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菅政権になったとたんいわゆる記者クラブメディアと大手テレ
ビメディアは、今まで集中豪雨のようにやっていた民主党叩きを
なぜか中断させているようにみえます。
菅政権が反小沢を鮮明にし、財務省を中心とする官僚組織の意
向に沿った路線になりつつあることを受けて、官僚サイドが「し
ばらく打ち方ヤメ!」を指示したものと思われます。民主党の支
持率が一挙に急回復したのも、記者クラブメディアのそういう報
道のサジ加減によるものと考えられます。
菅首相が消費税増税路線を打ち出しても、メディアは基本的に
容認の論陣を張り、菅政権をサポートしています。しかし、時間
が経つにつれて、菅首相の経済や財政や税制についての知識の浅
さが露呈するに及んで、かなり雰囲気が変わりつつあります。
そもそも菅首相がなぜ消費税増税を口にし、その税率まで踏み
込んで発言したかについて、政官財の事情通がそれぞれ意見を述
べ合う「日刊ゲンダイ」紙の「政官財ウオッチング」では、次の
ように解き明かしています。
―――――――――――――――――――――――――――――
永:たしかに、消費税増税など持ち出さず、マニフェストに書
いたように「税制改革の論議を野党に呼びかける」と言うだけ
にとどめておけば単独過半数はそう難しくはなかっただろう。
でも、菅氏の「勘」では、そこが違った。ここで小沢一郎前幹
事長が封印してきた消費税引き上げを掲げて参院選に勝てば、
小沢氏離れが完全に進む。そうひらめいて、周囲の制止も振り
切った。 ──「日刊ゲンダイ」紙の「政官財ウオッチング」
―――――――――――――――――――――――――――――
マニュフェストに「税制改革論議をする」ということを掲げる
ことは別に問題ではないし、国民も反対しないはずです。小沢前
幹事長も反対していないはずです。しかし、その論議をする前に
菅首相は、10%の税率まで踏み込んで発言したのです。
消費税を上げるとなった場合は、その使い道を明確にする必要
があります。一体何を増税分で賄うのかについてきちんと説明が
必要です。それこそ族議員の根絶のために廃止した政調会を復活
させたのですから、そこで論議すべきです。何に使うかを決めて
はじめて必要な金額と税率が出てくるのです。しかし、何も議論
しないまま、いきなり菅首相によって、税率10%が打ち出され
たのです。党内の意見もバラバラで未調整です。
ところが、消費税増税の評判が悪く、政権の支持率が下がり出
すと、菅首相は慌てて発言をトーンダウンさせて、複数税率の導
入や低所得者に対しては「かかる税金分は全額還付する」などと
いい出しています。
しかし、低所得者の定義が揺れ動いているのです。400万円
以下といったかと思うと、300万円や200万円までも口にす
る始末──これでは、ドロナワそのものです。
経済評論家の高橋乗宣氏は、菅首相がどれほど税制を理解して
発言しているのか疑問であるといっています。とくに低所得者ほ
ど負担感が増す逆進性の緩和の道筋や複数税率の導入については
基本的な知識が欠けているとして、複数税率の導入について次の
ように述べています。
―――――――――――――――――――――――――――――
複数税率の導入も簡単ではない。日本の消費税は欧米の付加価
値税と違って、消費税の支払いと受け取りを記録するインボイ
ス方式を採用していない。事務処理の負担増を最小限にするよ
うに自民党が企業に配慮したため、不完全な格好でスタートし
たのだ。その欠陥を改めるのは当然としても、すでに20年以
上も放置してきたツケは大きい。今さらの制度設計には相当な
時間が掛かりそうである。 ──高橋乗宣氏
「日刊ゲンダイ」7/2発行より
―――――――――――――――――――――――――――――
しかし、ここにきてそれまで静かにしていたはずの小沢前幹事
長が動き始めたのです。しかも、はっきりと「増税反対」を明言
して、幹事長時代に擁立した新人候補を中心に応援を開始してい
るのです。これは菅政権にとってはショックです。
しかも、その小沢氏には強力な助っ人がついています。河村た
かし名古屋市長です。河村市長は菅首相の増税に反対し、「消費
税5%を4%に下げよ」と主張しています。菅民主党の「増税民
主党」に対して、「減税民主党」を主導しようとしています。河
村市長は、北海道を皮切りに、宮城、千葉、京都、大阪、兵庫な
どの10選挙区を回っています。これは完全な分裂選挙です。
小沢氏は少なくとも現在は動けない状況にあります。選挙の結
果を見て動くといわれていますが、そうではないと思います。ど
うせ選挙は民主党が過半数を確保すれば、メディアは枝野執行部
の手柄を称えるでしょうし、過半数が取れなければ小沢の選挙対
策の失敗と書くに決まっています。
そうではなく、小沢氏は現在、検察審査会の議決を待っている
はずです。その検察審査会の議決は7月末にも出ると予想されて
います。その結果によって行動が大きく変わってくるからです。
もし、「起訴相当」が出ると、菅政権は小沢氏に議員辞職か離
党を迫ることは確実ですし、小沢氏も離党するはずです。選挙結
果によりますが、問題は何人を引き連れて離党するかです。それ
によっては、小沢氏は政界再編を仕掛ける可能性があります。
そのためにこそ小沢氏がいわゆる小沢候補者を応援する理由が
あるのです。一人でも小沢グループを増やしておく必要があるか
らです。民主党は衆議院の方は人数に余裕がありますが、参議院
の議員はぎりぎりなので、小沢氏と一緒に参議院議員が党を離れ
ると、菅政権は崩壊しかねないのです。
しかし、小沢氏は、はっきりと消費税増税に反対を明言して活
動を開始したのです。これは党からみると反党行為になります。
これには、ある状況変化があるのです。小沢グループはそれを読
み取って行動を起こしたと考えられます。
──[ジャーナリズム論/52]
≪画像および関連情報≫
●選挙の票読みの達人・小林吉弥氏の民主党分析
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選挙資金を平等に分配するのではなく、負けそうな重点地区
に集中して投入する選択と集中″は、選挙の基本です。複
数区に2人の候補を立て、お互いに切磋琢磨して票の底上げ
を図るのは、かつて自民党もやっていたこと。小沢氏が幹事
長を辞任して単独過半数を取れる体制を整えたのに、首相の
増税発言や稚拙な選挙対策で台無しにしてしまった。挙げ句
に、仲間が選挙を戦っているさなかに、枝野幹事長がみんな
の党との連携に言及したりする。これでは士気が下がる一方
ですよ。オウンゴールで議席を減らしているのです。
──小林吉弥氏/「日刊ゲンダイ」7月1日発行
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(南青山コメント)
ここで書かれていることは重要だ。
まず、菅政権はマスゴミや官僚の意に沿う内閣であること。
次に、菅本人は経済や財政や税制について、知識が浅いこと。
そのことを国民に見抜かれている(見抜かれつつある)こと。
それが選挙結果にどのような影響を与えるかは、まだよくわからない。
大敗を喫するかもしれないし、ぎりぎり踏みとどまるかもしれない。
一方で小沢がどのように動くかも不鮮明だ。
ただひとつたしかなのは、オリジナル民主で固めた菅体制は反小沢(小沢排除)路線を鮮明にしたのであり、小沢もそれを受けて反菅を鮮明にして事実上の分裂選挙に歩を踏み出したことだ。
これで選挙後に何も起こらないと思う方が不思議だろう。
最後の一節に記されている「ある状況変化」とは何を指しているのだろうか。
国民の意思の変化なのか、それともほかの何かか。
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