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いよいよ2日後に参院選の投開票が行われます。ここまでのメディアの論調を見ていると、主力メディアは菅首相が打ち出した消費税増税に関して一貫して容認の姿勢です。『週刊ポスト』7/16は、朝日新聞と読売新聞を例として取り上げ、そのことを指摘しています。6月28日付、朝日新聞の朝刊は、「消費税最大の焦点は19%」という見出しで次のように書いています。
『朝日新聞が26〜27日の両日に実施した全国電話世論調査によると、消費税の引き上げを参院選の最大の争点だと思う人は19%で「消費税以外にも大きな争点がある」とする人は71%にのぼった。有権者の多くは幅広い問題を選択基準にしようとしている。──6月28日付、朝日新聞の朝刊より
この報道を読むと、国民は消費税増税をそんなに気にしていないのだなという印象を受けてしまいます。増税に反対だった人も大方の人は増税容認の姿勢なんだと感じると、自分の考え方を修正する人も多く出てくるのです。これがメディアの力です。しかし、この世論調査には問題があるのです。質問は次のようになっています。
●消費税引き上げの問題は、あなたにとって参院選の一番大きな争点になると思いま すか。消費税以外にも大きな争点はあると思いますか。
・一番大きな争点になる
・消費税以外にも大きな争点はある
これは極めて不自然な二者択一です。大手メディアの元世論調査室長は次のように疑問を呈しています。
『有権者に選挙の争点を聞く場合、例えば、消費税、景気対策、社会保障、政治とカネの問題などと選択肢を列挙して選ばせるのが最もニュートラルな方法です。しかし、朝日は「他にもある」という網羅的で選びやすい選択肢と「一番大きな争点」という限定的で選びにくいものを二択にしている。この結果をもって、「消費税は参院選の争点ではない」という結果を導き出すのは恣意的といわれても仕方がない。
──『週刊ポスト』7/16
それでは、読売新聞はどうでしょうか。読売新聞は6月29日付、朝刊一面で「消費税/問われる決断」と題して、丸山淳一経済部長が消費税引き上げを迫っていますが、英国の例を引いたくだりで、意図的とも思えるミスリードがあります。
『首相が「政治主導の見本」とする英国では、キャメロン新政権が政権交代からわずか40日で、付加価値税率の引き上げや、子ども手当の3年間支給停止などを柱にする財政再建の具体策をまとめた。 ──6月29日付、読売新聞朝刊より
これだけみると、どこにも問題はないように見えます。英国の新政権でも付加価値税率の引き上げや子ども手当支給停止を打ち出している──同様なことを菅政権はやろうとしているだけではないかと考えてしまうものです。しかし、それは違うのです。英国の新予算の基本の柱は、官僚の採用抑制や昇格停止という4兆円以上の緊縮財政なのです。確かに付加価値税率の引き上げをしていますが、同時に所得税減税と銀行税新設、それに法人税引き下げが行われているのです。それなのに、「消費税引き上げ」と「子ども手当支給停止」だけを取上げているのは恣意的であり、ジャーナリズムにあるまじき虚報である──このように『週刊ポスト』は批判しています。
それでは、どうして大新聞が菅政権に肩入れするがごとき態度をとるのでしょうか。それは、記者クラブメディアと財務官僚がつながっているからです。財務省は恐るべき役所なのです。財務省では課長や主計官クラスから審議官、局長までが担当を決めて、テレビの解説委員や新聞の論説委員、各社の経済部長などと会談を行い、消費税引き上げの必要性を説いて回るローラー作戦を展開中なのです。
そのさいには財務官僚機密費で記者に飲み食いさせたり、財務省が望む都合の良い記事を書かせることなど朝飯前なのです。菅政権が参院選に勝利すれば、増税は確実視されるので、選挙の争点にしないよう新聞で世論誘導報道をさせているのです。実は財務省内には「増税司令部」ができているといわれます。彼らは綿密なスケジュールに沿って計画を立てて動いており、菅首相の「消費税10%発言」もその計画に沿ったものです。政府側の担当者は、玄葉政調会長兼特命相なのです。
玄葉特命相は入閣前には衆議院財務金融委員長であり、財務省と税制改正について入念なスケジュールを組んでいるのです。そして、菅首相が「消費税10%発言」を表明するや、玄葉氏は「最速で2012年秋」と述べています。ここで間違ってはならないことは、2年間かけてじっくり議論するという意味ではないことです。
消費税の税率を引き上げる場合、銀行のAТMから商店のレジや企業の会計システムの変更など、膨大なインフラ整備が必要になるので、少なくとも一年はかかります。しかし、複数税率や国民番号制のシステムづくりまでやるのはとても無理であり、場合によってはやらないで増税をする可能性もあります。12年の秋にやるとすれば、少なくとも来年の秋の臨時国会までに増税法案を成立させる必要があります。その場合、必ずしも選挙で信を問わない陰謀もあるのです。 ──[ジャーナリズム論/56]
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