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二見伸明:なぜ、消費税増税? ── 「官」が「菅」を支配する(THE JOURNAL)
http://www.asyura2.com/10/senkyo89/msg/525.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2010 年 6 月 30 日 10:37:33: twUjz/PjYItws
 

http://www.the-journal.jp/contents/futami/2010/06/post_22.html

なぜ、消費税増税? ── 「官」が「菅」を支配する

 半世紀以上、官僚の筋書きどおりに踊ってきた自民党が、「消費税10%」を主張するのは、「ははぁん。財務省の入れ知恵だな」と十分過ぎるほど理解できるが、「3年前の参院選でも去年の衆院選でも、『すぐ消費税を増税することはしない。行政の無駄を徹底的に省く』というのが主張だった」(小沢一郎、6.24、山梨)で勝利したはずの民主党が、シャッポが菅直人に代わった途端、党内議論もろくにせず、「2,3年後に消費税10%増税」を打ち出した。不可解千万である。
 鳩山前総理は「普天間迷走」の責任を取って総理の座を棒に振ったが、政治主導を何とか貫こうとした。しかし、菅の「盲暴走」は鳩山とは質が全く違う。国民生活を犠牲にし、デフレをさらに深刻化させるものだ。彼は、「普天間問題」でアメリカの圧力と外務・防衛官僚のサボタージュを目の前に見て、対米・対官僚従属路線に切り替え、「政治とカネ」では検察の理不尽な執拗さを思い知らされた。今度は、「官僚中の官僚」・財務省の反乱を防ぐため、「消費税」で懐柔しようとしたのか、財務官僚はにんまりであろう。長期政権を目論む菅総理は、「政治主導」をかなぐり捨てて「官僚主導に逆戻りしたほうがよい」と判断したのかもしれない。なにしろ、菅を取り巻く財務相・野田佳彦、国土交通相・前原誠司、政調会長・玄葉光一郎らは松下政経塾出身の、「バリバリの消費税増税論者」であり、小泉・竹中路線の信奉者だ。そして、彼らの後ろ盾・仙谷官房長官は、全共闘出身の、権謀術数のやり手で、枝野幸男幹事長は仙谷の一の子分である。旧民主党議員の中には、官僚、マスコミ出身者が多く、当然、新自由主義者が多い。そうでなければ、菅の唐突な「消費税10%」発言は理解出来ない。

■民・自大連立への布石? 結局は「官僚ファシズム」の完成へ!

 民主党はマニフェストで、財政健全化のため「消費税を含む税制の抜本改革の協議を超党派で始める」と明記した。「税制の抜本改正」といえば、聞こえはいいが、ひらたく言えば「人民から、どうやって、より多く、年貢を取り上げ、『お上』の借金の穴埋めをするか」ということだ。「税を減免」するために超党派で協議会を設けるのであれば、(財務官僚は反対するであろうが)それなりの意味はあるが、「増税のための超党派の協議会」など、かつて、聞いたことがない。そもそも、「議会」とは「君主」(=官僚)の専横をチェックし、「増税」に反対するために生まれたのだ。それを、本来であれば、「税金の無駄づかい」を徹底追及すべき野党・自民党が、「天に唾すること」になるのを恐れて、与党気取りで消費税増税の協議会を呼び掛けた。菅は総理の座に舞い上がり、財務官僚の「財政健全化・増税こそトレンディ」との甘言に、「国民の生活が第一」を忘却の彼方に放り投げ、自民党の提案に飛びついたのである。
 その狙いは何か。「赤信号、皆で渡れば恐くない」である。その結果、国民生活が破壊されれば「一億総ざんげ」だ。日本政治専売特許の「誰も責任を取らない」の典型である。そして、もっとも憂慮すべきは、「消費税増税」をキーワードとする民主・自民の大連立である。「社会保障にはカネがかかる。借金財政では財源不足で、年金も支払えなくなる」という「消費税増税を肯定し、一切の増税批判を拒絶する」風潮である。
 国債と税金の違いは、国が国民に「○○円、お借りしました」という借用証書が国債で、国(=官僚)が、国民から有無を言わせず取り立てるのが税金である。消費税を増税して「国の借金を返す」だの「増税した分で経済を活性化する」など、「バカも休み休み言え」と言いたい。「官僚」は、エリート中のエリートだと自負し、政党や政治家を見下す、万能で、超然たる存在だと思い込んでいる。そして、マスコミは「国民も成熟して、消費税についての理解が深まった」と報道し、批判派に「時流を知らない馬鹿者」と烙印を押して、「官僚」にゴマをすっている。「官僚ファシズム」の完成である。

 ギリシャの財政破綻は深刻である。しかも、ユーロ圏にはギリシャ以外にもスペイン、ポルトガル、イタリアなど、財政が危機状態にある国があるので、ドイツや英国などユーロ主要国が「財政再建が最優先」を打ち出し、増税や歳出カットに踏み切るのは、それなりに理由がある。しかし、それが結果として世界の景気の足を引っ張り、さらなる財政悪化を招く恐れのあることも留意しておいた方がいい。
 日本の、国と地方を合わせた長期債務残高はGDP比180%で、ギリシャの130%より、数字的には、はるかに悪い。にもかかわらず、財政が破綻しないのは、農業国ギリシャと違って、経済の規模、構造など経済力や質が比べものにならないほど大きく、高度なこと、日本の国債は、95%を日本人が購入しているのに対し、ギリシャ国債の70%以上は、外国の機関投資家や外国政府が保有していること、ギリシャは債務国だが、日本は債権国だ、等々である。だからといって、財政赤字を放置するのは言語道断だが、数年後にも、日本がギリシャの二の舞を踏むかのような危機感を煽り、菅総理や自民党の谷垣禎一総裁が「最優先すべきは財政の健全化で、そのためには、まず、消費税増税ありき」と喧伝し、大手マスコミがそれをヨイショしている、その光景は異常で、不気味ですらある。
 財政健全化とは、限られた財源を、「無駄を排除」し、国民生活の安定、新たな成長分野への投資などに有効活用をすること、いうなれば、財政構造の改革である。「無駄の排除」とは、「事業仕分け」という「見世物」ではない。「ひも付き補助金制度の廃止」「独立法人の民営化または廃止」「特別会計の改廃」など制度そのものに切り込むことだ。借金財政から脱却するためには、まず、徹底した「無駄の排除が最優先されなければならない。しかし、官僚は自分たちの既得権益が侵されるので、猛反対である。増税を最も望んでいるのは「官僚」そのものだ。

 現在、我が国が抱えている借金を減らす王道は、景気回復と「無駄の排除」である。その結果生まれた税の自然増収の一定割合を「借金の穴埋め」に充当するのだ。半世紀近くかけて積み上げてきた借金の山を、短時日で返済しようとするところに無理がある。
 経済が委縮し続けているデフレのど真ん中で、消費税の増税は絶対にしてはいけない禁じ手である。消費は抑えられ、経済は縮小し、非正規社員、失業者が増え、貧富の格差は拡大する。地方の疲弊は計り知れないものになるだろう。また、赤字穴埋めのための増税が赤字拡大の悪循環を生じかねないのだ。1930年代の金解禁デフレを教訓にすべきだ。

 菅総理が切り換えようとしている「現実路線」とは、「対米従属・官僚主導」の政治である。多少の改良はあっても、抜本的な改革はないので、マスコミも安心していられる。装いを変えた、「新55年体制」である。これは、「政権交代可能な二大政党制」を飛び越えた、「新大政翼賛制」に通じる危険な道である。参院選は、政権交代の評価もさることながら、民主党の基本理念・政策になった小沢の掲げる改革路線=新しい政治か、「官僚主導」に先祖返りするか、を問う選挙でもある。「消費税増税」は日本の政治が抱える大きな問題の氷山の一角である。

投稿者: 二見伸明 日時: 2010年6月29日 08:36 | パーマリンク
 

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コメント
 
01. 2010年6月30日 12:29:36: DmCC9k6hHM
>菅の「盲暴走」は鳩山とは質が全く違う。国民生活を犠牲にし、デフレをさらに深刻化させるものだ。

 そうだ。菅直人は日本を崩壊した張本人の小泉純一郎の再来である。こんなに国民を愚弄する人間が首相になれるとは、日本人はなんとお人好しか。否、馬鹿なんだろう。民主党は昨年の政権奪取時とは似て非なる政党に化けてしまったようだ。こうなれば、小沢氏の出番が近くなる。


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