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『旧自民時代の税金のムダ遣いを洗い出し、国民のための政治実現へ向けて努力している民主党政権への支持表明が参院選の争点』
なるほど、民主党嫌いの大マスコミはこう書くのか。行間に底意地の悪さがにじみ出ていたのが、各紙の「参院選、世論調査」である。<与党過半数は微妙><「菅効果」勢い見えず>とは読売新聞。<民主失速><増税発言、火消しに躍起>は産経。日経は<民主、消費税論争に不安>と書き、朝日は<選挙区 伸びぬ民主>と打った。いずれも、消費税増税に踏み込んだ菅・民主党が苦戦中というトーンだ。
小沢前幹事長が「心配」を口にしたとか、枝野幹事長が演説で「消費税」に触れなくなったとか、党内の動揺も詳報し、民主の不安を煽っている。法大教授の五十嵐仁氏(政治学)は「消費税は非常にデリケートな問題。菅首相はきちんと準備をして、慎重な言い回しをすべきでした」と菅の軽率を批判した。もちろん、菅が悪いのは言うまでもないが、メディアのこうした調査、論調は選挙に少なからず影響を与えるものだ。
完全に死んでいた自民党が息を吹き返す可能性もあるし、「やっぱ消費税言い出した菅にはお灸だよな!」みたいな“怒りの連帯感”が広がっていく懸念もある。そうなると、「第3の政党が面白いか」みたいなムードにもなってしまう。いつのまにか、選挙の争点は「消費税」になり、そこに「菅・民主、消費税で苦戦」の調査、分析が連日報じられ、刷り込まれる。これがバンドワゴン効果になっていくのである。
「民主党に続けさせるのか」が争点
こうなると、民主党の苦戦は必至だが、有権者は、これぞ、大マスコミや旧勢力の作戦だということを知るべきだ。民主党に批判的なメディアはバラマキを叩き、財源の裏づけを求め、菅が消費税増税に踏み込めば、手のひら返しで「苦戦」を報じた。財源難からマニフェストを見直せば、「公約破り」の批判である。小沢の「政治とカネ」のときもしつこかったが、依然として、謀略のような民主党潰しが現在も進行形なのである。
今度の選挙の争点は、大マスコミがはやすような「消費税」ではない。民主党の「公約達成度」でも断じてない。こうした争点は、民主党を潰したいメディアが作り上げたものだ。消費税について、民主党はこれから議論を始めると言っている。この路線は鳩山政権と変わらない。逆進性や用途を議論し、実際に消費税を上げるときは「必ず総選挙で信を問う」と言う。つまり「消費税選挙」とは次の総選挙なのである。
だとしたら、今度の選挙の争点は何か。「去年の政権交代が正しかったのか、成功だったのか。この一点ですよ。民主党政権に代えて良かったのか。もう終りにすべきか、もうちょっとやらせるべきか。これが選挙の争点です。振り返ると民主党政権にはゴタゴタもあったが、大失態はない。良かったこともたくさんある。事業仕分けが象徴ですが、政治に対する透明度が増し、政治が国民により身近な存在になってきた。この功績は大きいと思います。民主党の改革はまだ道半ばです。マニフェストの達成度も、次の衆院選まで待って判断すべきだと思います」(政治評論家・山口朝雄氏)国民はここを見誤ってはいけない。
雨後のたけのこ新党がキャスチングボード!?
それなのに、メディアがたきつけるような「消費税選挙」になったら、おかしなことになってしまう。民意はよれて、民主党は単独過半数に届かず、ひょっとしたら、国民新党と組んでも与党過半数割れになってしまう。そうなれば、新たな連立を余儀なくされ、相手次第で政界は大混乱になっていく。大マスコミや守旧派はこれが狙いなのだが、有権者は困る。こんな経済状況で混乱はゴメンだし、第3の政党がキャスチングボードを握るのもゾッとする。雨後のたけのこのように立ち上がった新政党なんて、ロクなもんじゃないからだ。
前出の五十嵐仁氏は「新政党は隠れ自民党か名ばかり新党ですよ。自民党では生き残れないから、飛び出して、新党のポーズをしているだけです」と看破する。新党の中ではみんなの党が人気らしいが、鳩山政権から菅政権になったとたんに支持率は半減した。いかにムード先行のバブル政党であるかがわかる。ウルトラ右翼が率いる「たちあがれ日本」は言うに及ばず、人望ゼロで自民党総裁になれないものだから飛び出した舛添要一の「新党改革」、失政をゴマカすために横浜市長をブン投げた中田宏や目立ちたいだけの山田宏前杉並区長が立ち上げた「日本創新党」なんかも、ヒドイものだ。いずれも、生き残り、保身しか頭になく、政治的打算で新党を立ち上げた連中ばかりだ。
そしてコイツらに愛想をつかされたのが自民党なのである。表紙の取り換えもできず、谷垣で玉砕作戦の自民党は、最初から「40議席を超えれば御の字」(自民党衆院議員)みたいな戦い方をしている。比例代表には昨年の衆院落選組をズラズラ並べ、反省ゼロである。こんなのが息を吹き返すなんて、悪い冗談としか思えない。(略)有権者は「消費税ケシカラン」という単純な発想だけで投票しないことだ。未来も見据えた成熟した判断が求められている。
(日刊ゲンダイ 2010/06/28 掲載)
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