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http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100714/plc1007140036000-n1.htm
参院選投票日から3日目となる13日になっても、民主党前幹事長の小沢一郎は党の大敗について不気味な沈黙を守っている。公の場に姿を現したのは、選挙戦終盤の8日、石川県加賀市での応援演説が最後だ。
小沢グループ関係者は東京・深沢の自宅には戻らず消息不明の小沢について「都内にいる」と語る。首相、菅直人は13日夜「(小沢と)お会いしたいということで、事務方を通して要請している」と述べたが、本人とは連絡がとれていない。小沢の肉声は断片的に漏れてくるのみだ。
小沢の要請で民主党から出馬し、初当選した女子柔道金メダリストの谷亮子は11日夜、真っ先に小沢に当確を電話で連絡した。
谷「先生、当選です。ありがとうございました」
小沢「本当によく頑張ったね。おめでとう」
小沢の声は大きく、うれしそうだったという。
12日には、山梨選挙区で辛勝した盟友、参院議員会長の輿石(こしいし)東(あずま)を電話でねぎらった。
13日午前8時前には、今期限りで引退する参院幹事長の高嶋良充に電話し「奥さんは元気か」「東京にいるのか」などと気遣った。
小沢は直接政治的メッセージを発信していないが、じわじわと菅らを締め上げる意図は漏れ伝わる。小沢に近い中堅議員は余裕の笑みをうかべながら語った。
「(幹事長の)枝野幸男たちはもう死に体だ。人気漫画(北斗の拳)のセリフをまねれば『おまえはもう死んでいる』だ。早晩自滅する執行部をわざわざ批判しなくてもいい」
別の側近も「9月の党代表選への手は打った。菅の無投票再選はあり得ない」と明かす。
11日には小沢が自民党の元首相、森喜朗、元幹事長の古賀誠と密会した−とのうわさも流れたが、複数の小沢グループ関係者は「参院選の最中に九州で小沢・古賀会談があった」と証言する。小沢は6日、熊本県を訪問している。政局流動化に備え、離党カードの保険をかけようというのか。
高嶋らが開催を求めた両院議員総会では執行部批判が噴き出すのは確実だ。
菅サイドも座視しているわけではない。国土交通相、前原誠司のグループ議員は(1)「政治とカネ」は小沢の問題(2)小沢の複数区の2人擁立戦略は失敗(3)選挙中に小沢が執行部批判をして団結を乱した−との「反論3本柱を用意した」と語る。対決の時は着々と準備されている。
鬼門の両院議員総会
「首相の消費税発言は明確な戦略ミスだった」「不満のガスはたまっている。謝罪がなければ受け入れられない」…。
民主党の中堅議員らは口々にぼやいている。大敗を喫したにもかかわらず、首相の菅直人をはじめ執行部が続投する方針を示したことで、党内の戸惑いと憤りは強まるばかりだ。来週中にも開かれる予定の両院議員総会では、菅らへの注文、批判が相次ぎそうだ。
両院議員総会は、直近の国政選挙の結果を総括する場でもあり、党運営や指導力が容赦なく批判、裁断される。ときの執行部にとっていわば「鬼門」。党規約では党大会に次ぐ議決機関と位置付けられており、「理論的には代表更迭もできる」(幹部)のだ。
過去、執行部がもっとも厳しい批判にさらされたのは、平成17年9月の郵政選挙後の両院議員総会だ。投開票日の4日後に開催された総会では「改革の姿勢をアピールできなかった」「郵政民営化の対案を出さなかった」など、岡田克也代表ら当時の執行部をなじる声が続出した。
自民党との「大連立」構想の頓挫をめぐって、いったん辞意を表明した前幹事長の小沢一郎(当時代表)の続投を決めた19年11月の両院議員懇談会は総会同様、公開となった。現官房長官の仙谷由人は、党内からの続投要請に気をよくした小沢にクギを刺した。
「小沢氏と議員団の意思疎通は表層的だ。『小沢代表がこういっているらしい』と間接話法で語られると、政策論議が止まる」
小沢の側近グループは、このときに味わった屈辱を忘れていない。
党内結束に必死
菅は13日午後、党本部で前首相の鳩山由紀夫、代表経験者で国土交通相の前原誠司、元衆院副議長で党重鎮の渡部恒三とそれぞれ会い、これからの政権運営への協力を要請した。
「今後ともよろしくお願い申し上げます。何かご意見があれば、何なりとご指導ください」
本来はプライドが高い菅はひたすら低姿勢だったという。何とか党内をまとめ、求心力を保とうと必死なのだ。この日午前の閣僚懇談会では次のように述べ、今後の政権運営に意欲を示した。
「責任論が全くないとはいえないが、内閣で一致して求心力を高め、この国の課題を解決し、改革を進めていく決意なので協力をお願いしたい」
だが、責任論を封じ込めてとにかく事態を沈静化したい菅の思惑とは別に、閣議後の記者会見では閣僚からも異論が相次いだ。
「新幹事長(枝野幸男)が戦略転換できなかったのは大きな間違い。党の方でなにがしかのけじめがないとピリッとしない」(防衛相の北沢俊美)
「私自身も含め、執行部を構成する人間は何らかの責任はある」(政調会長兼公務員制度改革担当相の玄葉光一郎)
こうしたちぐはぐな状況に、ベテラン議員は「こんなことをしていると、菅らが一番恐れる『小沢の復権』をスムーズにさせてしまうぞ」と警告するが、菅政権の迷走は止まらない。
執行部の一人は、菅政権の現状を率直に明かす。
「ジェットコースター政局だから、先は予想がつかない。5月と6月、6月と7月でこんなに風景が変わるとは思わなかった。8月のことなんて分からない」
参院選後の民主党はさながら、目的地がどこかも分からないまま、五里霧中の深い森をさまよっているかのようだ。(敬称略)
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