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http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0712&f=column_0712_005.shtml
佐藤優の眼光紙背:第76回あわせても民主党106、連立与党の国民新党(3議席)、無所属(1議席)をあわせても110なので、参議院(定数242)において与党は過半数割れした。
マスメディアは、「民主党敗北」、「菅直人首相の責任問題浮上」などと大騒ぎをしているが、参議院選挙の結果によって、天が落ちてくるわけではない。今後も民主党連立政権は続く。しかも、国民新党の比重が落ちるので、民主党の「自由度」が高まったと見るのが妥当である。
そもそも予算と条約について、衆議院の優越が定められている現行制度の下で、参議院が国政に決定的な影響を与えることはできない。もちろん、予算、条約に付随する法律の成立を参議院が徹底的に妨害し、抵抗することは理論的に可能だ。しかし、現在の参議院の野党議員の力量を考えるとそれもできないと思う。
権力は民主党にある。しかも、霞が関(中央官庁)の官僚が、民主党を支持している。予算と法律が通過せずに困るのは民主党だけではない。官僚も職務を遂行できなくなるので困る。それだから、官僚は、意図的、あるいは無意識に民主党を助ける。菅直人体制下の民主党は、霞が関官僚によっては御しやすい与党だ。そもそも消費税率引き上げは、税金によって生きている官僚の悲願である。自らが不利になることを想定した上で、霞が関の悲願である消費税率引き上げを、10%という数字にまで踏み込んで言及した菅総理は、「素晴らしい宰相」なのである。ここでつまらない政界再編などが起きて、「消費税率引き上げに当面、反対する」などいうスローガンを掲げ小沢一郎衆議院議員(前民主党幹事長)の影響力が強まることだけは是非とも避けたいというのが官僚の本音だ。
そもそも、民主党は理念や政策によって結集した政党ではない。権力を奪取するという一点で結集した「権力党」だ。それだから、政策や理念がかけ離れた政治家でも権力を維持するためには団結する。
今回の参議院選挙において、民主党が勝ったか、負けたかについては、基点をどこに置くかで評価がまったく異なってくる。仮に鳩山由紀夫総理、小沢一郎幹事長の体制で参議院選挙に突入していたならば、民主党は30議席・プラス・アルファしか獲得できなかったであろう。このような悪夢と比較するならば、今回の結果はそう悪くない。菅氏が消費税率引き上げに関する発言をしなかったならば、鳩山・小沢退陣後の民主党の支持率がV字を描いて回復した流れが維持されて、民主党で過半数の議席を確保できたかもしれない。そうなると大負けということになる。
ここで、重要なのは、官僚の「仕掛け」と有権者の反応の関係だ。
検察官僚が「政治とカネ」の問題で小沢氏と鳩山氏を徹底的に叩いた。そして、外務官僚が鳩山包囲網を構築し、米海兵隊普天間飛行場の移設を自民党政権の日米合意を踏襲する辺野古崎近辺(沖縄県名護市)とすることに成功した。その過程でマスメディアが、徹底した反鳩山キャンペーンを展開した。その結果、「小鳩政権」が崩壊した。すると、民主党の支持率がV字回復した。官僚の意向を、マスメディアも国民も支持したことになる。
ところで、菅総理の消費税率引き上げに関し、自民党の主張する10%を参考にするという発言は、財務官僚の意向をそのまま反映したのもだ。マスメディアも概ね好意的反応を示し、読売新聞は社説で欧州並みの15%を基準に考えよとまで主張した。しかし、国民は菅発言に強く反発した。官僚とマスメディアが足並みを揃えても、有権者がそれに激しく反発し、今次参議院選挙で有権者は民主党に対して厳しい評価を下した。筆者はこのことをとても高く、肯定的に評価している。消費税のような国民の生活の根本にかかわる問題について、有権者は、官僚と官僚に親和的な政治家、メディア・エリートの言説を鵜呑みにしないということが示した。日本の民主主義が機能していることが明らかになったと筆者は見ている。
(情報提供:眼光紙背)
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