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平成22年6月28日(月)発売
新聞・テレビでは絶対わからない「空きカン内閣」の詐欺
国民は「消費税引き上げ論」にばかり目を向けさせられているが、菅政権と財務官僚はその裏で国民すべての財布から中身を根こそぎ奪い取ろう≠ニする「大増税計画」を進めている。
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消費税引き上げは低所得者層の負担が重くなるとされる。庶民イジメ≠ニいう批判をかわすため、財務官僚たちは新たな狡知をめぐらせた。
政府税制調査会の専門家委員会は6月22日、税制改革のあり方をまとめた中間報告書を発表。報告書には、「格差是正」を大義名分に、さらなる増税方針が打ち出されている。
〈国民が安心して暮らせる社会を実現するためには、格差の拡大とその固定化を食い止めることが重要な課題であり、社会保障制度と併せて、税制の再分配機能の回復を図ることが重要な課題である〉
そこまではまだいい。問題はその先だ。
〈このため、所得や資産に対する課税において、累進構造を回復させる改革を行って、税制の再分配機能を取り戻す必要がある〉
──わかりやすくいえば、消費税増税で低所得者の負担が重くなるのだから、格差をl是正するために、高所得者には「所得税の最高税率」をドーンと引き上げて税金をもっと取ろうというのである。
この政府税調は副総理時代に菅氏が会長を務め、現在は野田佳彦・財務相が引き継いでいる。事務局は財務省主税局で、専門家委員会のメンバーには菅首相のプレーンの学者も入っている。その会議で庶民に増税し、金持ちと中所得者かちはもっと取ることで、「格差を是正する」ことが話し合われていたのである。
社会の格差を示す日本の相対的貧困率はこの10年で増え続け、メキシコ、トルコなどに次いでOECD加盟国で4番目に高い。そのうえに増税をして、「国民が安心して暮らせる社会」をどうやって実現するというのか。
しかし、財務省や御用学者たちは、「我が国の(相対的貧困率の)数値が国際的に見て高いのは、中位所得者の税負担が軽いことを示唆しているのではないか」(報告書)と、貧困率の高さは税金が低いせいだ、としている。貧乏人からも金持ちからも取る。そうすれば公平だ≠ニいう理屈は、税をより多く集めるためのペテンとしかいいようがない。
財務省主導のお手盛り増税§_には呆れかえるが、消費税増税では「日本の税率が世界より低い」、法人税引き下げでは「世界より高い」と連呼している財務官僚が、この「所得税」については世界標準を口にしないで格差是正を前面に押し出しているのには理由がある。
実は、世界では所得税を上げるどころか、「所得税減税」で富裕層を集める競争をしているからだ。
諸外国の所得税を見てみよう。最高税率は、スイスが11・5%、ロシアが13%ほど。08年度には香港が16%から15%、シンガポールは20%から18%へと引き下げた。
最高税率が高い国でも、アメリカが35%、イギリス・フランスが40%、ドイツやオーストラリアが45%となっている。
ところが、日本の所得税の最高税率は地方税を含めると実に50%に達する。それでも、まだ増税しようというのである。
自らの論理に都合のいい数字だけを見せ、不都合なものには口を閉ざす。これこそまさに、この国の官僚の常套手段なのだ。
※(写真あり) 「小泉政権時にも増税反対デモか起こった」
それだけではない。消費税増税同様、所得税増税も「増収に結びつく」わけではない。
そもそも少子高齢化の進む日本では、労働人口も減少するから、基本的に所得税収は減少する。一方、高齢化による社会保障費はますます増大するから、それを補おうとすれば、税率は青天井になりかねない。そうすれば、所得税を取られると損をするからといって扶養控除や配偶者控除の限度内で働くケースも増え、富裕層は税率の低い海外へ流れる。その結果として、税収減少はますます加速するという自己矛盾に陥ることになることは必至だ。
では、どうすればいいのか。
答えは簡単だ。「減税こそ何よりの景気刺激策になる」と、埼玉大学経済学部の相澤幸悦教授(国際金儲論)が指摘する。
「政府は国債を増やさないといっているから、所得税減税をすれば歳入が減っていやでも行政の無駄を削らなければならなくなる。無駄削減と消費が拡大する効果を合わせば、おおよその『乗数効果(※)』は2と考えられる。つまり1兆円減税すれば2兆円の経済効果を生むということ。世界の潮流が減税となっている中、菅さんが正反対の増税を打ち出したことがいかに間違っているかここでもわかります」
「乗数効果」の意味さえわからずに、財務官僚のいいなりになってしまった菅首相に、この簡単な経済の基礎が理解できるかどうか不安は残る。
多くの国が「相続税ゼロ」
財務官僚が次に狙うのが、国民の個人金融資産1450兆円の大半を握る高齢者層だ。
前出の政府税調の報告書にはそのことが明確に記されている。
〈高齢者に金融資産が集中する一方、若年者の所得が低下しているため、上れらの間での再分配を図る視点が重要である〉
〈格差是正の観点から、相続税の基礎控除の引下げ等による課税ベースの拡大、税率構造の見直しについて平成23年度改正を目指すべき〉
つまり、高齢者は資産を貯め込んで使わないから、「相続税」「資産課税」を増やし、役人が使ってやるというのである。
しかし、これも国際的な流れに逆行している。
諸外国では、高齢者の貯畜を消費に回すために、増税ではなく、減税の手法を取っているのである。
既にスイス、イタリア、スウェーデン、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは相続税が廃止され、ドイツでは、10年から兄弟姉妹および甥、姪が相続する相続税を従来の30〜50%から15〜43%に引き下げた。フランスでも07年に相続・贈与税の減税を行なっている。
その理由は、官僚や菅政権が大好きなアメリカの例を見るとよくわかる。奥村税務会計事務所所長で税理士の奥村眞吾氏が語る。
「アメリカ、は、02年から段階的に相続税率を引き下げて、10年に1年間だけ相続税を無くし、11年から再び復活させることになっています」
これは、今年の1年間に高齢者が持つ資産を若い世代に移して、一気に消費を刺激しようという狙いがあるとされる。 日本でも、個人金融資産1450兆円のうち約75%
※乗数効果/経済学の用語で、政府支出や投資によって有効需要を増加させた時に、その増加額より大きく国民所得が拡大する現象のこと。菅首相は、財務相だった今年1月の参院予算委員会で、この言葉の意味を理解できず、噛み合わない答弁を繰り返して審議を4回もストップさせた。
※写真あり 「税制調査会専門家委員会の神野直彦・委員長」
●は50歳以上が持ち、それが消費や投資に回れば経済回復の起爆剤になる。だからこそ「相続税ゼロ」「贈与税ゼロ」政策は効果が大きい。もし、相続税を廃止し、生前贈与も非課税にすれば、親が生きているうちに高齢者の持つ個人金融資産を子供世代に渡せる。
1450兆円のうち約1050兆円が、子育てや教育費などで消費意欲が高い世代に移転される可能性があるという試算もある。
「所得の低い若い世代が、親からの大きな子ども手当≠もらえば、臨時所得という心理的プラス面もあって消費意欲が高まり、その経済効果は計り知れない」(相澤氏)
しかし、このまま財務省の目論見通りに相続税増税をさせた場合、貯蓄が消費に回らないだけでなく、中小企業がハタハタと潰れ、菅首相のいう「強い経済」など幻になる。
06年版中小企業自書によれば、中小企業の経営者が高齢化しても事業継承ができずに、毎年7万社が廃業している。それにより失われる雇用は毎年20万〜35万人と推計されている。事業継承ができない主な要因は、子供に継がせたくても相続税が高く、廃業して工場を売らないと税金を払えないからだ。
政府税調会長の野田財務相も財務副大臣時代、ビジネス誌に日本の相続税が高いことについて、
「自由主義の国が私有財産を否定するような動きは、本来はしてはいけないと思っていた。3代で、祖父や父が作った資産が全部なくなるなんて、私有財産の没収じゃないですか」 と語っていた。
そんな状況で相続税増税をすれば、「経営者の高齢化が進み、世代交代の時期に差し掛かっている日本の中小企業が壊滅的な打撃を受ける」(中小企業団体幹部)のは間違いない。
にもかかわらず、野田氏は今や「富の再分配のためには仕方がない」という財務省の振り付けに従って国民の財産を没収しようとしている。
「財政再建」は増税の口実
菅政権がめざしているのは、明らかに「国民からカネを吸い上げ、官僚が使う」という自民党が失敗した大きな政府路線だ。それは官僚にはこの上なく都合がいいが、「強い経済」も「強い財政」も、「強い社会保障」にもつながらないことは歴史が証明している。
なぜ、政治家や官僚は外国のケースや過去の教訓を学ぼうとしないで、同じ失敗を繰り返すのか。財務官僚出身の高橋洋一・嘉悦大学教授はこう喝破する。
「財務官僚には実体経済は分からないし、国の将来のことも二の次です。驚くかもしれませんが、財政再建さえ本気でやろうとは思っていない。借金が大変といいながら、国の巨大な資産を売ろうとしないのがその証拠です。財務官僚は税金を集めて予算を配分することで霞が関や各業界に力を持ってきた。減税は配る金が入らないからやる気はない。増税しても借金返済係なんて仕事は面白くないわけです。
だから、財政再建なんていうのは単なる増税の口実でしかなく、政治家をうまく丸め込んで増税させ、予算規模を増やすことを常に考えている。政治家も金を集めて配る方が選挙に有利で政治力も強まるから、それを承知でやっている」
国民には目立たないが、官僚は小泉政権時代に、年金や介護、健康保険料については自動的に上がっていく仕組みを作った。年金博士として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏は、実は既に今も毎年増税≠ェ進んでいると語る。
「サラリーマンが加入する厚生年金の保険料率は、04年の年金改悪で段階的引き上げのレールが敷かれ、17年には18・3%になります。
08年に後期高齢者医療制度が施行されたことで、健康保険料率も同様に上昇しています。介護保険も自治体の財政状況で保険料は国会審議なしで上げることができる。すでに年金保険や健康保険の隠れ増税≠ヘどんどん進行しています」
そうして国民負担が増える一方で、俗に「10・5・3・1」トー ゴー サン ピン (サラリーマンは10割、自営業者は5割、農業・漁業従事者は3割、政治家は1割)といわれる所得の捕捉率の「不公正」は手つかずのままだ。
これで「格差是正」などとはちゃんちゃらおかしいのである。
※(写真あり)「所得税減税で05年のロシアは好況に沸いた
p-44
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