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Daily JCJ http://jcj-daily.seesaa.net/article/155564572.html
2010年07月06日
ひどすぎた普天間報道 なぜ? 暗躍する日米安保ロビー=坂井定雄
昨年秋以来の、普天間問題をめぐる主要メディアの報道はひどすぎた。その分析はすでに多く書かれているが、 このような報道を生みだした日米安保報道の仕組みについてはあまり触れられておらず、みんなで解明しなければならないと思う。
日米安保条約と行政協定は極めて不平等であり、日本には米国外では最大の米軍基地群がアメリカの要求通りに維持されてきた。 自民党政権と外務省は、この不平等条約体制、対米従属関係に積極的に奉仕してきた。とくに外務省は、外務次官、駐米大使、 北米局が日米関係を統括し、アメリカの要求に従うことが日本の利益だという省内論理を徹底させた。 メディア対策もこの従属的な日米関係を損ねないように、積極的に記者たちにアプローチする一方、隠す、嘘をつくことまで重ねてきた。 60年安保改定以来、外務省は核密約をはじめ、アメリカの要求に従って、数々の密約を結んだが、否定し続けてきた。 嘘をついてメディアを操ってきた例も少なくない。
◆日本メディアをフル活用 米政権寄り主張を増加
最近では、12月22日の「クリントン米国務長官が藤崎大使を呼んで不快感を表明、現行計画の早期履行を改めて求めた」という記事。 飛びついて1面トップにした新聞もあった。しかし藤崎大使は自分から会いに行き、クリントンは「現行計画が最善」 と従来通りの発言をしただけだった。
アメリカでは、政府とくに国防総省が、ベトナム戦争で反戦世論を高めてしまった反省から、 メディア対策を80年代に全面的に立て直した。90−91年の湾岸戦争では、情報と取材を厳しく管理・制限。 有利な情報と欺瞞情報の積極的提供、全米ネットTVと全国紙への直接的な働きかけによって、政府寄りの大キャンペーンに成功した。 アフガン戦争、イラク戦争では、FOXテレビなども登場し、全体としてメディアの政権寄りの姿勢、報道がさらに進んだ。
日本メディアへの対策では、国務省も国防総省・軍もジャパン・デスクを作り、対日政策に関わってきた高官や専門家あるいは元軍人 (省内ポストと大学やシンク・タンクを出たり入ったりする、日本語ができる人も多い)が日本人記者と積極的に応対し、働きかけた。 肩書を略すが、普天間問題で日本の新聞・テレビがコメントさせ、コラムを書かせて使いまくったナイ、アーミテージ、キャンベル、グリーン、 ボーゲル、マイヤーズ、ジアラなどの顔ぶれだ。「ジャパン・スクール(知日派)」と呼ばれている「日米安保で飯を食べている人たち」 (寺島実郎「世界」2月号)だが、「日米安保ロビー」と呼ぶべきだろう。
普天間問題を含め日米安保報道は、主として東京では外務省と防衛庁、ワシントンでは駐米日本大使館、国務省と国防総省のジャパン・ デスクさらにテレビと新聞を取材源として書かれている。書いているのは、主として政治部記者だ。ワシントンから東京に電話して、 なじみの外務省高官や自民党実力者から取材することも多い。
ワシントンでの担当記者だった人たちに聞くと、“日米交渉の担当者たちが情報源になるのは当然だし、 他に手軽に取材できる有力な情報源もないしね”という。さらにベトナム戦争時代と違うのは、 アメリカのテレビと新聞の姿勢が政府寄りになったことがある。いまワシントンでは、テレビと新聞をみて書くことが多い。 転電を無批判ですれば、米側の主張を増幅させる内容になりかねない。
しかし、沖縄現地からの報道をはじめ、集会や有識者のアピールなどの報道と解説、コメントあるいは座談会などで、 バランスをとることはできたはずだ。だが実際には、そのような努力は「声」欄など以外では見えず、日米関係の危機だとか海兵隊の日本駐留は “抑止力”として必要だ、といった解説やコメントが大半。そのために、新聞やテレビが使いまくったのが、寺島氏が 「日米安保にまつわりつく人たちの腐臭はすさまじい」という“専門家”たちだった。外務省や内閣調査室、そして防衛研修所、 大学の出身者や現役の日米安保ロビーだ。
普天間報道では朝日新聞も読売新聞と同じになってしまい、こうした日米安保ロビーを使って、鳩山首相を性急に攻め立てた。 朝日はその後若干軌道修正したが、朝日に何があったのか、わたしを含め読者は知りたいはずだ。
(龍谷大学名誉教授、共同通信OB)
日本ジャーナリスト会議・機関紙「ジャーナリスト」2010年6月25日号より
JCJ機関紙「ジャーナリスト」見本(2010年6月25日号1面)
http://jcj-daily.sakura.ne.jp/20100625_01men.pdf
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