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参議院選挙に向けて各党の政策が打ち出された。特に目を引くのは、民主党が昨年の総選挙で封印していた増税の議論を正面に出した点である。これについては、約束違反だという批判も当然出てくる。それにしても、日本で福祉国家を整備するという理念に照らせば、政策論議が進んでいるという肯定的な評価をしたいと、私は考えている。
今年度予算は、財源が極めて乏しい中、子ども手当や公立高校の無償化に踏み出した。これは政権交代の大きな成果である。本誌編集部を含め、左派、進歩派の中でこの種の政策にいちゃもんをつける人々もいるが、自民党時代の冷酷な政府の方がよかったとでもいうのだろうか。理想的な政策は一夜でできるものではない。まず現金給付の仕組みを作り、保育等のサービスを拡充するという段階を踏むのは当然である。
しかし、今の財政状況を見れば、この種の積極的な社会支出を維持することが不可能であることも明らかである。そこで、持続的財源を捜すという議論が始まった。私の言葉で言えば、お代は見てのお帰りということである。親の貧困、生活苦を子ども世代に伝えないという理念を実現するためには、数兆円規模の支出が必要である。他方、無駄の代表といわれた公共事業も、これ以上減らすと地域経済は本当に壊滅する瀬戸際である。だから、新たに財源を見つけるしかない。公務員の削減も、官製ワーキングプアを増やすだけで、これ以上すべきではない。つまり、増税の議論は不可避である。
先週号のインタビューで、福島みずほ社民党党首は社会民主主義の必要性を唱えていた。私も同感である。しかし、この際敢えて言いたい。社民党の存在こそ、日本人が社会民主主義について誤解する原因である。社会民主主義を選んでいる欧州諸国における租税社会保険料の国民所得に対する負担率は日本の1.5から2倍である。社会政策の面でヨーロッパ並みを目指すなら、負担もヨーロッパ並みに引き上げなければ、帳尻は合わない。
社民党およびその支持者は、今の政府を信用できないから増税の議論は受け容れられないという主張をする。一件もっともなこの種の議論は、実は新自由主義と財務省主導の自己目的的財政再建への道を開くのである。新自由主義は政府に対する徹底的な不信を前提としている。その種の議論を逆手にとって、新自由主義者は、政府は常に信用できないのだから、政府に金を預けるよりも、徹底した歳出削減で国民負担を小さく抑えようと言う。これは小泉時代に実際に起きたことである。
政権交代によって、積極的な社会政策が広がり始めた。しかし、圧倒的な歳入不足が政策の本格的な展開を阻んでいる。今財源を見つけなければ、始まりかけた社会民主主義路線は簡単に瓦解する。消費税率引き上げの前に、資産課税、相続税、所得税の累進制の強化など先にやるべきだという意見があるなら、この際しっかり主張してもらいたい。それでも財源が不足するなら、消費税率の引き上げも選択肢の中に入れなければならない。国民負担を増やすことなしに福祉国家は建設できないという現実こそ、社会民主主義者が主張すべきである。(週刊金曜日6月25日号)
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財政の持続可能性を考えるならば、消費税はさけて通れない。所得税の累進性強化、食料品などの生活必需品の消費税免除、株式売却益、配当金、相続などの不労所得に対する課税強化。これらをセットにした税制改革案を民主党は国民に提示する責任がある。
消費税に関しては、一挙に10%に上げるのではなく、5年をかけて年1%づつ上げていくべきだ。そして脱税を完全に捕捉するために、納税者番号制はどうしても導入しなければならない
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