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日刊ゲンダイ2010年6月21日 掲載
エコノミストが明言「今、日本国債の暴落危機はありません」
なぜ、急ぐのか消費税増税
●真相は経済事情ではなく政治的思惑
菅首相が唐突に「消費税10%」をぶち上げた理由は何なのか?
財務省の洗脳、自民党との争点隠し……とまあ、諸説あるが、25日からカナダのトロントで行われるサミット(G8)と、それに続く金融サミット(G20)で、財政再建に取り組む姿勢をアピールする狙いもある。政府関係者は「ここで新首相が何らかのメッセージを発しなければ、市場が持たない」とか言うのだ。日本国債は、そこまで切羽詰まっているのか?
確かに、金融サミットの議長国であるカナダのハーパー首相は各国に財政再建の数値目標を求め、先進国の一致団結をアピールするつもりだ。菅が手ぶらでは行けない事情は確かにある。しかし、「ギリシャの次は日本」というのは大嘘だ。マーケット関係者は、菅がかくも消費税増税を急ぐことに驚き、首をかしげているのである。
国債マーケットのスペシャリスト、BNPパリバ証券の島本幸治チーフストラテジストはこう言った。
「マーケットは菅政権の財政緊縮路線に好感して、国債の金利は1.2%まで下がっています。ギリシャ危機以来、市場が各国の財政事情にナーバスになっているのは事実ですが、日本国債の金利は安定していて、いますぐ危機が表面化する懸念はありません。菅首相がこのタイミングで消費税増税を打ち出したのは、マーケットの事情ではなく、政治的思惑でしょう」
2010年度末には973兆円に達する政府債務は膨大だし、潜在的なリスクは常にある。しかし、選挙前のこの時期にバタバタと消費税増税を急ぐ「経済的理由」はどこにもないのだ。
「このままではヘッジファンドに国債の先物売りを仕掛けられ、国債が暴落する、という説もありますが、日本国債の引受先は国内の金融機関が大半です。過去にもヘッジファンドが仕掛けたことはありますが、分厚い国内の機関投資家の前に敗れ去った。いくらヘッジファンドが仕掛けても、価格は動かないのです。それなのに、財務省はギリシャ危機に乗じて、日本国債の危機を煽り、政治家がそれに便乗した。マーケットは消費税を増税して、法人税を下げてくれるのであれば、株価が上がるので歓迎している。こうした思惑が消費税増税の議論を急がせているのです」(東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏)
やっぱり、裏側はこんなところだ。増税悲願の財務省がサミットという外圧を利用、市場の危機を煽り、菅をけしかけた光景が目に浮かぶ。その菅は19日の街頭演説で「このままでは日本はギリシャのように財政が破綻して、外国人に予算や税率を決められるようになる」と叫んでいた。
いきなり、こういう大げさな言い方をするところが、怪しい首相だ。
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