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今週末は、もう投票日の2週間前である。2週間前の時点となると、通常は選挙の行方の大勢が判明している。5年前の郵政選挙もそうだったし、3年前の参院選もそうだったし、昨年の総選挙もそうだった。風が吹く方向が決まり、風向きを見定めてマスコミが争点を設定し、有権者に勝つ方を教示する。そこから、勝ち馬に乗るバンドワゴンの動きが起き、雪崩現象で票が大きく動く。
今回は、争点は消費税という話になっているが、これは実際には選挙の争点として定義づけできない。菅民主党が谷垣自民党と公約内容を合わせ、同一の公約(10%増税)を掲げたため、有権者が二大政党の政策の差異で選択することができなくなった。公示日は2日後の6/24だが、果たしてマスコミは、争点の設定報道をどう仕掛けてくるだろうか。官僚の代弁者であるマスコミの思惑は、民主でも自民でもどちらが勝ってもよく、選挙後に消費税増税の政策大連立を実現させることである。
しかし、公正中立を偽装した立場で、二大政党が争う対立構図で政治報道を演出しなければならないマスコミは、それらしく「争点」を国民に説明し、この談合選挙を真剣勝負のように講釈する必要がある。興趣をそそるエンタテインメントのショーに仕立て、報道の商売で稼がなくてはならない。星浩、与良正男、岸井成格。野球賭博のハンデ師を彷彿とさせるマスコミ界の政治ゴロのような面々が、今回の消費税選挙の「争点」をどうスペシファイするだろうか。「争点」の設定と言う以上は、勝つ側と負ける側を提示しなくてはならないのである。
公示日の6/24(木)が週刊文春の発売日となっている。ここで宮川隆義の当落予想の第一弾が出るだろう。この選挙は、本来は菅民主党にとって万全の態勢で、この選挙に勝つべくあらゆる権謀術数を動員し、負ける要素のない布陣と戦略で臨んだはずなのだが、現実にはそれがうまく行っていない。テレビ討論では、明らかに野党の攻勢に押されて防戦に回っていて、特に消費税論議では政策の破綻と動揺が蔽いようもなく、混乱が見苦しく、政見や政策の主張に説得力がない。
党内随一の論客の枝野幸男を幹事長に立て、テレビ討論で有利に立とうとした目論見が外れて空回りしている。内閣支持率の低下に直面した菅執行部は、慌てて首相会見を開き、複数税率(軽減税率)を検討するだとか、そのためには2、3年かかるなどと急に言い出した。この姑息な応急手当の迷走も、野党側には格好の攻撃材料になるだろう。今週末のテレビ討論が一つのヤマ場になる。菅直人と玄葉光一郎は、6/17の「10%増税」発表の席で、今年度中に税制改正案を取り纏めると明言している。
来年の3月には、消費税10%増税の法制準備が整い、政府と党の税調で正式決定され、閣議決定されるのである。そう断言しながら、1週間も経たないうちに軽減税率を言い出し、そのための制度設計に数年かかると言い逃れを始めた。矛盾しているではないか。軽減税率の設計の作業を始めれば、来年3月の増税決定(税制改革の取り纏め)など物理的に無理だ。
この点は、確実にテレビカメラの前で野党から批判追及される。枝野幸男がどれほど能弁な男でも、この矛盾の指摘に反論を返して、国民を納得に導く詭弁を弄するのは無理だろう。来年3月の消費税増税決定を撤回するか、軽減税率導入を断念するか、どちらかを選ぶしかない。消費税論議は、実際のところ、菅執行部とマスコミの思惑が外れて、完全に野党が主導権を握っている。この図式は選挙が終わるまで変わらず、討論では確実に消費税が問題になる。
論戦の不利は必至で、それは票と議席に影響を及ぼすだろう。2日後(6/24)の公示日には、党首かあるいは幹事長がNHKを始めとするテレビ番組で論戦を演ずる。昨日(6/21)の首相会見での支離滅裂が槍玉に上げられ、菅内閣の支持率はさらに低下し、数字が報道されて選挙戦の環境を方向づけるはずだ。菅直人は自身が論客だから、理屈(詭弁)で破綻をゴマカそうとする。
論理のスリカエで騙す詐術を連発して逃げようとする。そこを国民に見透かされるだろう。全ての間違いは、昨年の公約を平然と破棄して、4年間は上げないと国民に誓った消費税増税を掲げたことだ。財務省とマスコミの口車に乗って、消費税を選挙の争点にすれば勝てると安直に判断したことだ。反小沢のマスコミの空騒ぎで人気を取るポピュリズムの手法に惑溺したことだ。今回、有権者の関心は非常に高く、昨年と同様、必ず投票所に行くと答えている。と言うことは、テレビ討論の一言一句を見逃さず聞いているという意味になる。菅直人の消費税増税策が、真に国民生活を慮った決断なのか、官僚の言うままに踊った愚策なのか、一票で審判が下されるだろう。
昨夜(6/21)は、各局のテレビ報道で内閣支持率の急落が話題となり、NHKでは61%から49%、テレ朝では59%から45%。2週間で12−14ポイント低下した。消費税については菅執行部は躓きを重ねている。公示日の党首テレビ討論があり、週末のテレビ討論があり、同じ消費税問題が繰り返し議論され、また内閣支持率と消費税増税への賛否が問われ、数字が週初に速報される。その間に、週刊誌の議席予想が何誌か出る。議席予想は市場の娯楽商品であり、ショッキングでセンセーショナルな記事の方が店頭でよく売れる。
今から1週間後の内閣支持率はどうだろうか。40%を割って35%に落ちていても不思議ではない。もともと、元左派の菅直人は保守マスコミから警戒と不審の目で見られる存在で、産経(フジ)や読売(日テレ)や日経からすれば、筋目の正しい右翼新自由主義者である前原誠司や岡田克也に早く首を挿げ替えたいイデオロギー的衝動で疼いている。消費税増税には拍手を送るが、長期政権の期待はしていない。要するに、菅直人はマスコミから見放されやすい属性を有している。
保守マスコミの立場からすれば、民主と自民の二党が消費税10%で公約を揃えた以上、どちらが勝っても同じであり、それなら、自分たちに親近性のある自民党に勝たせる方を選ぶ。つまり、内閣支持率下落に手加減しない。仮に支持率が35%に落ちたとき、選挙区の民主党の候補者たちは、選挙情勢とは関係なく、菅執行部の消費税増税に対して反対の声を上げるのではないか。無論、そのことは菅民主党全体にとってはマイナスであり、比例の票に響く結果となる。昨夜(6/21)のNHKの9時のニュースでは、例によって、大越健介が新自由主義のプロパガンダ報道の特集を組み、消費税増税の必要性を番組で煽っていた。事業仕分けにも参加したハゲタカ(BNPバリバ証券)の河野龍太郎を登場させ、英国人トレーダーとの会話場面を撮影し、日本の財政危機を誇張して言わせ、消費税を欧州並みに20%に上げろと宣伝するのである。映像を見た者なら誰でも気づいたと思うが、英国人トレーダーとの商談というのはNHKが台本を書いたヤラセだ。
英国人が台詞を覚えて一生懸命に芝居を演じている。リハーサルが行われたに違いないことは、英国人の視線と表情がよく物語っていた。本人に問い質せば、このヤラセ取材の真相を必ず白状するだろう。消費税増税の圧力をかけている中枢部隊こそ、実は彼らハゲタカ(外資系金融)である。彼らが欲しいのは、日本の法人税減税であり、その財源として消費税増税を求め、政府に実施させようとしているわけだ。つまり、日本の国民からカネを収奪したいということで、非常にわかりやすい。
ハゲタカは日本政府からカネをむしり奪る。その穴埋めに日本政府に日本国民からカネを強奪させる。そうしたハゲタカの欲望の下僕になって、財務省とNHKが消費税増税に奔走しているという売国の悲劇がある。小泉改革の二の舞、三の舞が続く。英国人トレーダーの下手糞な演技には笑ったが、日本の財政危機はギリシャ以上で心配だとNHKのカメラの前で台詞を読み上げているトレーダー自身が、市場でユーロを売って円を買っている張本人なのである。金融のプロのハゲタカが、どうして財政危機の国の通貨を買い込むのか。
そう言えば、これだけ消費税論議がされ、財政と税制が選挙の争点になろうとしているのに、マスコミでも、ネットでも、菅政権が6/18に閣議決定した法人税減税が全くニュースにならない。話題にされない。法人税減税と消費税増税がセットで行われている政治の事実を誰も糾弾しない。奇妙な風景だと思うのは、この消費税論議にエコノミストが積極参加していない点もある。森永卓郎と金子勝は、そろそろ、ネットなり週刊誌で本格的な論評を出していい頃だが、その動きが未だ見えない。
専門家が議論を始めれば、必ず、私が6/13の記事で指摘した問題が浮上するはずで、09年度に激減した税収9兆円が今年度は企業収益の改善で回復する事実が暴露されるだろう。6/18の月例経済報告では、明確な「回復宣言」は見送られたが、景気認識の上方修正が確定していて、大企業はリーマンショック後の危機的局面からすでに脱している。特にアジア向けの海外投資を活発化させていて、大企業の収益はまさにV字回復の現況にあるだろう。
当初、その月例経済報告では、景気回復宣言が発せられるという観測があった。それが中止になったのは、間違いなく政治的意図の為せる業で、菅政権が消費税増税を掲げて選挙を戦うために、企業の好業績の情報が抑えられているのである。税収がV字回復する事実が報道で流れるとまずいのだ。財務省がこれほど消費税増税を急いでいるのは、税収が底に落ち込んだ今が好機だからに他ならない。財政危機を煽って選挙をできる千載一遇の機会を得たからだ。この事実がデータと共に選挙戦の討論の場に持ち出されれば、菅民主党は確実に敗北する。財務省と菅直人の陰謀に国民が覚醒する。
マスコミの世論調査の報道では、消費税増税の賛成反対の比率は拮抗している。だが、昨日の記事で紹介したように、ネットの調査ではマスコミとは全く逆の結果が出ている。どちらが本当なのか、誰もが気になるが、北海道新聞が6/21に発表した調査記事があり、それによると、賛成が45%で反対が53%になっていた。個人的には、この数字こそ信憑性を頷ける線であり、一般市民の意識が正しく反映された調査だと納得できる情報と言える。
消費税増税に賛成とか反対の意見というのは、実際には中身が複雑で、例えば、私でも、@天下りや公益法人などの官僚の無駄が公約どおり削られ、A富裕層に対する所得税の累進課税や資産課税が強化され、B証券取引課税が重賦課され、C輸出企業に対する消費税還付(補助金)が廃止され、D大手銀行に対する法人税免除特権が廃止されれば、消費税が10%に上がっても構わない。無論、消費税分は社会保障に全額を充当することが条件である。こうした条件の前提があれば、世論調査で聴かれたとき、消費税増税に賛成と答える。
そうでない場合は反対と応じる。マスコミの世論調査には、そうした意味の「賛成」が多く含まれているはずで、社会保障のためなら負担に応じるのは拒否しないという国民が圧倒的に多いのが実情のはずだ。しかし、財務省と菅民主党が進める消費税増税は、富裕層への所得税累進課税の見直しもしないし、軽減税率についても口先だけの「検討」で済ませる増税であり、真っ先に法人税率を引き下げて企業を優遇する税制改革なのである。
挙げ句に、あれだけ口喧しく公約していた「官僚の無駄の削減」は反故。天下りは禁止どころか厚遇で容認の沙汰となった。信じられない結末ではないか。今度の参院選では、民主党を54議席割れさせて、菅直人に選挙敗北の責任をとらせ、総理退陣に追い込まなければならない、新自由主義の政治はもう懲り懲りだ。
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