぎなかった。これに対して、昨年の政権交代は、有権者の選択で実現した、初めての政権交代だった。この政権は、大和朝廷が律令官僚制度を布いて以来、初めて民衆が作った国家権力だ。
昭和三十四年に私が入った衆議院事務局は昭和四十年代前半頃まで、「国会議員は選挙区のことしか考えていないから、国家の政策を作る際には役人が管理しなければいけない」というような教育をやっていた。つまり、当時の政治家は、行政官僚、あるいは立法府の官僚の手のひらで踊ることが条件だったのだ。踊らない政治家に対しては、陰湿な形で妨害する癖さえあった。こうした官僚主導の政治が昨年の政権交代で変わりつつある。
大和朝廷が律令官僚制度を布いて以来、初めて民衆が国家権力を作ったということは、言葉を変えて言えば無血革命が起ったということだ。しかし、そのことを認識している民主党の政治家は小沢一郎氏以外にほとんどいない。
これに対して自民党の政治家には「無血革命」が起ったという認識があり、それを死活問題だととらえている。官僚のエリートもそうした認識を持っている。特に検察や警察など、秩序、治安、公安を担当している官僚たちは、旧体制の既得権で生きており、政権交代の意味を深刻に受け止めている。
既得権益を守りたい巨大メディアは、小沢一郎氏がテレビ、新聞を中心とする記者クラブ制度を廃止しようとしていることに、強い危機感を抱いている。記者クラブには外国特派員、雑誌記者、フリーの記者などは入れない。先進国の中で、こうした制度を維持し、大メディアだけが独占的に情報を得られるというような状況が続いている国は日本以外にない。
また、小沢一郎氏は新聞資本とテレビ資本の分離(クロスオーナーシップの禁止)によって、国民のために公正、公平な情報社会を作ろうと考えている。情報公開法を制定する際に、この問題を最初に提起したのは私だったが、そのときは誰も反応しなかった。クロスオーナーシップ禁止は、マスコミにとってはまさに死活問題だ。経営状態が悪化している新聞社は、テレビの収入でどうにか持ちこたえているのが実情であり、ここでクロスオーナーシップが禁止されたら、新聞社はやっていけない。
政権混迷の原因は「小沢排除」にあり
検察、警察、巨大メディアなどの旧体制は、小沢一郎氏さえつぶせば、民主党政権が続いても、手のひらに乗ってくれると考え、とにかく「小沢つぶし」に躍起になっている。
まず昨年三月に西松建設の事件で小沢氏の公設第一秘書の大久保隆規氏が逮捕されたが、旧体制の目論見は失敗した。
彼らは、西松が作った政治団体はダミーだから「迂回献金」であり、従って虚偽記載だという論理を展開したが、西松の岡崎彰文元総務部長は検察側の再主尋問に「政治団体がダミーとは全く思っていなかった」と証言している。
小沢氏はこの事件で代表を辞めるという決断をし、政権交代をより確実にした。そこで、「凛の会」が障害者団体向け割引郵便制度をめぐり、厚生労働省に偽の証明書を発行させたとして、これを事件にした。この狙いは、石井一参議院議員だった。ところが、厚生労働省元局長の村木厚子さんは一貫して無罪を主張、この目論見も失敗した。
民主党議員は、小沢氏をつぶすという目的で、検察がマスコミと連携しながら動いているという実態について、もっと認識を深めなければならない。
民主党の党内状況について国民の関心が高まったとたん、生方幸夫副幹事長問題が発生した。生方議員を支持するグループは、小沢幹事長の進退をめぐって、マスコミに登場して気勢をあげている。これを渡部恒三氏が与党内の政局にしようとした。政権政党としてこんなことでよいのだろうか。
生方氏は、「民主党内で政策の議論をする機関がないので設置すべきだ」「党内を幹事長室が支配していて自由な発言ができない」「小沢幹事長は政治資金について説明すべきだ」などと主張しているが、政治の本質を知らない軽薄なマスコミ論の域を出ていない。
そもそも、民主党のマニフェストで一番大切なのは、政権の運営と政策の協議決定は政府に一元化する」という点である。そのために民主党の主要役員は全員入閣させるとあったはずだ。それで初めて政府一元化が可能になる。
ところが、鳩山政権発足に当たり、党内外の反小沢の連中が計画的に、小沢排除を企てた。選挙と国会対策だけを所管とし、政策や政権運営の協議決定に関与しないことを条件として、鳩山代表は小沢氏を幹事長にした。その直後、小沢氏と電話で話をした際、私は「幹事長が政策の協議に参加しないで議院内閣制が成り立つのか」と言ったが、彼は「まあまあ、うるさいことを言うな。時期が来たら、マニフェストの通りになるから」と語っている。小沢氏は、そこでゴネたら政権ができないと判断して譲ったのだ。政策調査会を置くべきだという連動をしている連中は、この間題の本質を見ていない。
三月二十一日のサンデー・プロジェクトには、民主党から当事者の生方氏、安住淳氏、小宮山洋子氏の三人が出演していた。彼らの論理は政治家の感性でなく、マスコミ人の感性であったことに問題があると思った。
マスコミ出身者の多くは、言葉巧みに私的なことを公的な論理にすりかえることが得意だ。また発言の場所も効果を考えるのか、政党人としてのルールを配慮しない癖がある。マックス・ウェーバーは弁護士と新聞記者は政治家に向くといったが、それが成り立ったのは二十世紀のはじめまで、大正時代までのことだ。いまやウエーバーの理論は成り立たない。
民主党は隠れ革マルから自民党などの連合体だ!
「党内で自由な言論ができない」という不満も、甘えに過ぎない。私が衆院事務局時代の境だが、率直かつ徹底した議論を小沢一郎氏は信条としていた。言論の自由は大切だが、それは秩序、ルールのもとに発揮されるものだ。政権をとっている政党なのだから、当然ルールに従うべきだ。これは人間の道だ。それでも無責任な言論の自由を確保したいのならば、組織から離れてからやるべきである。
民主党という政党は、隠れ革マルから自民党の五十五年体制の尻尾をつけた人までいっしょにいる連合体だ。思想的には小泉・竹中の新自由主義路線、労組の既得権から脱けられない人々、そして共生社会を作ろうという人たちが混合している。
民主党がいかにあるべきかを考えるとき、少なくとも私は、人間の在り方、国家社会の在り方についての世界観、宇宙観を共有してほしいと思う。ところが、いまほとんどの議員は人間の世界観というものがわからない。最近の国会議員の劣化は甚だしい。
物事の本質を見極める力もなくなっている。最近私は、
『坂本龍馬の10人の女と謎の信仰』(幻冬舎新書)という本を書いたが、竜馬の発想方法から学ぶべき点は少なくない。「北辰一刀流の妙見法力」には、物の本質を知るための四観(「離観・高観・影観・光観」)という考え方がある。「問題を離れて観る」、「鳥のように高い所から総体的に観る」、「敵の形をよく観てから光があたる場所を観る」。そうすることによって、真実の姿を観ることができるということだ。真実の姿を捉えるために、政治家はこうした発想を身につける必要がある。
古代宗教においては、信仰の対象は太陽、月、星の三つだ。太陽は生命の源泉であり、繁栄の象徴だ。月は変化、すなわち季節、時間という移ろいゆくもの、はかなきものの象徴だ。
星(北極星)は、何事にも揺るがない不動性、安定性、平等性を示している。ところが、近代は、太陽の論理、すなわち資本主義的繁栄を崇める「欲望する権力」によって、月と星を駆逐してしまった。古代宗教の世界観を回復すれば、日本の政治はよくなるはずだ。
政治資金規正法を即刻見直せ!
われわれは、「政治資金規正法」自体の問題点を認識する必要がある。多くの政治家がこの法律をザル法と軽視しているが、それはとんでもないことだ。確かに資金の会計処理などについては、ザル法といわれても仕方ない部分が多くある。
しかし法律の基本構造において、極めて大きな問題がある。
この法律は昭和二十三年に衆議院の議員立法で作られたが、その実態は、旧内務省の官僚たちが衆院法制局に入り込んでいて、とんでもない仕掛けをしていたのだ。それは、俗にいう「白地刑法」、つまり、罪となる行為の具体的内容が明確ではない刑罰法規だ。政治資金規正法は収支報告の「虚偽記載」について罰則を書いているが、どういう状況が違反となるという「構成要件」を規定していない。要するに検察の一方的な解釈によって、事件にできるということだ。小沢事務所に対する一連の検察のやり方は、政治資金規正法を思想犯か公安事件という発想で運用したもので、戦前の特高警察のやった治安維持法の運用と変わらない。構成要件のない白地刑法で別件逮捕し、強迫的に尋問して自白させて起訴しようというやり方だ。この法律を即刻見直す必要がある。このまま、こんな法律を続けていたら、日本の議会制民主主義は崩壊してしまう。
私は、ベテラン議員や民間の有識者等で構成する「憲法オンブズマン」を作ることを提唱したい。国家の柱になる機関の在り方に対するチェック機能だ。例えば、マスコミの権力的弊害を健全な形で指摘したり、政党、検察・警察の権力、宗教団体などの在り方に対して健全な監視機能を働かせる必要があるからだ。(三月二十四日『月刊日本』講演会誌上採録)p-31
平野貞夫(ひらの・さだお)
1935年生まれ。法政大学大学院修士課程修了。園田直副議長秘書、前尾繁三郎議長秘書などを経て、92年に参議員初当選、自由民主党、新生党、新進党、自由党なとを経て、2003年民主党に合流。04年に政界引退。著書は『平成政治20年史」「国会崩壊」など多数。
(関連)
●【月刊日本特別講演会 平野貞夫「敢えて民主党を叱る」 自己紹介から・・・】2010年03月25・26日
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投稿者 matuoka yuuji 日時 2010 年 4 月 27 日
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