http://www.asyura2.com/10/senkyo89/msg/324.html
Tweet |
警察庁のまとめによれば、昨年2009年における自殺者の総数は3万2845人で、対前年比1.8%増。12年連続で3万人の大台を超えている。人口10万人あたりの自殺率でも、日本は先進国のワーストワン。ここまでは周知の事実だろう。自殺の統計を眺めていて、ハッと気づかされたことがあったので報告したい。職業別では「自営業・家族従事者」が3202人で、全体の9.7%を占めていたのだ。
「被雇用者・勤め人」の自殺者が9159人、27.9%だったのに対して、いかにも多い。というのも全就業者約6210万人の90%近くは「被雇用者・勤め人」で、11.8%しかない「自営業・家族従事者」の8倍弱もいる(同時期の総務省労働力調査)。自殺の統計には就業していない主婦や学生も含まれ、実際、最も悲惨なのは1万8722人が自殺し、57.0%を占めた「無職者」だったのだが、ならばなおさら、「自営業・家族従事者」が自殺する割合は、もっともっと低くて当然であるはずなのだ。
今日に至る自殺ラッシュのスタートは1998年。山一證券や北海道拓殖銀行が次々に破綻し、貸し渋りや貸しはがしが横行し始めた翌年である。とりわけ「自営業・家族従事者」の自殺者数の増加率は群を抜いていたが、前年の97年は、消費税率が3%から現行の5%に引き上げられた年でもあったことが忘れられてはならないと思う。
本欄でも何度か書いたが、消費税の納税義務者は消費者ではなく事業者だ。顧客や取引先との力関係で弱い零細自営業者は価格に転嫁できないか、それ以上の値引きを強いられるのが現実の商売。ということは、納税のためには自腹を切らされる。法人税や所得税と違って赤字でも課税される。それだけ弱者に酷薄な、というより弱者としての零細自営業者を狙い撃つ税制が消費税なのである。
自殺対策基本法が施行されて数年。関係各省庁の動きもそれなりに盛んだが、企業にメンタルヘルスの強化を求めるなど、被雇用者向けの対策に偏りがちな面が否めない。自殺リスクが最も高い「無職者」を可能な限り出さない取り組みや、特定の層を自殺に追い込む機能を内在した税制の膨張に歯止めをかける必要がある。貧すれば鈍した揚げ句、マスコミでも原稿料や印税の踏み倒しが珍しくなくなってきた。この上に消費税増税が強行されるようなら、私自身も統計数字のひとりになりかねないと怯えている。
【斎藤貴男 二極化・格差社会の真相】より
(日刊ゲンダイ 2010/06/08 掲載)
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK89掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。