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今週発売の「週刊ポスト」に、「私はこうして官房機密費を手渡された」との記事が掲載されている。既にご存知の方も多いだろうが、同誌とフリー・ジャーナリストの上杉隆氏が、数週間前から「官房機密費とジャーナリスト」の問題を追及してきた。遂に今週号で、元ＮＨＫの官邸キャップが、実名で同誌の取材に応じた。詳しい内容は同誌を買っていただくとして、そこには驚くべき実態が述べられている。
取材に応じたのは、元ＮＨＫの記者の川崎泰資氏。東大卒業後、１９５９年にＮＨＫ入社。政治部や西ドイツ・ボン支局長、甲府放送局長などを経てＮＨＫを退職した。６０年代から官邸担当となり、田中角栄から三木武夫政権（７２年〜７６年）においてＮＨＫ官邸キャップを務めた。６０年代というのは、池田隼人の晩年から佐藤栄作首相の時代である。日本経済の高度成長期に官邸詰めだったと言うことになる。
冒頭に「機密費について見たことも聞いたこともなかったという政治記者がいたら、それは記者としてレベルが低いということ。政治記者というのはインナーサークルに入り込まなかったら一人前じゃない」と告白している。つまり今、川崎氏と同世代の大手紙の元政治部記者は、「機密費」の毒饅頭を食ったか、能無しの三流記者だったと言うことだ。三流記者が論説委員に登りつめるほど大手紙は甘くないだろう。
この記事のハイライトは、１９６７年に佐藤栄作首相が台湾に外遊した時の話しだ。
その時、川崎氏はテレビ・ラジオの記者団の幹事であった。ホテルに着くと、総理の首席秘書官の部屋に呼ばれ、いきなり封筒を渡された。中に１００ドル札が入っていた。それで「何ですかこれは」と聞いたら、「お世話になるから、お土産でも買っていったら」と言う。「冗談ではないですよ」と突き返したら、顔色が変わって、「あなた、そんなことをしたら仕事ができなくなるよ」とはっきり言ってきたそうだ。
そして「心配することはない。あなたの先輩もみんな受け取っているんだから。断った人はあなたが初めてだ」というんだ。彼は新聞記者出身だったからね。到着してすぐで、幹事の役目が務まらなくなるとますいから、仕方なく「預かります」とした。
帰国後すぐにＮＨＫの官邸にいた佐藤派の先輩記者に「あなたから返してください」と頼んだら、もの凄い形相で睨みつけてきた。（以下省略）
当時、１ドル＝３６０円。１００ドルは３万６千円。大学出の初任給が２万５千円の時代、現在の３０万円相当になるが、当時は個人の外貨持ち出し枠が５００ドルしか無かったことを考えると、為替レート以上の価値があった。閑話休題。
この当時から、官邸が記者に現金を渡す慣習があり、野中広務氏が官房長官時代を経て、自民党最後の河村官房長官まで続いていたと考えて間違いないだろう。最初は、誰もが驚くだろうが、「先輩もみんな」と言われたら、先ずは受け取ることになる。
こうして次第に毒饅頭に侵された者が記者クラブの中核を占め、マスコミの論調がある方向に偏り、日本の政治報道を曲げ、日本の進む方向を曲げてきたのだ。
テレビや新聞で、偉そうに「政治とカネ」とか言っている元政治部記者や解説委員は誰も、いまだにこの問題について一切発言していないと同誌は指摘している。また、某テレビ番組が、官房機密費のマスコミ汚染問題の特集に、政治評論家ら１０数名に出演依頼したら、「興味が無い」「その内容では出演しない」「その話は無理」などの理由で出演を拒否し、出演したのは上杉氏と有馬晴海氏だけだったそうだ。
彼らは１００％官房機密費からのカネを受け取っているはずだ。彼らが好きな「説明責任」を、是非果たして貰いたいものである。この川崎氏は、「私は絶対に機密費の受け取りに応じなかったから、こういうことになった（ＮＨＫを中途退社）。だから話せる。他の記者が機密費のことをしゃべらないのは当たり前。悪い記者ならもっとそう。悪いことをしていると思っているからでしょう」と述べている。納得できる。
これであの野中氏が、なぜ官房機密費のことを話したのか、その理由が分かる。彼の不倶戴天の敵である小沢氏を叩かないと、毒饅頭を食った政治記者たちに「名前をばらすぞ」と、暗黙のブラフをかけたのだ。独裁者、二重権力構造など、小沢氏に対する異常なまでのバッシング記事の連続は、毒饅頭を食らい、健全なジャーナリズム精神を失った日本のマスメディアの狂態であったのだ、と言えるだろう。
（南青山コメント）
野中の官房機密費マスコミ買収発言の真意は、小沢排斥にあったという推理である。
これは野中の官房機密費発言の背景について、もっとも納得のいく説明だ。
投稿者は書いている。
「彼の不倶戴天の敵である小沢氏を叩かないと、毒饅頭を食った政治記者たちに「名前をばらすぞ」と、暗黙のブラフをかけたのだ。」
なるほど、そうであれば政治記者たちは二重のトラップにかけられたことになる。
毒饅頭を口にしたことと、脅しに屈して小沢排斥の捏造記事を書いてしまったことだ。
ところで朝日記者は受け取っていないということを書いている人もいるが、どうだろうか。
少なくともマスゴミの論調は、小沢排斥と、野中発言のガン無視と、ゲンダイくらいをのぞいてぴたりと一致していた。
おそらくこの推理は真実を突いているだろう。
そうであれば、もうマスゴミの復権は永遠にない。
ニュースはネットで十分だ。
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