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民主党の現有54議席割れと与党過半数割れの可能性が高くなった。現在、過半数割れしたときの対応が関心の焦点になりつつある。一般に言われているのは、ねじれ回避のために、みんなの党か公明党と連立を組むのではないかという予想である。今回、みんなの党は6議席ほど、公明党は9議席ほど獲得すると見られていて、与党が過半数に不足する分を埋め合わせるのに具合のいい数で、数の上で連立話が持ち上がるのは当然の成り行きと言える。
数の問題だけでなく、6月政変で民主党の政策が右方向に転換して、ネオリベ路線へのシフトが明確になったため、この2党と連立を組むのは政策論的には何の障壁もなくなった。実際に、6/27には枝野幸男がみんなの党との連携に意欲を示す発言をして、マスコミに記事に書かせている。民主党執行部の本音は、政策的に対立するようになった国新党を切り捨て、政策が一致するみんなの党を連立パートナーに組み替え、過半数を確保する選択だろう。
だが、私の予想では、みんなの党と公明党は簡単には連立話に乗らない。連立よりねじれの政局でのキャスティングボートの立場を狙うはずだ。参院で過半数割れしても、民主は衆院で安定多数を持っていて、政権運営にどこまで関与できるか不明であり、特にみんなの党は、衆院の解散総選挙が一つの党略のターゲットになっている。ここで慌てて連立を組むより、野党のまま解散に追い込んで党勢拡大を目指した方が得策だ。
枝野幸男や玄葉光一郎らが、みんなの党との連携を急ぐのは、党内の小沢派の影響力を一掃する目的もある。反ネオリベの性格の強い「連立合意書」を破棄して自由になり、小沢一郎の復権を誘引する悪性因子である亀井静香を切除したいのだ。現時点で、経済政策においては民主と国新は水と油で、単に数合わせの必要上連立を組んでいるに過ぎない。しかも、国新党は議席が少なく、数合わせとしても有用ではない。
公明党の方は、選挙が始まった直後から、幾度も民主党との連立の否定を明言している。また、選挙区では現在も自公協力を続けていて、選挙戦での友党関係が続いている。これまで、民主党の幹部の口から公明党への秋波が語られた形跡はない。逆に、7/4のテレ朝の政治番組では、枝野幸男が山口那津男に無用な因縁をつけて罵倒するという一幕があり、コメンテーターの藤原帰一に「与党の幹事長らしくない」と一喝される場面まであった。
公明党に対して連立協議を申し入れるには、民主党の幹部はあまりに幼稚で狭量すぎ、友党関係を組む力量があるかどうか疑わしい。枝野幸男や玄葉光一郎には、公明党と積極的に組もうとする意思は微塵も感じられない。連立を組むとなれば、毎日顔を合わせて政策を協議する関係になる。信濃町へも三跪九叩頭礼の挨拶に行かなくてはいけない。ビジネスでも同じだが、提携関係を組むとなれば、相手に対する最低限の尊重は必要で、その点、現執行部が民公連立を良好に纏める図は相当に困難だと思われる。
みんなの党から連立を拒絶され、公明党にも連立を持ちかけられないとなると、必然的に衆参ねじれの状態になる。私は、自民党との大連立が最も可能性が高い連立だと考えている。民主党の現執行部にとって、参院選後の連立の問題は小沢派対策そのもので、小沢派の排除に有効な連立こそが最善の連立に他ならない。すなわち、民主執行部のネオリベ路線に親近性があり、そして数が多いほどよい。その条件にベストに合致するのが自民党だ。
連立で外から得る頭数が多ければ多いほど、党内に蟠踞する小沢派(左派)を追放する力になる。小沢派を失っても院内で安定多数を維持できる。みんなの党のような少数では、小沢派を追い出すに十分な数にならない。小沢派を駆逐するためには数が要る。その観点から考えると、政策を協議して一致を見る上で最もスムーズな連携相手が、実はみんなの党でも公明党でもなく、谷垣禎一の自民党なのである。
政策のコンパチビリティーとトランスペアレンシーを最大に確保できるのが、野党第一党で過激な新自由主義政党の自民党なのだ。民主党と自民党の間に政策の差はない。1年前はあったが、6月政変で民主党が変身し、一気に政策の溝が埋まった。今回の選挙討論を聞いていても、論争しているように聞こえないのは、民主党と自民党の間に争点がないからである。政策の対立がない。谷垣禎一が民主党に発する主張は、何を言っているのか意味不明で、野党が与党を攻撃する議論に全くなっていない。谷垣禎一も、枝野幸男も、テレビ討論で面倒くさそうにしている。
本当は何も対立してないのに、政策で対立しているようにフリをしてカメラの前で演技をしなければならないから、演技に疲れて窮屈になっているのである。消費税の問題について、菅直人の説明と論理は破綻していて、野党がそこを衝けば終わりなのだが、谷垣禎一は決して急所を攻めようとしない。消費税政策が同じだからだ。それどころか、民主党が鳩山マニフェストを撤回すれば増税協議に応じるなどと、国民が全く期待してない方向に議論を持って行っている。
聞いている方は脱力するばかりで、何でこの党が野党第一党なのかと呆れて嘆息する。昨年の麻生太郎は、日の丸がどうだのと右翼路線に舵を切り、民主党との対立軸を右翼のイデオロギー露出に設定してバカな選挙戦を演じたが、今年の谷垣禎一は、平板で露骨な新自由主義政策を訴えていて、小泉時代の「構造改革」の主張をリピートしているだけだ。麻生太郎から右翼色を除去しただけである。
規制緩和、法人税減税、消費税増税。こんな政策は国民はもう聞きたくもないし、こんな政策を主張する野党は必要ない。本来なら、自民党は参院選で議席を半減させ、凋落と退場を決定的にしていただろう。ところが、そうはならず、意外な善戦ぶりが報じられている。民主党が自民党と政策を合わせ、ネオリベ政党に転換(回帰)したため、選挙区で有権者が候補を選びようがなくなり、有権者を裏切った民主党の勢いが落ちた分、相対的に自民党が息を吹き返しているのである。
地方の山間部では、自民党はまだ過去のブランド・バリューがある。政策が同じなら自民党という選択になるのは自然の理だ。昨年、念願の政権を獲得し、戦略の正しさを証明したが、日本の支配者である官僚・経団連・米国・マスコミは、政権党のポジションが左側(反ネオリベ)に寄るアクシデントを認めず、6月のクーデターで民主党の政策位置を第一象限に移動させた。つまり、これまで自民党が常駐した場所に民主党が置き換わったのである。今年のマニフェストを比較しても、民主党と自民党には何も差がなく、両党の政策対立が提示されていない。
政策的に見たとき、民主と自民は二大政党の体を成してない状態と言える。このことは、市場論的に言えば、昨年までの民主党、すなわち政治地図の中央に陣取る政党が国民のニーズとして求められていることを意味する。逆に言えば、第一象限の領域には、民主党と自民党の二つの大政党は必要ないのである。一つで十分なのだ。簡単に言えば、もはや自民党には存在意義がない。選挙討論を聞いていて、奇異な感覚を覚えるのは、全く存在意義のない政党が「野党第一党」の立場で舌を回していることだ。論理的には、自民党は民主党に吸収されて消えるのが必然である。
そうした論理的に自然な流れが、政治的にはきわめて恐怖の大連立の動きとして現実化しようとしている。7/11に投開票があり、報道で予想されているように民主党が敗北を喫した場合でも、菅直人は何事もなかったかのように顔色を変えず、粛々と消費税増税と議員定数削減に動くだろう。参院選の民意などどうでもよく、大連立の動きの前では吹き飛ばせてしまうのだ。
参院選で示される民意は、消費税増税にノーである。だが、岸井成格と与良正男と星浩と一色清は、決してその結果を注目して言い上げようとしない。無視する。国民が審判した消費税増税反対の意思は捨象し、民自の大連立政局ばかりに光を当て、大連立を正当化する論陣を張り、消費税増税と議員定数削減に向けた「協議」の開始を積極評価するのである。
岸井成格と星浩がやけに靜かで、選挙の解説に乗り出さず、選挙を自分の思惑で定義づけしようとしないのは、菅直人がヘマな選挙をやったため、定義づけを試みると、消費税増税を自身で否定する羽目に陥るからだ。つまり、この選挙の争点は消費税で、消費税増税の是非を問う選挙で、国民はそれに反対の民意で回答したと報道で定義し総括してしまうと、消費税増税を今後彼らが推進できなくなる。自縄自縛してしまう。だから、口を閉じているのである。
争点は何かを言わなければ、民意が何かを言わなくて済む。「争点のぼやけた難しい選挙です」とだけ言って逃げ、選挙後の政局で轟然と巻き返すのだ。何と言っても、民主と自民で国会の8割の議席を埋めている。8割の議席以上の巨大な「民意」はない。彼らは、自らがフィクサーとして大連立を仕掛けながら、テレビではそれを解説者として報じる。
谷垣禎一は、今は訳のわからない理屈で「消費税協議」に消極的な態度だが、選挙が終わると、自民党は協議に応じろと騒ぐマスコミの要求に乗っかる形で、「消費税協議」のテーブルに着くだろう。マスコミは、「超党派の消費税協議に賛成か反対か」の世論調査をやり、圧倒的多数が「賛成」だとする世論を捏造して流布し、消費税10%増税を早急に民自で合意させるべく動くだろう。
すでに、この調査は報道ステーションが始めている。国民は、選挙で消費税増税に反対の民意を示しながら、選挙が終わった途端、目の前で始まる「超党派の消費税協議」を見なければならなくなるのである。10%増税で民自が合意する不条理な政治の報道を歯噛みしながら見守るのだ。この協議と並行して、公明党が求めている社会保障制度の協議も公明党を参加させて始まり、同時に、衆院比例定数の80削減の問題も協議が始まるに違いない。
マスコミ論者の一致した主張は、「大事な問題は超党派で議論せよ」である。比例の議員定数の削減について、公明党が反対するから先送りになるだろうという見方があるが、これは政治に素人の甘い観測である。協議には公明党は必ず入る。表面上は中選挙区制を唱えるが、それは建前で本音はそうではない。大阪と東京の小選挙区を幾つか分けてもらうのである。自公時代の選挙区調整と同じ。
「協議」というのは、その交渉の場なのだ。例えば、5議席とか10議席、民主も自民も候補者を立てない小選挙区を指定し、それを調整で受け取る。こうすれば、公明は比例で議席を失っても、十分に元を取り返せておつりが来る。排除されるのは、社民と共産の2党である。「超党派の協議」とは、社民と共産を排除した政策合意に他ならない。
最後に、枝野幸男や野田佳彦が、消費税増税に反対している小沢一郎を批判して、(消費税論議を訴えている)参院選のマニフェストは、小沢一郎が幹事長の下で作成されたものだと言い張っているが、この主張は当を得ていない。今回のマニフェスト作成の中心人物は玄葉光一郎だ。小沢一郎は1月の陸山会事件で失脚状態にあり、特に4月末の検審による起訴相当判断後は完全に動きを封じられ、政策の口出しなど不可能な状態に置かれていた。陸山会問題での小沢叩きと普天間問題での鳩山叩きがあり、小沢一郎と鳩山由紀夫から党の実権が奪われた中で、昨年のマニフェストを全否定する今年のマニフェストが作成されているのである。
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