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宮本雄二駐中国日本国大使に代わる次期大使に伊藤忠商事株式会社取締役相談役の丹羽宇一郎氏が就任することが、6月15日に正式に決まった。
私はこれに先立つ14日、この人事についての政府の見解を質すため内閣に質問主意書を提出していた。
わが国との間では領土やエネルギーなど国益の根幹に関わる国家安全保障上の問題を抱え、また国内では不当な人権侵害も行われている中国の、それも大使というきわめて重要なポストに、経済界での功績こそ素晴らしいものがあるがこれまで国家間外交に携わったことのない丹羽氏を任命することに大いなる疑問を禁じえないからである。
この答弁書が届いたので、質問主意書と合わせて以下掲載させていただく。
駐中国日本国大使任命についての報道に関する質問主意書
右の質問主意書を提出する。
平成二十二年六月十四日
提出者 城 内 実
衆議院議長 横 路 孝 弘 殿
駐中国日本国大使任命についての報道に関する質問主意書
駐中国日本国大使人事について、日本政府は、宮本雄二現大使に代わり、伊藤忠商事株式会社取締役相談役の丹羽宇一郎氏を起用し、同氏は七月末にも大使に着任するとの報道がなされている。六月十一日付の日本経済新聞(電子版)では、中国政府もすでにアグレマンを出したと報じられているが、こうした極秘事項が日本側から報道の形で表に出ること自体きわめて異例である。
わが国にとって、中国は今や米国を超える最大の貿易相手国であり、日中間の経済関係は質、量ともに発展の一途にある。丹羽氏のこれまでの経営者としての功績、財界への貢献に鑑みて、日中の経済関係の深化に向けて丹羽氏が大使として今後、一定の役割を果たすであろうことは否定しない。しかしながら、米倉弘昌日本経済団体連合会会長が今回の人事に関連して「主要国の大使になると、様々な利権が絡んでくる可能性がある」と指摘し、「中立・公正の原則を貫いてもらいたい」と述べたように、今後、中国市場でのビジネスに公平性が保たれるかということには大いに疑問が生じるところである。
他方、わが国と中国との政治外交関係は必ずしも良好とはいえない。とりわけ、日中間では尖閣諸島の領有や東シナ海の天然ガス田など、国益の根幹である領土や資源に関わる問題を抱えている。また、直近では本年四月、東シナ海においてわが国海上自衛隊の護衛艦に中国海軍の艦載ヘリが九十メートルの距離まで異常接近した件をはじめ、中国海軍は、近年わが国の領海及び排他的経済水域の安全を脅かす示威行動をたびたび取っている。
また、中国国内では、チベット、ウイグルなど少数民族への弾圧、法輪功への迫害など、不当な人権侵害が行われているという状況も指摘される。
このような状況下において、政府が新大使に丹羽氏を任命する件について、以下質問する。
一 大使とは、二国間の外交関係におけるきわめて重要な役職である。とりわけ、中国は隣国であるのみならず、世界最大の人口を持ち、GDPで世界第三位の大国でもある。だからこそ、昭和四十七年の日中国交回復以来現在に至るまで、わが国は中国大使の任に、中国及びアジアの政治経済事情に熟達し、外交慣例や国際法に対する深い見識を持ち、また、長年に亘る外交活動を通じて得られた豊富な人脈を有するという前提のもと、外務省出身者を充ててきたと考える。しかるに、これまでの外務省出身者という前例を退け、民間出身の丹羽氏を、中国大使に選ぶ理由について説明されたい。
二 冒頭述べた外交安全保障に関わる問題や中国国内における人権侵害の状況など、わが国の国益に鑑みて重要なことについても、中国にはっきりと異議申し立てをできる人物であることが大使の資質として必要不可欠であると考えるが、丹羽氏の見識や手腕はこの点で未知数である。政府は丹羽氏の資質についてどのように認識しているのか説明されたい。
三 二に関連して、今回の人選は鳩山前政権時から検討されてきたものであり、民主党が掲げる「政治主導」の一環であると報じられている。事実、きわめて異例の人事であると思われるが、パフォーマンスとしての「政治主導」を継続性が重要な外交の、しかもわが国にとってきわめて重要な中国の大使人事に持ち込むことは国益にそぐわないと考えるが、この点について政府の見解を示されたい。
四 丹羽氏はかつて、伊藤忠商事株式会社という私企業のトップの任にあった。現在は相談役とはいえ、いまだに一企業と深い関係を持つ丹羽氏が公正、中立に任務を遂行できるかという点については疑問を持たざるをえない。この点に関する政府の見解を示されたい。
右質問する。
内閣衆質一七四第五七三号
平成二十二年六月二十二日
内閣総理大臣 菅 直人
衆議院議長 横路 孝弘 殿
衆議院議員城内実君提出駐中国日本国大使任命についての報道に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員城内実君提出駐中国日本国大使任命についての報道に関する質問に対する答弁書
一から三までについて
外務省の幹部ポストについて外務省外部の人材を対象に人選を行う際には、外交に対する高い見識を有する等の基準を設けている。丹羽宇一郎中華人民共和国駐箚特命全権大使(以下「丹羽大使」という。)については、これらの基準を満たすことに加え、企業経営者としての優れた実績から特命全権大使として組織を統括する能力に優れていると判断されたほか、経済分野についての豊富な知見を有すること、中国事情にも明るいこと等を総合的に判断し、今般、中華人民共和国駐箚特命全権大使に任命したものである。
四について
丹羽大使は、既に伊藤忠商事株式会社を退職しており、特別職の外務公務員である特命全権大使として任用されている。特命全権大使は、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)に基づき、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)の服務に係る規定及び官吏服務紀律(明治二十年勅令第三十九号)に従うこととなるため、御指摘の点に関する問題は生じない。
城内みのるの「とことん信念」ブログ
http://www.m-kiuchi.com/2010/07/06/tyugokutaishi/
危険な民主党の外交政策(「CIA工作員を駐米大使にする?」)
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