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朝日新聞が選挙終盤の情勢調査をようやく報じ、民主は49議席と予想が出ている。1面の大見出しは「与党、過半数は困難」。共同の2日前の予想でも49議席で、どうやらこの数は上回りそうにない。2週間前、6/26に朝日が出した予想では、民主54議席自民41議席だった。今回は民主49議席自民44議席。民主に逆風が吹いていて、無党派層の離反は投票日までにさらに弾みがつく可能性がある。
Half is good. 民主の54議席割れが確実になった状況に、率直に安堵を覚える。54議席を超えれば、菅直人は国民の信認を得たと言い、消費税増税に一目散に走っただろう。選挙は菅直人の完敗である。ただし、もし自民が44議席も取れば、2党合わせて93議席になり、改選前92議席を上回ってしまう。選挙の民意を説明するマスコミに、消費税増税を正当化させる根拠を与えかねず、この点を大いに懸念する。
態度未定の有権者が、比例票を国新・共産・社民の消費税反対党に入れることを祈るしかない。争点は消費税である。民意は消費税増税に賛成か反対かを示さなくてはいけない。賛成党は民主・自民。反対党は国新・共産・社民。消費税増税に反対の有権者は、反対派の3党に投票して意思を示す必要がある。3党の議席数は少ないが、民主・自民の現有92議席を割らせることができれば、消費税増税に反対の民意は明快な根拠を与えられ、マスコミは消費税増税のキャンペーンが張れなくなる。あと少しなのだ。
この趨勢で結果が出れば、菅直人は自らの敗北を認め、党内論議も不十分なまま、唐突に消費税増税を争点にした選挙戦術の失敗を認めざるを得ないだろう。4年間は消費税を上げないと明言した鳩山由紀夫の公約を裏切り、官僚の走狗となって自民党の「10%増税」に抱きついた政策が、国民から拒否された事実を認めざるを得ない。そして、党の勢力を著しく後退させ、衆参ねじれの失態を現出させた責任を認めざるを得ない。
鳩山由紀夫が身を引いたのは、何より参院選に勝つためだった。党は選挙に勝つため、選挙の顔として菅直人を新代表に選んだのである。選挙に負ければ何の意味もない。当然、菅直人の選挙戦略や政策方針に対して、党内から異論が起きることだろう。本来、左派を束ねる筆頭だったはずの菅直人が、変節して新自由主義の路線に奔った問題についても、身内であった左派議員から不信の声が上がるだろう。もともと菅直人には人望がない。
今回、小沢一郎を斬り捨てて右派と結託し、マスコミの支持を得て総理代表に就いたが、選挙の敗北で一気に求心力を失う事態となった。選挙後、内閣支持率はすぐに30%を切り、鳩山政権の末期と同じ死に体状態になるのは確実だ。9月の代表選に出ても対抗馬に勝てない情勢になり、在位4か月の短命首相になる公算が高い。9月の代表選で選ばれる代表は、来年の統一地方選を戦わなくてはならない。その前に、ねじれの臨時国会を運営して重要法案を通さないといけない。
みんなの党と公明党は、パーシャルな政策連立の条件として、菅直人の首を差し出すことを要求するだろう。今度の選挙の敗北は、民主党にとっては大きな痛手で、このままでは参院の過半数割れ(ねじれ)を3年間引き摺らなくてはいけない。しかも、非改選の62議席は、3年前に小沢一郎が1人区で圧勝したときの獲得議席で、3年後にその数を確保できる保証は全くない。
民主党は、参院の過半数安定に向けて抜本的な対策を錬らなくてはならず、それをどの方向で探るか、代表選は長期の政権運営を見越した政策論争と戦略論争の場になる予感がする。左右で激しい対立が生じるのではないか。小沢一郎が代表選を制した場合、それは小沢一郎本人が代表に立候補するか、海江田万里のような別候補を立てるかは別にして、公明党と組む方向を選択するのではないかと思われる。
その理由は、信濃町とパイプを持っていることと、公明党の政策の原点が「国民の生活が第一」の思想と相対的に近く、過激で極端なネオリベ路線と若干の温度差があるからである。また、公明党を自民党から引き剥がせば、自民党は地方の選挙区で戦う足腰を完全に失う。小沢一郎主導の民主党が公明党と連立を組んだ場合、公明党の政策が右から左へ寄るはずだ。嘗て、自民党と連立を組んだ時代に際限なく右へ右へ政策を寄せたように、連立を組んだ相手に政策を合わせて来るに違いない。公明党には理念がない。理念はないが組織がある。どことでも組む公明党は取り込める。
左派の側はそうした展望を持てる。右派はみんなの党と組む道がある。菅直人はどうするか。このまま代表選に突入した場合、菅直人が再選される可能性はきわめて低い。左派が海江田万里か原口一博の候補を立てた場合、右派は岡田克也で対抗しないと勝てない。菅直人は捨てられる。とすれば、菅直人に残された道は、マスコミを味方につけて、8月中に自民党との大連立を、最低でも消費税大連立のパーシャル組みに成功する打開策しかない。
自民党との大連立の政局を動かして、その主導権を握り、参院選の敗北の事実を世間の関心から逸らす。マスコミ報道を大連立政局に集中させる。政治というのは場面のセットであり、空気を入れ換えれば、立場と状況が全く変わる。この半年間、政治はずっと普天間の問題で議論が続いてきた。参院選は、本来は普天間が争点になる選挙機会のはずで、国民は普天間を審判する投票を準備していた。
ところが、鳩山辞任と菅政権の登場で場面が一気に転換し、空気が入れ換えられ、選挙の争点は消費税にされた。そのように上から状況が固められると、国民は抵抗のしようがなく、与えられた争点に従って受け身で選挙に対応せざるを得ない。場面を転換し設定したのは政治家とマスコミである。そして、空気の入れ換えは政変でもあり、小沢一郎の「国民の生活が第一」が潰された一瞬でもあった。
今度も、狡猾な菅直人は、空気の入れ替えで生き残りを図ると思われる。大連立の政局劇場で騒ぐのだ。大連立で政権基盤の安定を得て、数を背景に代表選に臨むのである。
財務省の丹呉泰健や勝栄二郎の立場から考えてみよう。彼らは勝負に出たのであり、ここで消費税増税を固めないといけない。参院選の民意が消費税増税反対で確定され、直近の民意が消費税増税反対となれば、政府は簡単に増税へと動けない。菅直人が退陣に追い込まれた場合は尚更で、二度と選挙で消費税を持ち出せなくなり、消費税の民意を問うことはできなくなる。
選挙という民主主義の手続きで消費税増税を正統性を確保することができない。菅直人は、政権発足後の最も高い支持率で選挙に臨み、マスコミの支持を受け、万全の態勢だと目論んで消費税を争点にした。だが、国民からあえなく拒否された。この前例を見た政治家は、今後、誰も消費税を選挙の争点に据えようとはしないだろう。恐怖が植え付けられただろう。
財務省としては、現在の民主と自民の二大政党を前提にしたままで、消費税増税を選挙で勝ち取ることは困難だと判断せざるを得ない。となると、大連立含みの政界再編をすぐに仕掛け、消費税増税に消極的な小沢派を民主党から切り離させ、民主右派と自民で消費税増税ブロックの多数勢力を作り、衆院選で増税の正統性を確保するしかない。
マスコミを使って大連立の政界再編に討って出るか、それとも消費税増税をしばらく諦めるか、財務省は7/11の直後に決断しないといけない。財務省にとっては、この参院選で菅直人が負ける展開は想定外の非常事態の発生で、すべての目算が狂う。6月政変が台無しになる。「国民の生活が第一」の路線が復活し、再び官僚の無駄を削れという世論の攻勢を受ける。天下りへ監視の視線が強くなる。
今日(7/9)の朝日新聞の4面に載っている編集委員の座談会記事の中で、星浩が次のように言っている。「民主党と野党第1党の自民党が、財政再建と安全保障の2点で共通基盤をつくり始めた点は重要だ。衆院でほぼ9割の多数派となるのを大政翼賛だと批判的にみるのか、2大政党による安定的な政権交代をもたらす一里塚とみるのか。後者であればよいのだが」。「せっかく政策の共通基盤ができつつあるのに、3年前の衆参ねじれ国会のように政治を混乱させる道を谷垣氏が選ぶだろうか。税制という国の根幹にかかわる施策を練るなら、部分連合よりお互いに閣僚を出し合う大連立を年限を切って樹立するという選択が出てくるかもしれない」。
民主と自民の大連立は大政翼賛ではなく、健全な二大政党制の前提だと言っている。そして、双方から閣僚を出す大連立政権を組めと言っている。星浩の主張は支離滅裂で、論外な暴論で、論理的に全く矛盾している。それにしても、これが朝日の政治記者の発言だろうかと呆れ果てる。ねじれを解消する大連立政権を組んだ場合、次の選挙は3年後の参院選(同日選)で、それまでは民主と自民の大連立政権を3年間運営することになる。
昨年の衆院選で民主党による政権交代を選んだ国民は、4年のうち3年間を全く民意と異なる大連立政権下で送らなければいけない羽目に陥る。仮にそうなれば、この政権が、同日選で敢えて二つに分裂して、政策と候補を敵味方に分けて選挙を戦うはずがない。必ず大連立のままで選挙をする。政策は融合し、候補者は調整で決められる。3年間の政権の実績は、民主・自民の2党の実績であり、国民は評価を分けようがない。
通常、衆院選の後の参院選で与野党に逆の結果が出て、ねじれが起きた場合、野党は与党に対して衆院の解散を求めるのが当然で、マスコミもこれまで政権にそう要求してきたはずだ。それが議会制民主主義の常道である。総選挙でねじれは解消する。3年前のねじれでも、朝日は自民(福田政権)に対して解散を求め、民意の両院での統一を主張したはずだ。
読売だけが、表の記事とは裏腹に姑息に大連立のフィクサーで動き、世論の猛反発を受けた。そのとき読売の大連立工作に対して筆誅を加えたのは朝日ではなかったか。その理由は、朝日が40年間かけて実現させてきた二大政党制を守り、政権交代の政治システムを守るためである。その朝日が、裏工作ではなく表の紙面で堂々と、民主と自民は大連立を組めと主張している。
星浩が、こうして堂々と大政翼賛会の結成を要請できるのは、朝日だけでなく、毎日も読売も、すべてのマスコミが同じ考えで一致結束しているからだ。この座談会記事は、いわば最初の狼煙である。7/11の夜から、猛然とマスコミによる真夏の大連立プロパガンダが始まるだろう。国民が消費税増税を拒絶したことや、菅直人に不信任を突きつけた事実は脇に置き、どうやってねじれを解消するのだと政党に問い質し、消費税増税に反対した政党には無責任だと罵倒攻撃を仕掛けるだろう。
最初に工作が向かうのは、自民党の谷垣禎一に対してで、自民党の方に民主党との「協議」に応じろと言い、条件は付けるなと言うだろう。大連立は、どちらにとっても渡りに舟だが、選挙に負け、党内に左派を抱える菅直人は、自分の方から先に話を持ちかけにくい。自民党の方が無条件で乗ってくれれば話を進めやすい。
おそらく、一瞬でまた空気が変わる。7/11の夜から変わる。消費税増税の是非ではなく、大連立の是非の議論になる。そうやって場面を転換して、マスコミと官僚は、消費税選挙を嗾けた自分たちの罪科を隠蔽し、消費税選挙に失敗した菅直人の責任を捨象してやるのだ。
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