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非拘束名簿式(ひこうそくめいぼしき)は選挙における比例代表制において比例名簿の順位を決めない方式のこと。
議席を得た政党内での当選者は、各候補者の個人名での得票数により決定される。
目次 [非表示]
1 概要
2 利点
3 欠点
4 経緯
5 記録
5.1 最多得票当選者
5.2 最少得票当選者
5.3 最多得票落選者
6 関連項目
概要 [編集]
日本では2001年の参議院議員通常選挙から採用されている。それまでの参院選比例代表は、拘束名簿式といって、有権者は政党名でのみ投票でき、当選者はあらかじめ政党が決めた順位にしたがって決まっていた。これに対し、非拘束名簿式では、有権者は政党または立候補者のいずれにも投票することができる。個人名が書かれた票は、その者が所属する政党の得票となる。名簿順位は政党があらかじめ決めることはできず、個人票の得票数に応じて順位付けされ、当選者が決定する。
利点 [編集]
拘束名簿式では、名簿順位の決定は、各政党の任意であるため、有権者はその名簿の作成に関わることができない。有権者が当選させたい者が比例名簿に登載されている場合、その者を当選させるには所属している政党名を書くしかない。しかし、その者の名簿順位が低く、当選に及ばなかった場合、有権者の意図とは異なる候補者が当選することとなってしまう。非拘束名簿式の場合、有権者が好きな候補者を自由に選べるので、名簿順位の決定に有権者が参加することができる。
比例代表制の導入により、かつての全国区制のような当選して取り過ぎて余った票(広義の死票)が少なくなるなどがある。
欠点 [編集]
この制度では、個人名で書かれた票はその所属政党の得票に反映されるため、個人への票が他者への票の横流しになるという点がある。大量得票を獲得できるタレントやたくさんの組織票がある候補者がいる政党では、その者の得票によって他の得票数の少ない候補者を助けることが可能となる。
議席はあくまでも政党単位で配分されるため、個人名でかなりの票を獲得した候補者であっても、政党全体としての得票が少なく、議席が配分されないと落選してしまうこともある。他方で、政党名での得票が多かった政党の候補者は、少ない得票でも当選することができる。個人での得票という観点から見れば、有権者の意思が反映されず、不公平であるという見方もできる。その一方で、比例区はあくまでも政党を選ぶ選挙であり、個人票の比較は意味を成さないとの意見もある。
事実上の全国区制の復活となり候補者の選挙費用の増大や全国的な知名度を持つタレント政治家の増加などを指摘する声もある。
経緯 [編集]
2000年に久世公堯金融再生委員長が大手マンション会社から党費を肩代わりしてもらい、自民党比例名簿上位に登載して当選していたことが発覚。そのため、参議院選挙では比例名簿の順位を政党が決定権を持つ比例区における厳正拘束名簿式を非拘束名簿式に改正する動きが出てきた。野党は非拘束名簿式の導入は党利党略として反発。参議院では野党が委員会への名簿の提出を拒否する審議拒否に出た。
そのため、斎藤十朗参議院議長が野党の了承なく、議長権限で野党から委員を選出する。それでもなお、与野党間の対立が増したため、斎藤議長は比例改選定数において拘束名簿式と非拘束名簿式を半分にする混同案を斡旋案として提案。しかし、この提案には野党ばかりではなく、与党も難色を示した。斎藤は斡旋に失敗したため、議長を辞任。井上裕新議長の下、与党ペースで審議が進み、10月26日に可決成立した。
記録 [編集]
以下では日本の参議院選挙における記録を記載する。
最多得票当選者 [編集]
年別の最多得票当選者
回 年 1位 2位 3位 4位 5位
19 2001年 舛添要一◎ 自民 1588262 山本香苗◎ 公明 1287549 木庭健太郎 公明 800563 遠山清彦 公明 794445 草川昭三 公明 699069
20 2004年 浜四津敏子◎ 公明 1822283 弘友和夫 公明 996188 谷合正明 公明 835983 荒木清寛 公明 816115 風間昶 公明 787886
21 2007年 山本香苗 公明 1027546 木庭健太郎 公明 706993 山本博司 公明 619837 遠山清彦 公明 612972 渡辺孝男 公明 558197
最多得票当選者
位 名前 選挙年 政党 得票数
1 浜四津敏子◎ 2004年 公明党 1822283
2 舛添要一◎ 2001年 自民党 1588262
3 山本香苗◎ 2001年 公明党 1287549
4 山本香苗 2007年 公明党 1027546
5 弘友和夫 2004年 公明党 996188
6 谷合正明 2004年 公明党 835983
7 荒木清寛 2004年 公明党 816115
8 木庭健太郎 2001年 公明党 800563
9 遠山清彦 2001年 公明党 794445
10 風間昶 2001年 公明党 787886
◎…個人名票だけで当選ラインに達した者
最少得票当選者 [編集]
年別の最少得票当選者
回 年 1位 2位 3位 4位 5位
19 2001年 当初 吉川春子 共産 26386 井上哲士 共産 32485 筆坂秀世 共産 40571 大江康弘 自由 43801 紙智子 共産 56999
最終 小林美恵子 共産 21246 吉川春子 共産 26386 井上哲士 共産 32485 筆坂秀世 共産 40571 大江康弘 自由 43801
20 2004年 鰐淵洋子 公明 17173 浜田昌良 公明 33310 大門実紀史 共産 73631 仁比聡平 共産 73662 小池晃 共産 105481
21 2007年 当初 山下芳生 共産 55913 山本孝史 民主 67612 大江康弘 民主 68973 室井邦彦 民主 72544 紙智子 共産 76878
途中 平山誠 日本 11475 草川昭三 公明 38792 広野允士 民主 53051 山下芳生 共産 55913 大石尚子 民主 59718
最少得票当選者
位 名前 選挙年 政党 得票数
1 平山誠※ 2007年 日本 11475
2 鰐淵洋子 2004年 公明党 17173
3 小林美恵子※ 2001年 共産党 21246
4 吉川春子 2001年 共産党 26386
5 井上哲士 2001年 共産党 32485
6 浜田昌良 2004年 公明党 33310
7 草川昭三※ 2007年 公明党 38792
8 筆坂秀世 2001年 共産党 40571
9 大江康弘 2001年 自由党 43801
10 広野允士※ 2007年 民主党 53051
11 山下芳生 2007年 共産党 55913
12 紙智子 2001年 共産党 56999
13 広野允士 2001年 自由党 59227
14 大石尚子※ 2007年 民主党 59718
15 山本孝史 2007年 民主党 67612
※比例上位当選議員の議員辞職による繰り上げ当選。
最多得票落選者 [編集]
年別の最多得票落選者
回 年 1位 2位 3位 4位 5位
19 2001年 当初 白川勝彦 自由と希望 309994 青島幸男 二院クラブ 284788 ツルネン・マルテイ※ 民主 159920 柳沢光美 民主 158355 高見裕一 民主 151563
最終 白川勝彦 自由と希望 309994 青島幸男 二院クラブ 284788 柳沢光美 民主 158355 高見裕一 民主 151563 幸田シャーミン 民主 139125
20 2004年 当初 中村敦夫 みどりの会議 204712 神取忍※ 自民 123521 菅野哲雄 社民 118912 尾身朝子 自民 118577 日出英輔 自民 118540
途中 中村敦夫 みどりの会議 204712 菅野哲雄 社民 118912 尾身朝子 自民 118577 日出英輔 自民 118540 横内正明 自民 113968
21 2007年 武見敬三 自民 186616 阿達雅志 自民 170090 藤井基之 自民 168185 松原まなみ 自民 167593 大高衛 自民 161277
最多得票落選者
位 名前 選挙年 政党 得票数
1 白川勝彦 2001年 自由と希望 309994
2 青島幸男 2001年 二院クラブ 284788
3 中村敦夫 2004年 みどりの会議 204712
4 武見敬三 2007年 自民党 186616
5 阿達雅志 2007年 自民党 170090
6 藤井基之 2007年 自民党 168185
7 松原まなみ 2007年 自民党 167593
8 大高衛 2007年 自民党 161277
9 上野公成 2007年 自民党 159967
10 ツルネン・マルテイ※ 2001年 民主党 159920
11 有田芳生※※ 2007年 新党日本 159814
※後に比例上位当選議員の議員辞職によって、繰り上げ当選している。
※※後に比例上位当選議員の議員辞職によって、繰り上げ当選対象となったが、辞退した。
関連項目 [編集]
選挙
比例代表制
厳正拘束名簿式
全国区制
カテゴリ: 選挙方式
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