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子ども手当も保育所拡充も必要。
それに加えて、正規・非正規雇用の身分差別撤廃も必要。
区別は、「フルタイム勤務」か?「短時間勤務」か?
それだけで充分だろう。
スキルが同じであれば、時間給は同じで当然だ。
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子ども手当や保育所拡充では、少子化は止められない(東洋経済)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100714-00000000-toyo-bus_all
6月から地方自治体で子ども手当の支給が始まった。中学生以下の子ども1人に月1万3000円。2011年度からは、保育所拡充など別の少子化対策も含め上積みが検討されることになった。
そんな折、6月2日には、09年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子どもの数)が08年と同じ1.37になったと発表された。出生率は05年に過去最低の1.26まで落ち込んだ後、06年から08年まで小幅回復が続いたが、そのトレンドが止まってしまった。リーマンショック後の景気低迷や雇用不安などが影響したためだ。
06〜08年の回復も、晩婚化や晩産化が進み、産むのを遅らせていた女性が年齢を意識して出産した一過性の要因が大きいとされる。出生率は決して上向いていないのである。
はたして子ども手当が定着すれば、出生率は回復に向かうのだろうか。あらためて考えてみたい。
■崩壊した出会いの仕組み
この点に関して、専門家の間では懐疑的な見方が多い。「少子化対策は総合的に行うべきであって、子ども手当だけでは解決しない」(東京大学の佐藤博樹教授)、「少子化の主因は未婚化なのだから、子ども手当の効果はあまりない」(中央大学の山田昌弘教授)といった具合だ。
少子化の直接的な原因について、第一生命経済研究所の松田茂樹主任研究員は、「7割は未婚化にある。夫婦から生まれる子どもの数は、それほど減っていない」と指摘する。
婚外子の多い欧州などと違い、日本では、結婚する人が減れば、子どもの数も減る。子ども手当は、すでに結婚して子どものいる人に対する政策である。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)によれば、最新の05年のデータで、男性の生涯未婚率は16%弱、女性は7%強である。上昇傾向は加速しており、男性の6人に1人は、生涯通して独身なのである。
では、なぜこれほどまでに未婚率が上昇しているのだろうか。
その要因を大きく分けると、経済的なものとそれ以外になる。
経済的要因とは、若年層で増えている不安定な雇用と、それに伴う収入の少なさ、などである。現在、20歳代の雇用者のほぼ3割は、アルバイトなど非正規雇用である。厚生労働省の調査では、非正規は正規より男女とも結婚しない割合が高い。
一方、経済面以外の未婚率上昇要因はさまざまだが、社人研の「出生動向基本調査」(05年)によると、25〜34歳の男女が独身にとどまっている理由として最も多いのは、男女とも「適当な相手に巡り合わない」ということだ。これは、1990年代から一貫して同じである。
最近のあるアンケートによれば、30歳代前半の独身男女で、交際相手がいない人は約8割にも達している。しかもこの比率は年々、上昇傾向にある。
出生動向基本調査によると、いずれは結婚しようと考える未婚者(18〜34歳)は、80年代から9割前後で推移。昔も今も、若者の結婚意欲は変わっていない。
かつては、お見合いの制度があり、適齢になれば親族や職場の上司が相手を紹介するなど、周囲が駆り立てるような仕組みがあった。ところが、そうした社会構造は崩れてしまった。
東大の佐藤教授は、「男女の出会いの社会構造が崩れてしまったのに、それを知らずに出会いを待っている若者が多い。若者のコミュニケーション能力も落ちているのを感じる。出会いの社会構造が崩れたことを認識したうえで、男女問わず付き合いを広げていくべきだ」と言う。
■再挑戦が可能な社会を
こうした社会構造や若者の特性まで政策で変えるのは、難しいだろう。ただ、男女の出会いにも、経済状況が一定程度影響しているのは間違いない。であれば、経済や雇用の部分でとるべき対策はあるはずだ。
日本では、結婚に際し伝統的に女性が男性の収入に頼る傾向が強く、最近は専業主婦志向も強まっているといわれる。女性が結婚相手と考える男性の最低条件は、雇用が安定し高収入という点が多い。現実には、昨今の経済状況もあり、そうした男性は減っている。それが出会いすらあきらめてしまう風潮にもつながっている。
今の若者が結婚・出産を望んだとしても、非正規雇用者同士、あるいはどちらか一方が非正規というカップルになるケースは少なくない。
そう考えると、子ども手当のような経済的援助は結婚・出産へのインセンティブになりうる。しかも、「2人目や3人目の金額を多くしたほうが、少子化対策として効果は大きい」(第一生命経済研究所・松田氏)。出生率が2近くまで回復したフランスでは、子どもが1人よりも2人、2人よりも3人いたほうが、有利になるような政策設計になっている。
また、女性には出産・子育て期間も働き続けたいという人は多い。彼女たちにとって最大の問題は、仕事と出産・子育ての両立である。
働き続ける女性や共働き夫婦の育児支援策として、まず指摘されるのが保育所の定員増や新設だ。ただ、これにも注意が必要である。待機児童は、東京などの大都市圏に、かつ0〜2歳児に大半が集中している。全国一律に保育所を増設しても効果は乏しいのである。
このほか、育児休暇については、ようやく普及してきたものの、非正規雇用者は取ることができない。正規雇用者にとっても、子育ては何年にも及ぶため、結婚や出産を機に仕事をやめてしまう女性も多い。日本では、出産などでいったん退職すると、再び働くには非正規でしか戻れないことがほとんどである。
中央大の山田教授は、「企業の新卒一括採用から見直すべきだ。そこでコースに乗れないと、非正規となり、結婚しにくくなる。途中で、非正規から正社員になれるような多様な働き方ができる社会にしないといけない」と言う。要するに、若者にとって再挑戦が可能な社会である。
法政大学大学院の小峰隆夫教授は、「出産・子育てで仕事をやめたときに女性が失う収入、つまり機会費用が大きいので、仕事を続けるか、仕事をやめて出産・子育てを選ぶかという二者択一に悩み、出産・子育てをあきらめてしまう女性も多い。女性の働き方の問題を解決しないと、少子化は止まらない」と見る。育児休暇や保育所の拡充に加え、育児期間中は短時間労働が選択できるような仕組みも必要なのである。
女性や若者の働き方まで含めた、総合的な対策を早急に考えないと、少子化は止められない。
(シニアライター:柿沼茂喜 =週刊東洋経済2010年7月3日号)
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