11. 2010年12月28日 17:58:58: FZgGiDbYMh
転載 劉暁波は悪しき隣人か?? ノルウェー・ノーベル賞委員会が、中国の反体制作家、劉暁波氏にノーベル平和賞授与をした。ノルウェー政府とノーベル委員会の腹の据わり方に感動すると共に、世界に恥ずべき屈服と妥協をした国が、今また盛り上がってきた世界世論に乗っかるような態度で中国バッシングを加速するのを見ていて反吐が出る。 私は今回の劉暁波さんの件で自分自身が何故これほどまでに中国擁護・日中友好の気持ちを強く持ち続けているかがハッキリ認識する事ができた。なのでノーベル委員会には大変感謝している。 正直、中国の事をあまりに酷く言われたら腹が立つ、でもその「腹立ち」が一体どこから来ているか理論立てて説明する事はできなかった。 不勉強ながら劉暁波さんの映像を初めて見たが、その雰囲気、語り口、特に目、優しさと厳しさに悲しみが混じった目・・・私の脳裏に存在する中国人の印象は正にあのようなイメージである。 しかし実際中国で生活していると、自分の周りに存在する大半の中国人が『悪しき隣人』に見える。 他人に親切にする事はないし、マナーも悪いし、自分勝手だし、ギャーギャーうるさい。 でもそれは強権国家特に共産党支配下において作られていった「生きる為の鎧」だと思えば多くの事が許されるのではなかろうか。 その鎧の中には反体制の強い気持ちがありながらもそれを諦め抑えつける無念さが詰まっている。すでに鎧と身体が同化してしまっている者や鎧を付けたまま生まれて来た者も多いが、基本的に中国人は悲しみの分厚い鎧を着ていると思ってあげればただ嫌悪するよりは良い関係が作れる。 その鎧を脱ぐのは、家族、親戚、本当の友達の前だけである。 私はその鎧を脱いだ中国人の本心に多く接してきた方だと思う。 北京の隣室に住んでいた老夫妻、自分の経営するレストランの仕入れ係の太っちょ婆さん、合弁相手、骨董朝市のオヤジ、多くの友人、そして何よりも妻の両親や親戚。 本当に優しさや慈愛に満ちている。損得抜きで本当に他人を助けようとしてくれる。 ああいう優しい目をした日本人はもうそういない。 つまり私の固定観念としての中国人イメージがそのような「内心慈愛に満ちた優しい人々」であったから、大した知識も無いくせに中国や中国人に対してあまりにも酷い事を言う奴に腹を立てていた訳だ。 中国に親戚や親友がいない人はこう考えて欲しい。 中国人の多くは行動力が足りない臆病な『劉暁波』なんだと・・。 実際、鎧を脱げば劉暁波さんと同じ目をした中国人がたくさん存在する。 枝野の悪しき隣人発言。 今日も朝から勝谷誠彦がギャーギャー騒いでいたが、ああいう吠え犬の浅い見識にTVが主な情報源である国民の世論が引っ張られるかと思うと情けなくなる。 そこで、枝野に問いたい。 劉暁波さんは『悪しき隣人』ですか? 多くの中国人の心情は劉暁波さんと大差ない。 極端に言えば「中国人=劉暁波」と言っても過言じゃない。 中国人の一番強い不満や反抗心は外国や日本に向けられているのではなく、自国中国に向けられている。そしてその度合いは日に日に高まっているが、まだまだ殆どの中国人は「どうにもならない」と思ってそれを諦め、諦めたかわりに倫理や道徳を放棄し個人的な利益を追求する日々を送っている訳だ。 中国政府はここ1.2年の反体制感情の高まりをはっきりと認識しているから、何とかそれを押さえ込もうと必死になっている。それは今回の過剰なほどの反日行動や情報統制からも見てとれる。日本政府はそんな中国政府を恐れるあまり正しい行動を取れなかったが、中国政府は恐れるどころか相当追い詰められた立場にいる事を忘れてはならない。 私も中国で何度か軽いやつを体験したが、何をどうしてもどうにもならない「理不尽さ」を自由主義国家の国民は理解できないだろう。 「中国人に人権を!」なんて叫ぶ気はない。 それはもう少し国民全体が豊かになり、次の目標を見つけた時に国民自身が選択する道だから・・ 良識ある日本国民は枝野のように中国に対して大した歴史認識も知識も経験も親交も持たないのに、雰囲気だけで一刀両断的に「中国は悪しき隣人だ」なんてバカな事を叫ばない事だ。 日本政府には何も期待しないしスルーという事でいいと思うが恥の上塗りだけはしないようにお願いしたい。 今回のノーベル賞で世界の中国包囲網は一気に結束を固めた。 これで中国政府はしばらくシュンとして大人しくなる。 しかし、昔のハイジャック犯釈放と同じく世界標準に反し中国に完全屈服した日本政府が今さらそれに乗ってワーワーやるべきではない、それは脅かされ土下座して帰ってきたくせに近所の兄ちゃんをつれて仕返しに行くよう事だ。中国に限ったことじゃなく、外交においてはどんな国でもこういうやり方を一番嫌う。 まず日本政府も日本国民も「中国政府=中国国民」ではない事をしっかりと認識し、政府に対しては腹を据えて言うべき事をはっきりと言いつつ、民間の人的交流をどんどん増やしていくべきだ。人の交流が増えていけば中国政府の情報統制など何の役にも立たなくなるし、国民の民度もどんどん上がっていく。国民同士の相互理解も深まり、友好の精神も育って行く。 日本人1人が13人の中国人の友人を持てば良い訳だ。 所得が増えて、民度が上がっていけば自然と民主化の波は押し寄せてくる。また民度の裾野が広がれば政治家・共産党員の資質にも必ず変化が起こる。少なくとも私がやられていた20年前の警察より今の警察の方が人間語が通じる。 中国が経済発展し、国際社会にとって重要な位置まで上がってきたのはここ10年とか20年の話でだ。つい最近までは文化大革命で隣人や家族を密告し、実の親を子供が「犯罪者」と呼びつつ棒で叩いていたのである。 叩かれている親が劉暁波さんであり、中国国民なのである。 まだまだ時間がかかる。 私は個人的に出来る限り日中友好に努めつつ、いつかは中国人の鎧が外れ本当に理解し合える隣国となって欲しいと願っている。 中国は決して「悪しき隣国」などではない。 少なくとも私には得る物がたいへん多い国である。 桃太郎も私がそらで語れる唯一の童話だし。
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