http://www.asyura2.com/10/senkyo90/msg/541.html
Tweet |
http://critic6.blog63.fc2.com/
マスコミが、菅直人と執行部の免責キャンペーンに血道を上げ、民主党の敗北の責任を小沢一郎に押しつけている。普通は、選挙で敗北すれば党首は責任をとって辞任する。98年の橋本龍太郎がそうだった。89年の宇野宗佑も、91年の宮沢喜一もそうだ。07年の安倍晋三のときは、幼稚で往生際が悪く、醜態を曝して粘ったが、結局は1か月半後に辞任した。
04年の小泉純一郎のときは、改選を1議席下回る敗北だったが、幹事長の安倍晋三が辞任して責任の始末をつけている。参院選で改選を10議席も下回り、目標の勝敗ラインに遠く及ばない大惨敗を喫した党首が辞任せず、党首はおろか幹事長まで責任をとらない今回の事態は前代未聞。
異常なのは、執行部以上に敗北の責任を不問に付すマスコミで、必死になって擁護と免責の声を張り上げる錯乱報道が続いている。朝日が3年前の安倍晋三に何を言っていたのか、証拠の記事を探し出してみたい。朝日を始めとするマスコミの菅直人と執行部擁護の主張には二つの特徴がある。
一つは、まだ首相に就任して1か月も経ってなく、そんなに急に変えると世界の笑い者になるという言い草だ。しかし、それなら宇野宗佑も同じだろう。朝日は同じ理由で庇ってやったのか。もう一つは、執行部批判をしているのが小沢派の連中で、小沢派は国民の敵だから、執行部は辞任の必要はないという論調だ。正義の執行部と悪の小沢派のコントラストで執行部を擁護する論法。
今回は、この悪質な論法と演出が際立っている。菅直人と執行部の責任を問う声は、別に党内の小沢派だけから上がっているわけではない。国民の間の常識的な反応だ。最も正論の主張は、谷垣禎一が言っているとおりで、菅直人自身が参院選で国民の信を問うと言ったのだから、信を得られない結果が出た以上、自分の言葉に責任を持って退陣するべきだという議論である。
この常識に反論できる主張はない。しかし、マスコミはその常識を無視し、恰も小沢派のみが執行部批判をしているように演出して報道し、悪の小沢派の攻撃から正義の執行部を擁護すべしという論陣で菅直人を免責するのであり、責任論を不当だと排斥するのである。こうしたメッセージを新聞とテレビで発信することで、朝日や毎日は民主党の県連や関係者の執行部批判を押さえ込み、また、「消費税増税を公約したから選挙に負けた」という事実を隠蔽しようとしている。
菅直人の消費税増税による自滅選挙という事実の確定を妨害し、そうした一般世論が定着しないように攪乱を図っている。世論を操作している。現実には、小沢派の周辺だけでなく、選挙を戦った多くの民主党関係者が菅直人の消費税戦術に怒っていて、当選できる者を落選させたと嘆いている。総括と責任追及が必要だと感じている。
特に1人区の地方の県連や連合はそうだ。だが、マスコミはその真実を伏せて報道しない。小鳩体制で選挙していればもっと負けていたという見方を流している。昨夜(7/12)の報道ステーションでの、星浩と一色清のプロパガンダも目に余る内容だった。番組の映像で、栃木のイチゴ農家に1万5千円の農家最低所得保障は無駄だと言わせ、横浜の主婦に将来の負担が不安なので子ども手当は不要だと言わせていた。
現在、農家最低所得保障の対象になっているのは米作農家だけで、イチゴ農家の口からその種の不満が出るのは不思議ではない。言わば、ある種の嫉妬と不公平感を動機にした苦情と解すべきで、政策そのもののへの評価とは無関係な感情の表出と判断していいだろう。
横浜の主婦の方は、港北区に住む見るからに富裕系の主婦を登場させていて、子ども手当の恩恵を実感することのない生活者の発言であるのは明らかだった。東京都足立区や地方過疎地の主婦を登場させていれば、映像も発言も全く違った中身になっていただろう。一色清の主張は、民主党のマニフェストの政策には不要なものが多く、厳しい財政事情を考えて、来年度予算では早く切り込まないといけないというものである。
「国民の生活が第一」を否定する議論だ。その主張を正当化するため、わざわざ番組スタッフに出張取材をさせ、栃木のイチゴ農家に農家最低所得を批判させ、横浜市港北区の主婦に子ども手当不要論を言わせていた。この一色清の主張は、誰もが気づくとおり、谷垣禎一の主張とそのまま同じである。民主党は鳩山マニフェストの「バラマキ」政策を撤回せよという主張。一色清は、民主党に自民党の政策と合わせることを促している。
政策で大連立せよとせっついているのであり、すぐに始まる予算編成では、自民党の要求を全面的に受け入れ、「国民の生活が第一」の諸政策は放棄しろと言っているのだ。昨年まで官僚が作ってきた予算に戻し、マニフェストの新政策を入れて予算を膨らませるのは止めろと言っている。
国債を発行してまで、「国民の生活が第一」の政策を実行する必要はないと言う。もともと、「国民の生活が第一」の政策の財源は、無駄を削って捻出する16.8兆円で充当するというのが昨年の公約だったが、その無駄を削る点については一色清は捨象して何も言わない。このようにして、一色清と自民党と菅直人によって、昨年の民主党の政策公約は貶損され、無意味な画餅にされて廃棄同然の扱いにされつつある。朝日新聞は、小沢一郎と「国民の生活が第一」に悪性レッテルを貼り、丸ごと焼却処分にして、国民にそれを忘却させようとしているのである。「国民の生活が第一」の政策への支持は誤りだったと、そう国民に刷り込むべく、観念操作のプロパガンダに躍起になっている。
それは、「構造改革」路線に戻った菅政権への支持に誘導するため、消費税増税を受け入れさせるため、法人税減税を来年度からスタートさせるため、そして、無駄を削りたくない官僚の意向を通すためである。これだけ国民は消費税増税に反発し、民意を投票で示しているのに、朝日はその民意を無視し、別の「民意」に偽造して報道している。
消費税増税への認識が高まったなどと出鱈目を言い、菅直人の「功績」を褒めてやっている。星浩も、特に消費税に対して拒絶反応を示した農村の有権者に対して、今はグローバリズムの時代だから財政再建のためには消費税負担はやむを得ないのだと言えと言い、丁寧に説明すれば増税を納得すると言っていた。
そして、民主党の場合は鳩山マニフェストの政策で歳出が膨らむから消費税は13%になり、自民党はそれがないから消費税10%で済み、次の衆院選は10%増税の自民を選びますか、それとも13%増税の民主を選びますか、どちらがいいですかという選挙になるなどと脅しを垂れていた。
こんな粗暴な議論が解説と言えるのかと疑う。新聞記者は国民に選挙される立場に身を置かない。安全地帯であるテレビの解説席の話だから、このような無責任な暴論を平気で吐ける。しかし、政治家は国民の前で票をもらうべく公約を言わなくてはならない。次の衆院選が2年後にあったとして、果たして、星浩の言うような13%や10%の消費税公約をグローバリズムと財政再建を理由に有権者に説得できるだろうか。
2年後には、今よりももっと貧困層が増えている。低所得の弱者が生活苦に喘いでいる。特に地方はそうだろう。そういう選挙区で、消費税13%がいいか、消費税10%がいいかというような選挙になるだろうか。当然、消費税を上げる前に無駄を削れと言う政党が勝つだろう。政党は、選挙で票を得ようとすれば、増税よりムダ削減だと訴えるはずだ。
自民党もそうなる。今回は野党での参院選だから、民主党と比較した差別的優位性を狙って10%増税を掲げたが、政権がかかった衆院選では必ず慎重な姿勢に変わる。星浩の解説は、およそ政治解説とは呼べない愚劣な代物で、すなわち、官僚を代弁した国民への脅しであり、今度の選挙で消費税増税に失敗してふてくされている官僚の捨て台詞だ。次の衆院選までに官僚がムダ削減を怠業すれば、必ずどこかの政党が「増税よりムダ削減」を公約にして選挙に勝利する。そう指摘することこそがリアルで正確な政治分析であり、国民の視点に立った報道者が示すべき政治解説の提供ではないのか。
昨夜(7/12)の放送の中で、星浩がやや意味不明の独り言のようなことを言っていたが、注意して聴き取った者はいただろうか。13%増税の自棄の暴論の後、奇妙なマスコミ批判をやっていた。マスコミの記者の中で、菅直人や枝野幸男を批判して責任を問う者がいるが、口を慎めという旨の苦言を呈し、政治記者は政局話にかまけず、経済記者は専門領域だけの関心で政治を論じるなというような意味のことを言っていた。
これは、視聴者に喋っているのではない。身内に向かって囁いているのだ。岸井成格とか、日経の誰かに向かってメッセージを発信しているのである。選挙後に身内で何か悶着があったのではあるまいか。想像するに、おそらく、マスコミの中で政局への対応が分かれている。菅直人を擁護する急先鋒が朝日で、読売と日経は、菅政権を追い詰めて潰してもいいのである。自民党の方に政権を戻したい欲望が強いのだ。
したがって、選挙の意味づけの記事表現とか、選挙後の報道姿勢で差が出る。彼らは、日常、頻繁に会合して情報交換し、どういう報道をするかを協議している。世論操作の作戦と分担を練っている。もし、私が想像したとおりで、消費税増税に失敗した菅政権に対する処置をめぐってマスコミ内部で亀裂を起こしているとすれば、その差は、選挙後の世論調査の報道に現れて出てくるだろう。
谷垣自民に肩入れする側は、すぐに内閣支持率の下落を発表、その報道をぶら下がり会見のネタにし、菅直人の不機嫌なリアクションをさらなる支持率低下の誘因軸にする。また、「菅首相は責任をとって辞任すべきか」を問う世論調査をして、数字を高めに出し、これもぶら下がり会見のネタにするはずだ。
今、その世論調査について、水面下で駆け引きが行われている気配が臭う。朝日は、菅直人と執行部の責任を問う世論調査を避けたいのだ。だが、他紙がやって朝日がやらないわけにはいかない。最近の世論調査は、クエスチョネーアのスペックが各社横一列で同じで、タイミングだけが微妙に差があるだけだ。
報道各社が事前に相談して、質問票の設計を共通仕様にしている。各社で出力される数字が違うだけになっている。調整の陰謀が察せられる。論説幹部が密かに集まって、おたくはこれだけ、うちはこれだけという数値の範囲と異同を決めている。マスコミの世論調査は政治だ。それは、きわめて重要な政治である。
例えば、明日の新聞とニュースで、「菅首相は責任をとって退陣すべきか」を聴いた世論調査が一斉に発表され、賛成が60%で反対が20%と出されると、菅直人は続投で居座るのが困難になる。これを阻止するために、まさに官房機密費が使われるのであり、特に読売に対して入念な工作が必要になるのだろう。星浩は、同業者による選挙後の世論調査に神経質になっている。
無論、国民としては、その世論調査に関心がある。世論一般の判断と反応を知りたい。つまり、報道機関にとってはこれは売れる商品である。昨夜(7/12)、NHKの9時のニュースに出演した仙谷由人も、報道の世論調査の動向を気にして、さかんにNHKと他マスコミに対して牽制を仕掛けていた。圧力をかける意味の脅しだ。世論調査をするなと言っているのである。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK90掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。