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http://ameblo.jp/aratakyo/day-20100703.html
どうやら、菅首相は予習しすぎたようだ。
官僚、検察、米国に寄ってたかって叩き潰された鳩山政権。脱官僚依存、対米追従外交との訣別をめざしたハトヤマ・ドクトリンは、見るも無残に打ち砕かれた。
首相として生きながらえるには、官僚組織や米国のジャパン・ハンドと、うまくやっていくしかない。菅氏は「現実」をそう分析し、出番を待っていたのだろう。
「脱官僚の急先鋒」からの軌道修正は、財務大臣に就任後、いっそう加速した。
今年2月、カナダで開かれたG7。ギリシャの財政破綻で激論が交わされたさい、日本の財政状況への懸念の声も上がった。もともと経済分野を得意としない菅氏は、各国の問いにうまく答えることができない。
そこを、財務官僚につけこまれた。「大臣、財政再建を早くしないと、国際社会から白い目で見られます」。
勝栄二郎主計局長は菅直人、野田佳彦の恐怖心をあおり、増税路線への転換を促した。
G7会合から約1ヵ月後、菅財務相は、自民党が通常国会に提出した「財政健全化責任法案」に目を通した。財政健全化への工程表が示されていた。
財務省の参事官らが内緒で自民党を手伝ってつくったのがこの法案だ。
菅財務相は自民党の本気度を強く感じた。「むこうは消費税を参院選の争点にするつもりだな」。
おりから、鳩山政権の支持率は下がる一方。地方を合わせた国全体の借金は1000兆円を超え、700兆円の資産に言及しないで危機感をあおる財務省御用達の学者、評論家、ジャーナリストによって、国民は「国家破綻」という幻想を抱かされつつあった。
財政再建に手を打たない無責任な民主党。そのように自民党から攻撃されることを菅も、野田も、仙谷由人も恐れた。菅は「消費税も含めた税制論議」を口にし始めた。
鳩山退陣で、そんな三人に、首相、官房長官、財務大臣という大役がまわってきたのは、どういうめぐりあわせだろうか。
これで、政権は大きく消費増税路線に傾斜する。
菅と仙谷が頼りとする参謀は、官房副長官に任ぜられた古川元久だ。東大法卒の元大蔵官僚。エリート臭はいまだ抜けないが、頭は切れる。鳩山内閣で国家戦略室長をつとめ、担当大臣、すなわち菅や仙谷の信頼をすでに得ていた。
「自民党の10%を参考にしたい」と菅首相が6月17日の記者会見で消費税率アップに言及したのは、古川の入れ知恵だったという。
前日の6月16日、自民党が消費税率10%をマニフェストに明記するという情報をつかんだ古川は菅首相と仙谷官房長官に「抱きつき戦術」を進言し、首相はそれに飛びついた。
このとき打った奇策が、菅首相をその後、苦しめることになった。
消費増税への前のめりは、党内や民主党支持層からも反発を買い、一転、「霞が関」擁護派と見られるようになった。
参院選の雲行きもしだいにあやしくなってきた。菅首相は低所得層の負担軽減策を口にするが、これも対象世帯の年収水準などをめぐるブレで、逆効果を生んでいる。
久しぶりの「本格政権を」という「欲」が、菅首相の脳回路を支配している証拠である。
政権維持のため守勢にまわっては、自民党政権時代の愚を繰り返すことになる。民主党政権の使命はこの国の「改革」である。国民を主権者とする政治主導への転換をあきらめてはならない。
民主党政権と自民党を巧みに操って、首尾よく消費増税に流れを向け、ほくそ笑んでいるのは財務省官僚だけであろう。
筆者は政治改革の立役者である小沢一郎はもちろん、菅直人も傑出した政治家だと思っている。二人とも、言うだけでなく実行力を示してきた稀有な政治家だ。
菅氏がかつて厚生大臣として、官僚の抵抗を押し切り、省内にチームをつくって薬害エイズ事件の重要ファイルを発見、即座に発表してHIV被害者に謝罪した一連の行動は、省庁のお飾りに過ぎなかったそれまでの大臣像を変えた。
その後の政権で、彼に匹敵する果敢な大臣の姿を見せてくれた政治家は筆者の記憶にはない。
菅直人に国民が期待しているのは、知の巨塔のようにそびえる霞が関にひるむことなく、官僚支配構造の解体に立ち上がる指導者の姿ではないか。
それができれば、小沢一郎も静かにしていられよう。できなければ、いつかは動かなくてはならなくなる。
(南青山コメント)
ここのところ菅政権に対してあたたかい目で見守ってきた永田町氏だが、最後の段落を見ると、いよいよ見切りを付けようとしているように思える。
それほどいまの菅政権は救いがたい迷走を続けている。
本ブログを見ると、その遠因は官房副長官の古川元久のようだ。
「前日の6月16日、自民党が消費税率10%をマニフェストに明記するという情報をつかんだ古川は菅首相と仙谷官房長官に「抱きつき戦術」を進言し、首相はそれに飛びついた。」
このような小手先でうまくいくとはとても思えないのだが、社会を、世間を、日本国民を、この古川という男はよほど甘く見ているのだろう。
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