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政治家に「政治とカネ」の問題が起きると、メディアは集中豪雨のように報道します。しかし、そういう報道するメディアの記者たちが政府からカネをもらっているとしたら、報道する内容に大きな疑念が生じます。 民主党の小沢前幹事長の政治とカネを巡る疑惑については検察からのリーク情報に基づき、過剰なほど報道するメディアが、自分たちの問題になると、いっさいだんまりを決め込み、報道しない─こんなバカなことがあってもよいのでしょうか。
この問題で一人頑張っているのが、フリージャーナリストの上杉隆氏です。彼にはメディアサイドから有形無形のさまざまな圧力が今でもあるそうです。その上杉隆氏にまつわる知られざる2つの話題を提供します。
ひとつはテレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』から上杉氏に連絡があり、6月1日に官房機密費の特集を収録するのでゲスト出演して欲しいという依頼があった話です。ところが、直前になっていきなり中止になったというのです。局側に説明を求めると、同番組では野中広務氏をメイン出演者にする予定であったが、野中氏のスケジュールが合わず、VTRにも出たくないということで中止になったというわけです。
上杉氏は、TV局がいったん企画を立てて出演依頼をしておきながら、突然中止になるということはまずないことなので、何か企画を中止せざるを得ない「力」が働いたと思われる─このように述べています。もうひとつは、日本テレビ系『太田光の私が総理大臣になったら・・・』での話です。6月18日のことです。番組側は当初、政治評論家ら10数名に出演を依頼したものの、ほとんどの人に断られてしまったというのです。
結局、出演したのは、政治評論家の有馬晴海氏と上杉隆氏の2人だったのです。しかも上杉氏は米国出張中で、海外からの衛星中継での出演だったのです。したがって、当初の企画とはかなり違う内容になったのですが、とにかく放送されたことは画期的なことだったといえます。爆笑問題の太田光氏は、番組自体には何も働きかけの事実はないとし、次のように述べています。
−マスコミが報道しない、メディアが口をつぐんでいるということになれば、日本のメディアは全部駄目ということになる。俺はその中にいて、どうしてもそうは思えない。いままでに『太田総理』でこういって欲しいといわれたこともない−
しかし、上杉氏が「それなら、なぜいつもは出演するマスコミの人たちが、10数人も出演を断ったのですか」と聞くと、「それはおかしいと思う」と太田氏は認めたというのです。一般的にいえば、人は新聞が書いていることやテレビが報道していることは正しいと思っているし、まして繰り返し報道されれば、ますますそれが正しいと信じてしまいます。
それに検察が誰かを逮捕・起訴すれば、きっとその人は悪いことをしたのだと考えるものです。誰も、検察のやっていることを露ほども疑っていないからです。ましてや検察とメディアが記者クラブを介してつながっているなど考えもしないと思います。
しかし、今回の小沢一郎氏をめぐる検察の取り調べ、逮捕、起訴やそれを無批判に垂れ流すマスコミの報道のウラを探ってみると、こと小沢問題に関する限り、検察や検察審査会、それをめぐるメディアの報道は常軌を逸しています。かくして小沢一郎氏は、政治に絡むカネを集める古いタイプの薄汚い政治屋というイメージを着せられており、多くの国民がそれを信じています。
野党、いや同じ民主党内の反小沢派といわれる人々も、それを政治的に利用して既に幹事長職を降りた小沢氏に対して、その追い落としをはかろうとしています。しかし、事実はまるで違うのです。普通小沢氏を批判する人ほど小沢氏についてよく調べず、自分の感情と世間一般の風評だけで「あいつは悪いヤツだ」とアタマから決めてかかっていますが、それはメディアが作り出した虚像です。
小沢氏にかかわるあらゆる情報を集めて客観的に分析した結果では事実はぜんぜん異なるのです。それはEJの72回の「小沢一郎論」、ここまで61回の「ジャーナリズム論」を読んでいただければわかっていただけると信じます。はっきりしていることは、小沢氏に敵対する人は、小沢氏を強敵と見ており、潰しておかないと、自分たちにとって不利益であると考えているということです。
それは小沢氏が稀有な能力を持つ有能な政治家である証拠であると思います。参院選も終ったことですし、「ジャーナリズム論」は今回で終了し、「新ジャーナリズム論」に引き継ぎます。最後に、副島・佐藤両氏の次の言葉を紹介します。
副島:民主党の若い大臣たち、と言っても私より5歳ぐらい若い政治家ばかりですが、 放っておくとすぐに旧い勢力に取り込まれる。アメリカの手先にも進んでなろう とする。はっきり申し上げれば、小沢一郎が倒れたら、今の民主党は危機を迎え ます。小沢一郎の革命路線を守るためには、佐藤さんが言われた「協同戦線党」 的な国民運動をつくるしかない。もっと民衆が民主党政権の存亡に関心を寄せな ければいけないと思います。
佐藤:そのとおりです。小沢一郎を守ることによって、たとえ一時、経済が苦しい状況 になっても、なんとか持ちこたえることができると私は思っています。もし、こ こで小沢一郎が敗れれば、どーんと二重底の底が抜けて、恐らく国民の6000 万人から7000万人がその底のほうに落ちて、永遠に這い上がれないという状 況が私には見えます。
─副島隆彦×佐藤優著/日本文芸社刊『小沢革命政権で日本を救え/国家の主人は官僚ではない』[ジャーナリズム論/61]
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