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平成22年7月14日掲載
ああ、ダムありきの“恥水”対策よ
国土交通大臣が昨年末に設置した「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」は、「コスト最重視で判断」と昨日、公表しました。その7月13日は後世、「脱・脱ダム宣言の日」として記憶されるでありましょう。
「縦(よ)しんば、河川改修費用がダム建設より多額になろうとも、100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい」と謳(うた)った2000年2月20日の「『脱ダム』宣言」とは異なり、山紫水明な日本の治水政策が、「ダムありきの“恥水”対策」へ後退が確定した忌(い)むべき日として。
共同通信に拠(よ)れば、「八ツ場ダムを始めとする全国84ダム事業を検証する考え方を示す判断基準案」は、「『コスト』『安全度』『実現性』『環境への影響』など8項目で」、「ダム建設を前提とする河川整備計画と同等の安全度を備えた代替案を2〜5案作成」。「最重視するコストには、ダム中止に伴い発生する経費も盛り込む」のです。
これで、民主党目にフェストで建設中止を明記した八ツ場ダムの建設続行が確定。のみならず、「コスト最重視で判断」すれば、遊水地、放水路等の代替案よりも「安上がり」との理由で、大半のダム事業も着工されるでしょう。
何故なら日本の治水学者とは、“ダムありき”の御用学者なのです。その彼らが策定する代替案の金額が、ダム建設よりも廉価に算出される筈もありません。「八ツ場ダムは中止の方向で」と昨日の会見でも大言壮語した担当大臣は、“目が開いていない”と形容するしかありません。
決壊を防ぐべく堤防内部に鋼矢板を垂直に打ち込む他国とは異なり、砂利以外の不純物を混入させず、とトンデモ理屈を御用学者が唱える日本では、表面のコンクリートを浸潤して平時から堤防内部が液状化しているのです。これを改めるだけでも、「コスト最重視」の治水強化なのに・・・。
そもそも、「コスト最重視で判断」するなら、防衛も教育も福祉も全廃、の恐るべき選択となります。コストで計れない領域を、だからこそ、民間ではなく政府や行政が担当するのではありませんか? その公理すら弁(わきま)えぬ松下政経塾出身者を中心とする偏差値マニュアル坊や集団は、「私は国民と政権をつくる。」と今回のマニフェストで宣言した菅直人氏にとって、逆命利君ならぬ“逆命劣君”。
宰相の覚醒を願うや切、であります。
カテゴリー:インタラクティブ, 日刊ゲンダイ にっぽん改国
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