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星に託した願いは届かず、選挙の結果は最悪で、消費税増税反対派の勢力は惨敗を喫した。国共社3党は改選前10議席から半減の5議席へ。増税賛成派の民自2党は改選前92議席から95議席に伸ばし、たち日と改革を合わせれば97議席を獲得。消費税増税に反対の民意は、消費税反対の政党への投票行動にはならなかった。
ただし、最低限の目標であった民主党の現有54議席は阻止。阻止どころか、8議席も減らせて大敗させ、与党の参院過半数割れを実現し、衆参ねじれの事態まで現出させた。これは、やはり、国民が菅直人の消費税増税に対して強い拒絶反応を示した結果と言わざるを得ない。予想どおり、菅直人は策士策に溺れるで、選挙に勝つべく狡猾に採用した消費税増税の作戦が逆効果となって敗北した。
国民は、民主党の消費税増税は拒否しながら、同じ増税策を掲げる自民党に票を入れたことになる。なぜ、国民の消費税反対の意思は国共社への投票に向かわず、自民党に流れ込む展開となったのだろう。それは、簡単な答えを探せば、民主と自民が一騎打ちとなった地方の1人区で、創価学会の集票を得た自民党が、消費税ショックで劣勢となった民主党を制したからだと言える。
消費税増税に最も強い拒絶を示したのは、高齢な経済的弱者が多く住む地方だ。皮肉なことに、その地方で、民主党の票が止まった分、自民党が勢いを得て議席を獲得した。民主と自民の政策が同一で並べば、地方では自民の方に票が入る。議席全体を見ると、自民51民主44で、自民が圧倒した結果となったが、比例は民主16自民12であり、2党の間には大きな票差がある。
つまり、地方1人区の接戦の勝利が自民に議席を与えている。どうやら、地方で自民を復調させてしまった。公明の協力で票を得れば、小選挙区で再び勝てるという展望と自信を与える結果となった。谷垣禎一は、昨夜(7/11)の勝利会見で、菅直人は参院選で国民に新政権の信を問うと言ったのだから、信を得られなかった以上、速やかに衆院の解散に応じよと迫っている。
この要求は正論で、そして、今すぐ総選挙を行えば、民主は大敗して政権を失うだろう。今回の結果で、民自が大連立に向かう可能性は高いが、一直線にそこに至るのではなく、谷垣禎一は先に解散を求め、自公による政権奪回を戦略的に先行させる。選挙前に論議されていた大連立は、あくまで民主が主導権を握る形での大連立だった。が、ここまで自民が大勝すると、どちらが主導権を握る大連立なのか混沌となった。
選挙前の谷垣禎一は弱気で、選挙後の大連立はあるのかという質問に対して、即答で否定せず言葉を濁していたが、大勝の結果を得て自信を持ち、大連立には応じず解散を求めると断言するようになった。欲が出てきたのだ。大連立は、衆院選で議席を伸ばし、政権内での自民の取り分を増やしてからでも遅くない。死んだはずの自民が菅直人の自滅で蘇生した。
今後、政局は縺れるが、内部が動揺する民主を野党とマスコミが突っつき、民主の政策を自民と完全互換にするよう要求しながら、大連立か解散総選挙の選択へとドライブする構図となる。消費税と議員定数がアジェンダとなりつつ、民主と自民の「超党派の協議」すなわち政策大連立のプロセスが進むだろう。
自民の予想外の大勝でもたらすねじれは、保守マスコミが最も歓迎する結果だったと言える。政局の主導権は完全にマスコミの掌中となる。すぐに内閣支持率が発表され、参院議長人事の政局がある。民主党内の混乱や執行部の責任論がある。マスコミは攻勢に出てぶら下がり会見を求め、その機会を捉えて菅内閣の支持率を下げて行くだろう。
朝日は菅政権を擁護する姿勢だが、読売と日経は解散か大連立かを選択させる方向に追い込む。支持率はすぐに20%を割るところまで行き着く。菅直人は、政権の運営がきわめて困難になった。もともと今回の菅直人の消費税増税の選挙戦略は、政策全体のネオリベ路線へのシフトと小沢派一掃の権力闘争と一体で、その延長線上に導出された作戦計画だ。
勝利を絶対的に確信したものであり、敗北を喫したときの想定が全くない。特に、45議席割れという異常事態は、執行部の誰も念頭に置いていなかったハプニングに違いなく、狼狽して収拾の目途も立たないというのが実情だろう。勝敗ラインの客観的な数字から言えば、間違いなく引責辞任しなければならない数字である。
菅直人自身は、敗北の原因が何かをよく知っているだろう。鳩山マニフェストの「国民の生活が第一」の線に戻すことを、国民が求めている事実を理解しているだろう。だが、その方向への舵取りはできない。自身の政権の基盤を新自由主義右派に置き、官僚とマスコミの意向に従って政策を策定する方針を固めてしまっているからである。
政策を方向転換するなら、小沢派に妥協して政権基盤を左へ寄せなくてはならない。それをすれば、マスコミは菅直人を袋叩きにしてリンチする。国民の支持を失った菅直人が頼る先はマスコミしかなく、マスコミの支持を繋ごうとすれば、政策はさらにネオリベ路線に拍車をかけざるを得ない。私から見て、菅直人は手詰まりで、前途を打開するべく野党と連立も組めず、何の政策も打てず、政権の方向性も打ち出せないまま、支持率を低下させる無益な時間を送るしかないだろう。
官僚が出してくる法案と予算を国会に出すのみで、マスコミの消極的な後押しでようやく政権を維持するだけの存在になる。支持率を反転上昇させる契機を得ることは永久に不可能だ。政治の焦点は9月の代表選になったが、朝日は、この代表選での小沢派の復権を阻止すべく猛烈なキャンペーンを張っている。昨夜(7/11)のテレ朝の選挙報道は、この選挙の敗北を菅直人の消費税増税策に因るのではなく、小沢一郎の政治とカネの問題にあるとし、小沢派の候補者が国民に拒否されたとするプロパガンダに徹していた。
これで参院がねじれとなり、自民+みんな+公明が多数派となり、国新党が推進する郵政法案の可決成立も困難となった。衆院に戻して3分の2で通そうとすれば321の数が必要だが、社民党を足しても319に止まる。同じ問題は労働者派遣法についても言える。菅執行部が共産党に頭を下げて二つの法案を衆院の3分の2で通す動きに出るとは思えず、二つとも廃案で終わる可能性が高い。
昨夜(7/11)の報道中、石破茂が出てきて、消費税増税は一刻の猶予もなく法人税増税とセットで行う必要があると言い、製造業の労働者派遣を禁止するような国で企業の経営が成り立つのかと言っていた。政治家の口から、派遣労働を積極的に擁護する言説を聞くのは久しぶりである。1年半ぶりだろうか。派遣村以来の反動の出来事に衝撃を覚えさせられる。
小泉チルドレンがカムバックを果たし、小泉改革の路線が勢いよく復活を遂げた。反動の空気の充満の中で、気分は憂鬱になるばかりだ。この選挙結果のために、日本経済はまた悪い方向に向かう。主権者である国民は、勤労者の所得がさらに減る方向に投票をした。内需の消費を衰弱させ萎縮させる選択をした。生活が苦しくなる条件を自ら選び、3年から6年、その条件を変更できなくした。3年は長い。しかも、非改選は民主(小沢派)が多く、選挙をして現在以上に新自由主義勢力を小さくできる展望は難しい。
参院は不動のネオリベの城と化したと言ってよく、政治がどのように前向きな方向に変わっても、参院が反動の拠点になって邪魔をするだろう。格差はまた拡大する。貧困層はより窮乏化を深め、貧困層の人口が膨れ上がる。経団連は、派遣村以来しばらく発言を控え、政府の重要政策に絡む委員会への参加も抑制されていたが、この選挙を転機に小泉政権の時代に戻って、大手を振って官邸や内閣府の会議に顔を出すようになるだろう。
そう言えば、この選挙で格差の問題は全く議論されなかった。年を追って非正規労働者の比率が増え、低年収の「働く貧困層」が増えているのに、選挙では低所得者の税負担を増やす話ばかり一生懸命にやっている。今回、格差解消のための政策が必要だという議論は一度も聞かなかった。そして、格差拡大に反対している政党が惨敗して、国会で議席を持つ必要はないという審判が下される結果となった。
国民の多くがそうした選択をする理由が私には理解できず、大衆不信の気分が募るが、一方で、格差拡大に反対したり、消費税増税に反対する政党の態様を見ても、本気で国民の支持を受けようとしているようには見えず、大衆と政党の両方に苛立つ感情を抑えられない。正直なところ、この選挙結果は私の心には打撃だ。弱者の抵抗があまりに小さすぎる。
政治に対して無抵抗に過ぎ、怒りが少なすぎる。関心は高いはずなのに、正面から見つめず傍観をしている。何で黙っているのだろうと、何で代弁者を探さないのだろうと、私は不審に思う。それは、この選挙だけでなく、関連して6月に体験した二つの出来事で感じたことだった。新自由主義のイデオロギーで飼い馴らされて家畜になっている。憤懣の言葉しか喉から出ないが、結局、そうして自分も、諦め、政局劇場を見る玄人気取りな観客の一人になることだけしかできないのだ。言葉は、なぜ多くの人の心に届かないのだろう。
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