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2010年6 月18日 (金)
新大使人事―大使は適材適所、外交官は他流試合でたくましく
新聞でもすでに報じられていますが、駐中国大使に伊藤忠商事の元社長・会長の丹羽宇一郎(にわ・ういちろう)さんが決まりました。このことについて、少しお話ししておきたいと思います。
私は、外務大臣になる前から、大使は国を代表するものであって、必ずしも外務官僚に限る必要はなく、適材適所でやっていけば良いと思っていました。
前任の中国大使は4年以上になり、このたび次の人を決めなければいけないタイミングが来ていましたが、なかなか外務省の中でも、多くの人が認める「この人だ」という人材がいないなかで、少し民間にも視野を広げていろいろ検討した結果、丹羽さんということになりました。
2カ月くらい前に丹羽さんにお願いし、快諾をいただきました。そのときに丹羽さんがおっしゃられたことは、いまも私の記憶に残っていますが、「残された人生を、国や公のためにしっかりと尽くしたいとかねがね考えていたので、喜んでお引き受けしたい」ということでした。
民間出身ということで、いろいろと心配する声もありますが、私は丹羽さんとは長くお付き合いさせていただいていますが、非常に立派な方です。きちんとけじめをつけて、そして何より、伊藤忠商事が危機に陥ったときに大ナタを振るって立て直した手腕、人間としての力を存分に発揮していただき、日本と中国の間という非常に難しい役割ですが、大使という重い責任を果たしていただきたいと思っています。
もちろん、外務省としては、専門家の人事配置などで十分に新しい大使をサポートできるような体制をとっていきたいと思います。
今回の人事ではその他にも、野村証券からも戸田博史さんにギリシャ大使になっていただきました。
大使という仕事は、もちろん、それまで外交官として積み上げてきた経験などが必要な部分もありますが、より重要なことは、その国で信頼され、大使館の中をしっかりとまとめ、仕事ができるということだと思います。
私が特にそのように感じるのは、例えば、アメリカのルース大使は、もちろん外交官ではなく、弁護士をずっとカリフォルニアでやってこられたわけですが、人間的に非常に立派だと思います。
だからこそ私は、今回の普天間をめぐる様々な話し合いでも、厳しかったけれどもしっかりと良い議論ができたと思います。そして、それはやはり本人の人間力の問題だと思います。
いずれにしても、丹羽さんが駐中国大使として存分に活躍していただくことを期待しています。丹羽さんが活躍されれば、またそれに続く人々も出てこられると思います。
私が今回の大使人事でもう1つだけ思うことを申し上げますと、やはり、外交官ももっと他流試合をしたほうが良いということです。
国際機関に出向する機会ももっと増やしたほうがいいし、場合によってはNGOに出て働いてみる。逆に、国際機関やNGOの人たちが外務省に来て経験をする。
そういう、こういった外交やそこに関わる分野について、人材の交流がもっと若いうちから進んで、他流試合を積んだたくましい外交官に、もっともっと育ってほしいと思います。
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