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【新・民主党解剖】第7部 ねじれ再び(上)
◆さばさばした表情
「全国各地をいろいろ回ったが、民主党への期待は変わっていないよ」
報道各社の出口調査で与党過半数割れが決定的となった11日午後7時ごろ。首相(民主党代表)の菅直人は、公邸を訪れた首相補佐官の阿久津幸彦らにさばさばした表情でこう語った。どんな結果になろうとも辞める必要はない。そんな決意がにじみ出ていた。
[フォト]会見を終え、疲れた表情で開票センターを後にする菅直人首相
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/414609/
11日午前10時すぎ、菅は妻の伸子と連れ立ち、地元・東京都武蔵野市の小学校の投票所に現れた。記者団に「選挙戦で消費税を持ち出したことを後悔しているか」と問われると笑顔でこう語った。
「後悔はしていません。少し唐突な感じで受け止められた点で反省はあるが、後悔は全くしていません」
◆後悔の連続
だが、実際は後悔の連続だった。
首相就任時の民主党は米軍普天間飛行場移設問題や、前首相の鳩山由紀夫、前幹事長の小沢一郎の「政治とカネ」問題を抱え、信頼は地に落ちていた。
参院選で自民党が政権交代10カ月の「負の遺産」を追及するのは間違いない。子ども手当なども「バラマキ政策で日本はギリシャになる」と攻撃されるはず。これをかわすには自民党が掲げる「消費税10%」にあえて乗り、「クリンチ戦術」を取るしかない。
これが菅が消費税増税を公約に掲げた理由だった。
だが、増税は次世代にツケ回ししないために国民に負担を迫る政策だ。「改革に痛みは伴う」と訴えた元首相の小泉純一郎さえ封印した重いテーマだけに綿密な制度設計と誠実かつ地道な説明は欠かせない。
菅にその覚悟はあったのか。批判が強まると低所得者層への還付や、高所得者への所得税率引き上げなどを次々にぶち上げたところをみると怪しい。
終盤戦では「次の衆院選までは1円たりとも上げない」とさらに発言は後退した。
◆異例の謝罪広告
そして投開票日の11日。民主党は一部新聞に菅の写真をあしらった謝罪広告を載せた。
「明日にでも消費税が上がるのではないかという唐突な印象を与えてしまった。私の説明不足でご心配をおかけしたことを率直にお詫(わ)びします」
11日午後8時45分、菅は民主党が開票センターを置くホテルに入ったが、控室にこもり、記者会見場に姿を現したのは12日午前0時半すぎ。司会の衆院議員、菊田真紀子はニコニコ動画、ビデオニュース・ドットコムなどに優先して質問させ、幹事社の読売新聞を除くと新聞社に質問のチャンスはなかった。
それでも菅は目をしばたたかせて釈明に追われた。その姿に首相就任時の生気はなかった。
■小沢氏逆襲へ眈々「枝野は完全にアウトだ」
◆選挙優先裏目に
「参院選でしっかりした勝利を挙げることで、安定的な政権が実現する」
通常国会最終日の6月16日、首相の菅直人は参院議員総会でこう強調した。その8日前に菅政権が発足すると内閣支持率は鳩山前政権末期の2割台から6割台に「V字回復」。すると菅はあからさまに「選挙最優先」の姿勢を打ち出し、自らが提案していた党首討論や予算委員会も実施しないまま国会を閉じた。
その結果、前首相、鳩山由紀夫や前幹事長、小沢一郎らの「政治とカネの問題」はうやむやにされた。鳩山辞任の引き金となった米軍普天間飛行場移設問題にどう取り組むかも明らかにしなかった。
にもかかわらず、菅は7月10日、福井県坂井市での演説でこう言い放った。
「政治とカネとか普天間のことで少し心配をかけたが、それもクリアした」
今回の参院選を受け、衆参で再び「ねじれ」が生じる。民主党は野党に法案審議などでその都度協力を求めていかざるを得ない。
だが、これまで「数の力」におぼれ、与野党協力を拒んできたのは民主党自身だった。3月16日の参院内閣委員会で、副総理・財務相だった菅は自民党参院議員、古川俊治の質疑に本音を明かしている。
古川「多くの議員の意見を取り入れる。これが国会審議を活性化することだと思うが、いかがか」
菅「私は、議会制民主主義とは期限を切ったあるレベルの独裁を認めることだ、と思っている」
◆公約違反ばかり
1カ月前の6月11日、菅は初の所信表明演説でこう訴えた。
「国民の皆さまが私を信頼してくださるかどうかでリーダーシップを持つことができるかどうかが決まります。私を信頼していただきたい」
だが、菅も、民主党も、果たして国民の信を得る振る舞いをしてきただろうか。むしろ逆ではないか。
揮発油税の暫定税率廃止撤回、子ども手当の満額支給の事実上の断念、高速道路無料化の先送り…。民主党は、昨夏の衆院選で高らかに掲げたマニフェストを次々に覆し、自らが率先して導入したマニフェストをおとしめた。
それだけではない。菅は首相就任後に打ち出したのは、自らが副総理として仕えた鳩山の政治路線の否定だった。消費税率引き上げもそうだし、党政策調査会の復活もそうだ。
鳩山が最重視していた小沢との連携も捨て「しばらく静かにしていただいた方が本人にとっても民主党にとっても日本の政治にとってもよい」と言い放った。
この「小沢外し」が「V字回復」の原動力だったことは間違いないが、「災いの種」にもなった。9月の党代表選の号砲はすでに鳴らされている。
◆執行部続投も…
「幹事長の枝野幸男は完全にアウトだ。菅が小沢外しの人事を元に戻して『全員野球』と言わない限り、政権はもたないだろう」
菅は枝野ら執行部の続投を表明したが、小沢系の中堅はこう語った。閣僚の一人は11日夜、「枝野のクビは仕方ないな」とつぶやき、別の閣僚も「枝野では野党ともう話ができない」と突き放した。枝野の辞任を求める圧力はさらに高まるとみられる。
枝野はテレビでは相変わらず能弁だったが、党内の冷たい視線に気付いている。12日未明、なぜかメガネをかけて記者会見場のホテルを出たが、記者団の質問に一切応じず、下を向いたまま無言を貫いた。
枝野が「アウト」ならば菅も無事では済まない。
焦点となるのは、やはり小沢に近い議員グループ約150人の動向だ。小沢周辺は選挙前、「与党で過半数を取れなければ、代表選は徹底的に戦う」と宣言していた。「代表選には菅の対抗馬として小沢自身が出馬するのではないか」との見方も根強い。
ただ、小沢サイドにも懸念がある。小沢の資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件のうち、平成19年分の政治資金収支報告書の虚偽記載について審査している東京第1検察審査会が、月内にも議決を行う可能性があるからだ。
4月には、16、17年分の虚偽記載容疑に対し、東京第5検察審査会が「起訴相当」の議決を出し、現在再審査中。第5審査会に続き第1審査会も起訴相当と議決すれば、小沢の求心力はさらに低下する。さらに第5審査会が再び起訴すべきだと議決すれば、小沢は強制起訴となる。
その小沢は8日の石川県での遊説を最後に姿を消し、東京・深沢の自宅にも戻っていないとされる。11日には小沢が自民党の元首相、森喜朗、元幹事長、古賀誠と会談したとの情報も流れた。さまざまな事情が交錯する中、虚々実々の駆け引きはすでに始まっている。(敬称略)
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。政権発足に伴う支持率「V字回復」、わずか1カ月後の参院選での挫折は、平家の栄華と没落を描いた「平家物語」を連想させる。再び生じた衆参ねじれは、これから政権をどう翻弄(ほんろう)していくのか。
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